金投資家インデックス:ペルーの金準備高を超える
中央銀行の政策に成果が見られない中、金・銀相場が上昇し、新たな顧客が急増しています。
金と銀相場の2016年の急伸は、2013年の春以来の規模で新たな投資家を貴金属投資に呼び込んでいます。ここで、ブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュがその背景を解説しています。
しかし、金と銀価格が共に4月に、過去14ヶ月で最も高い水準へと上げたことから、既存の顧客の利益確定の売却も進むこととなりました。
ただ3年前とは異なり、個人投資家の金投資は全体的に根強いものがあることから、ブリオンボールトの顧客が保有する金の総量は、先月末に世界49位のペルー中央銀行の金準備高を超えることとなりました。
個人投資家の金投資へのセンチメントは、過去8ヶ月の最高水準を記録した3月の53.8から、4月に53.3と少ないながらも下げることとなりました。
これは、4月に月間で金の所有量を減少させた顧客数が、金の所有量を増加した顧客数を上回ったことからです。
この数値が50の場合は、その月のネット購入者数がネット売却者数と完璧に一致したことを意味します。
それに対して重量においては、ブリオンボールトの顧客は、昨年6月以来の水準で大幅に増加させることとなりました。その増加量は約1/3トンで、これにより、顧客が保有する金総量は、金準備高で世界49位のペルーの中央銀行を超える34.8トンとなりました。
この金の保有量は、世界の77の金の上場投資信託(ETF)のうちの10銘柄を除き、その金ETFを裏付けした金の量を上回っていることとなります。
また、月間で16%急騰した銀価格のために、利益確定の銀売却が進み、銀投資家インデックスは、50.5と、3月の52.2から大きく下げることとなりました。
しかし、金同様に、月間のネット購入者数が売却者数を上回り、重量においては10トン増で総量が562トンと記録を更新し、昨年7月以来の大幅な増加量となりました。
通常は、価格の下げで購入し、上げで売却する傾向はあるものの、ブリオンボールトの顧客の銀の保有量は、2016年に1月以来銀価格は大きく上昇しているにもかかわらず、一度も減少をしていません。これは、新規顧客の銀購入が牽引しているためです。
そして、2016年初めからの4ヶ月間の金と銀の新規の顧客数の伸びは、2013年4月から7月の価格急落時以来の著しいものでした。この間、価格が大きく上昇していることから、過去3年間によく見られていたバーゲンハンター的購入から、信用リスクや株式市場の低いリターン、更には効果を見せることのない主要中央銀行の金融政策から逃避するための、新たな投資家の傾向が見られるようになってきていると言えるでしょう。
実際、2016年の新規顧客数は、過去3年間の4ヶ月間の平均を30%上回っています。これは、もし2月と3月の新規顧客の急増がなければ、4月の新規顧客数は2015年1月以来の高い水準となるはずでした。
貴金属相場は、2011年のピークへ戻るには、未だ長い道のりがあります。金にとっては、トロイオンスあたり1900ドルと67%、銀においては、50ドルと178%と更に遠い道のりかもしれません。しかし、この2016年の価格の上げは、通常年初に見られる上昇以上の、過去6年の最低値から大きく跳ね返った強いものであることが証明されつつあるようです。