金価格ニュース(2022年2月14日)ウクライナ情勢への懸念から世界株価が下げ、経済の見通しが悪化する中で、金価格は上昇 2022年2月14日 月曜日 19:05 金相場は月曜日に前週金曜日の主要通貨での3ヶ月ぶりの高さを維持して推移しています。 これは、米国政権がロシアが「基本的にいつでも」ウクライナへの侵攻を開始する可能性があると述べ、世界の株式市場が下落し、世界経済の長期的見通しが悪化する中でのことでした。 ドル建て金相場は、ロンドン昼過ぎにトロイオンスあたり1860ドルを超えて安定に推移し、金曜日の11月19日以来の最高値を5ドル下回っていました。なお、同日金相場は10月以来最も速い1日の上昇率1.8%を記録していました。 また、英国ポンド及びユーロ建て金価格は、それぞれ1377ポンドと1645ユーロと3ヶ月ぶりの高値を付け、日本円建て金相場は過去最高の7039円を記録した2020年8月以来の高値となるグラムあたり6910円に達していました。 投資銀行モルガン・スタンレーの米国株式チーフストラテジスト、マイケル・ウィルソン氏は「戦争は経済と(企業)収益に極渦(Polar vortex)を起こす確率を 実質的に高める」と述べていました。 ロシアは原油と天然ガスの主要な生産国であり、「エネルギー価格の高騰は(経済全体の)需要を破壊し、おそらくいくつかの国の経済を完全に後退させると我々は考えている」と続けていました。 欧州株式市場が急落し、先週の売りが継続する中、2年債と10年債の米国債利回りのスプレッドは月曜日に急激に平坦化し、金融・商品市場全体を襲ったコロナ危機時の規模である2020年4月以来の最も狭い約41bpに低下していました。 サンフランシスコ連邦準備銀行の研究者による 2018年のレポートによると、1955年以来、一回を除き米国の各不況の前に、2年金利と10年金利のギャップがマイナスになり、逆イールドカーブが形成されているとのこと。 独立系投資顧問でワールド・ゴールド・カウンシルの元日本代表の豊島逸夫氏は「 不況の兆しとされるイールドカーブ平たん化現象は、後手に回った米連邦準備理事会(FRB)の利上げ連発が不況を招くリスクを想起させる。」と述べていました。 「インフレ・ヘッジの買いだけでは突破できなかった1850ドルの抵抗線も、金は突破した。市場はリスク回避モードにある。」と続けていました。 土曜日のプーチン大統領とバイデン米国大統領の電話会談は 1時間に及んだものの、ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)に加盟することを望んでいることについて、それぞれの立場を改めて表明するためだけで、紛争回避に向けた明白な進展はありませんでした。 ドイツのショルツ新首相は本日、キエフでウクライナのゼレンスキー大統領と会談した後、「(ロシアの)ウクライナ国境での軍備増強と活動には正当な理由がない」と述べていました。 先週、金を裏付けとするETFの残高が増加し、金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェア(NYSEArca: GLD)は0.8%増で約5カ月ぶりの大きさとなり、iShareゴールド(NYSEArca: IAU)は0.9%増で12月半ば以来の大きさに増加していました。 銀価格も金と共に上昇し、ロンドン昼過ぎにトロイオンスあたり23.90ドルと3週間ぶりの高値を付け、プラチナとパラジウム価格は共に先週末の水準を維持して推移していました。