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金投資需要がパンデミック前の低さへと96%減少

金地金の購入需要は先月大きく減少していました。
 
個人投資家の金の投資需要は、パンデミック以前の水準まで落ち込んでいたことがブリオンボールトの最新のデータで明らかとなりました。
 
金価格の動きはいまだ弱気ではないものの、レンジ内の非常に退屈なものとなっています。そのような中で、価格が下がったことで売却が減少したものの、現段階までにバーゲンハンティング的購入は見られていません。
 
そこで、顧客の売却量を除いたネット金地金購入量は、3月にはわずか24キロ、その評価額は140万ドル以下となっていました。
 
これは、過去12ヶ月間の平均流入額のわずか4.0%に過ぎないもので、重量ベースのでは2020年1月以来の低さとなっていました。
 
昨年3月のコロナ危機発生時には、ブリオンボールトにおける金の需要は2.0トンで、評価額1億270万ドル相当と、創設以来の月間の新記録を付けていました。
 
当然、貴金属が2020年の記録的な投資資金の流入を繰り返すことは難しいと考えられますが、2021年の春には、世界経済の好況への期待からも、貴金属市場はさらに厳しい状況となっています。
 
金投資家インデックスと金価格(2021年3月までの3年間)出典元 ブリオンボールト
 
3月に入り、金地金を売却した顧客数は25.9%減少し、12月以来の少なさとなった一方で、ブリオンボールトで金地金を購入した顧客数は、2月の3ヶ月間の最高記録から16.3%減少していました。
 
そこで、3月の金投資家インデックスは前月比0.8ポイント低下し、57.4となりました。
 
これは、昨年11月以降では最も低い数値となりましたが、2020年3月からのコロナ危機のための急増がなければ、2016年末にドナルド・トランプ氏が大統領に選出されて以来の高い数値となっていたでしょう。しかし、やはり昨年の記録的な高値の後では、その金需要の緊急性は失われていると言えるでしょう。
 
3月の金価格は、過去7カ月間で6度目の下落で前月比約5.0%安、そして月平均では昨年5月以来の低水準であるトロイオンスあたり1718ドルと、8月の過去最高値から250ドル下落していました。
 
2020年のコロナ危機下で初めて金投資を行った顧客が、価格が下落する中で売却を進めて、先月の金を売却した顧客全体の27.2%を占めて牽引していました。
 
しかし、3月末の段階でブリオンボールトにおいて顧客が保有し、ロンドン、ニューヨーク、シンガポール、トロント、チューリッヒの専門保管場所で安全に保管されている金地金は、25億ドル相当の46.5トンとなり、新記録を更新していました。
 
銀投資家インデックスと銀価格の推移 出典元 ブリオンボールト
 
3月の銀価格は金よりも下落が激しく、月全体で10.1%の下落となり、月平均では12月以来の安値となるトロイオンスあたり25.60ドルで、2月の8年ぶりの高値から1.75ドル下げていました。
 
その結果、銀地金に対する需要が高まり、ブリオンボールトで顧客が保有する銀地金総量は1.4%増の1,182トンとなり、過去最高を記録しました。
 
銀地金の購入者数は、2月の11ヶ月間の最高値から3分の1減少し、32.4%減となりました。一方、銀地金の売却者数は、ブリオンボールトで過去に2番目に高い数値であった先月からは44.6%減少していました。
 
これらの結果、銀地金投資家インデックスは58.4となり、2月の5ヶ月間の最高記録から2.6ポイント減少しました。
 
その一方で、ブリオンボールトおけるプラチナ投資は2.6%増の1.8トンとなり、工業用途が6割と高い貴金属が、先月2014年以来の最高値を記録した際に流出した0.2トンの半分を取り返していました。
 
新規顧客数では、金、銀、プラチナを購入するためにブリオンボールトを利用した新規顧客数は、2月に比べて39.5%減少し、2020年3月の新規顧客数の史上最高値からは67.4%減少しました。しかし、英国と米国からの新規顧客数の増加に牽引され、過去5年平均を35.5%上回っていました。
 
貴金属投資は全滅というものではないものの、昨年の好調な時期に比べれば、明らかに需要は落ちています。特に金は工業用途としての需要が高くないことからも、リスク資産が景気回復を期待して急騰している間は敬遠される可能性が高く、株式、ジャンク債、新興市場、コモディティ、仮想通貨、NFT(Non-Fungible Token)などの記録的な急騰との競争に苦戦しています。
 
これは、今日の大規模なプロシクリカルな金融・財政刺激策によって引き起こされる危機が到来するまでに、より多くのポートフォリオから金が失われる可能性があるということです。

エィドリアン・アッシュは、ブリオンボールトのリサーチ主任として、市場分析ページ「Gold News」を編集しています。また、Forbeなどの主要金融分析サイトへ定期的に寄稿すると共に、BBCに市場専門家として定期的に出演しています。その市場分析は、英国のファイナンシャル・タイムズ、エコノミスト、米国のCNBC、Bloomberg、ドイツのDer Stern、FT Deutshland、イタリアのIl Sole 24 Ore、日本では日経新聞などの主要メディアでも頻繁に引用されています。

弊社現職に至る前には、一般投資家へ金融投資アドバイスを提供するロンドンでも有数な出版会社「Fleet Street Publication」の編集者を務め、2003年から2008年までは、英国の主要経済雑誌「The Daily Reckoning]のシティ・コレスポンダントを務めていました。

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