金価格デイリーレポート(2021年11月1日)FOMCを前に株価が史上最高値を更新する中で金ETF残高は減少を続け、金はレンジ内の動きに留まる 2021年11月1日 月曜日 17:23 月曜日ロンドン時間昼過ぎに金相場は前週の下げ幅を多少取り戻しながら狭いレンジでの動きとなっていました。 この間、今週の米連邦準備制度理事会(FRB)の政策決定会合を前に、米ドルと長期金利が上昇する中で、金ETFからは投資資金の流出が続き、世界の株式市場は史上最高値を更新していました。 先週 ドル建てで0.5%下落した金現物価格は、本日は金曜日の終値1783ドルから10ドル以上上昇して推移していました。 主要6通貨に対するドルの強さを表すインデックスは、ほぼ3週間ぶりの高値で推移していました。 米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策決定会合は2日間にわたって開催され、今週水曜日に結果が発表されます。アナリストや専門家の間では、米中央銀行が現在月1,200億ドルの規模で実施している新規債券購入を縮小する計画を発表するのではないかと予想されています。 米大手投資会社J.P.モルガン・アセット・マネジメントのグローバル・マーケット・ストラテジスト、Kerry Craig氏は、「世界市場の見通しについては、どこを見るかによって、まったく 異なるストーリーが展開されています。」と述べていました。 「株式市場に目を向ければ、現在の上昇を見て、すべてが順調だと思うでしょう。債券市場を見て、利回りがどのように動いているかを見ると、明らかにインフレや政策の正常化に対する懸念が大きくなっています。」 多くの主要企業が好調な四半期決算を発表したことから、先週の米国株価指数は史上最高値を更新して引けていました。 Factivaのデータによると、これまでに発表された7-9月期のS&P500企業の 5分の4以上がアナリストの予測を上回っています。 月曜日の欧州株式は、先週記録した最高値を更新し、欧州の代表的な銘柄によって構成されているストックス欧州600指数は0.5%上昇していました。 一方、債券市場では、米国の2年物国債利回りは0.51%となり、2020年3月以来の高水準で、また政府や多くの金融機関、商業施設の借入コストの基準となる米国の10年物国債利回りは2ベーシスポイント上昇し、1.58%となっていました。 一方、インフレが考慮された10年物TIPS債が示唆する実質金利は、先週金曜日に1週間ぶりの高水準となる年率マイナス0.97%まで上昇した後、マイナス1.00%まで低下しました。 金を裏付けとするETFの残高は先月も減少しており、SPDRゴールドシェア(NYSEArca: GLD)とiShareゴールド(NYSEArca: IAU)の両方で、10月は月間で残高減少が見られていました。 GLDで残高増加が見られたのは4ヶ月前になりますが、IAUは9月に月間で多少ながら増加していたものの、7月以降それ以外の月は残高減少となっていました。 鉱山業界のマーケティング団体であるワールド・ゴールド・カウンシルが先週発表した最新レポートによると、2021年第3四半期の世界の金需要は前年同期比で7%減少していました。 「この減少は、2020年第3四半期の非常に大きな資金流入から今年の小幅な資金流出に振り回されたETFがほぼ独占的に牽引したもので、この四半期の他の需要分野の強さに影を落とすこととなりました。」と レポートでは分析されています。 対照的に、金の宝飾品、テクノロジー、コイン及び地金の需要は2020年第3四半期に比べて大幅に増加し、それぞれ33%、9%、18%の増加となっていました。 「実際、純粋に宝飾品やコイン及び地金に含まれる金の評価額では、今年の最初の9ヶ月間で急増しています。」と、地金ブローカーのStoneXのEMEA・アジア地域の史上責任者のRhona O'Connell氏は述べていました。 「その額は約1,260億ドルと、2016年から2019年の年初からの9ヶ月間の平均値よりも35%上回る水準でした。(市場の混乱のため2020年を除く)。」 宝飾品とコイン及び地金の両方に対する強い需要は、中国金協会の最新レポートでも確認されており、地金消費量世界第一位の中国の 金消費量は2021年の最初の9ヶ月間でも回復を続けていることが明らかとなっていました。 本日の上海黄金交易所(SGE)の金価格は、引き続きロンドンに対してプレミアムを示しており、中国内の積極的な需要を示唆していました。 しかし、日曜日に発表された10月の中国の製造業活動が2ヶ月連続で縮小したとの報道を受けて、FX市場で人民元が対米ドルで弱くなったため、月曜日にはこのプレミアムはトロイオンスあたり3ドルまで下落していました。 一方、欧州の投資家向けの金価格はトロイオンスあたり1544ユーロと横ばいで、英国の金価格は、木曜日のイングランド銀行の政策金利会合を控え、また漁業免許をめぐるフランスとのブレグジット後の対立が激化する中、FX市場でポンドが下落し、対ドルで2週間以上ぶりの安値を記録したため、0.1%増のトロイオンスあたり1306ポンドとなっていました。