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金価格ディリーレポート(2025年4月28日)中国の金投資急増の中、コメックスの投機筋は強気ポジションを半減

金価格は月曜日にトロイオンスあたり3300ドルを超えて上昇しました。これは、最新のデータによると、中国の金投資需要が急増する中で、米国コメックス先物・オプションの投機筋は強気ポジションを減し続けている中でのことでした。

ロンドンのスポット金は、月曜日の朝にはトロイオンスあたり3268ドルと1.5%も下落し、その後反転して3300ドルを上回ったものの、先週火曜日の朝につけた3500ドルを5.1%下回る水準にとどまっています。

世界の株式市場は、トランプ米大統領が中国に125%の関税をかけることと、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の解任を求めたことを撤回した後、反発を拡大していました。

デリバティブプラットフォームのサクソバンクの商品ストラテジストであるオーレ・ハンセン氏は、「金は引き続き堅調に推移しているが、他でリスク選好が高まる中、より深い調整を回避する能力について疑問が投げかけられている。」と述べていました。

コメックスの金先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションとドル建て金価格のチャート 出典元 ブリオンボールト

金曜日に米国の規制当局であるCFTCが発表したデータによると、スポット金価格が史上最高値の3500ドルをつけた先週火曜日までに、ヘッジファンドやその他のレバレッジを効かせた投機筋のコメックス金先物・オプションのネットの強気ポジションは、5週連続で減少し、2024年2月末以来の低い水準まで減少していました。

実際、3月中旬を除けば、マネージドマネーのネットロングポジションは、ドナルド・トランプ大統領が大統領に復帰した翌日の1月21日以降、毎週減少しています。

へッジファンドやその他のレバレッジを効かせたトレーダーによるコメックス金先物・オプションの投機的なネットロングポジションは、この期間にほぼ半減して46.3%減少している一方で、金価格は上昇し、米ドルベースで25.3%上昇し、25回の史上最高値を更新していました。

ブリオンボールトの分析によると、2006年から発表されているCFTCのデータ上で、13週間の期間のデータを見てみると、資金運用業者がネットポジションを減らした時に、金がこれほど大幅に上昇したことはかつて無いことが明らかとなっています。

実際に2025年以前に、2011年9月の世界金融危機を経て欧州債務危機に移行した金のピーク時を除き、資金運用業者のネット強気ポジションが減少した時に、金価格が3ヶ月前から20%以上上昇したことはありませんでした。

日本貴金属マーケット市場協会(JBMA)の池水雄一氏は、最新のノートの中で、「中国の投資家は、欧米のヘッジファンドの短期売買よりもはるかに堅実にディップ時に金を買い続けている。」と述べ、「これは金の下値を支えるだろう。」と続けていました。

中国金協会が月曜日に発表した2025年第1四半期の中国の消費者の金の総需要は、前年同期比6.0%減少し、価格の高騰によって宝飾品の消費量が26.9%減と不振であったことを、需要減少の要因としていました。

これとは対照的に、中国の小型の地金とコインの小売投資需要は、重量ベースで前年同期比29.8%増と急増しており、貴金属の採掘、輸入、消費、中央銀行の需要と、世界最大の金の供給及び需要国である中国の四半期平均金地金価格は、2024年第1四半期から37.0%上昇していました。

上海黄金交易所(SGE)は、先週火曜日につけた史上最高値の830円から、本日の基準オークションではグラムあたり51円下落したものの、4月は月間で6.9%上昇しています。

上海黄金交易所の金価格は本日、ロンドン相場に対してトロイオンスあたり27ドルのプレミアムを示していました。これは、2023年10月以来の高値であった金曜の60ドルから下落したとはいえ、新規の金地金輸入に対する一般的なインセンティブの3倍以上を提供するものでした。

「中国人は地政学的緊張に対するヘッジを望んでいるため、金の強気相場は長く続くだろう」と、香港を拠点とするオランダのCommodity Discovery Fundのアナリスト、サムソン・リー氏は述べていました。

スコット・ベッセント米財務長官は日曜日に、トランプ政権は中国を除く17の主要パートナーとの二国間貿易協定に取り組んでいると述べていました。しかし、トランプ大統領が中国の習近平国家主席と直接話したかどうかはわからないと述べていました。

金を裏付けとするETF投信のうち、最大銘柄の米国上場のSPDRゴールドシェア(GLD)は先週0.6%残高を減少させ、4月の月間増加量を1.4%に縮小していました。一方、金ETFの第2規模のiShareゴールド(IAU)は、月間2.4%のペースで拡大し続けていました。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は月曜日に、ソビエト連邦とその米英同盟国がナチス・ドイツに勝利した80周年を記念して、5月8日から3日間、モスクワのウクライナ戦争での停戦を宣言していました。

土曜日にローマで行われたフランシスコ法王の葬儀で、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談したトランプ米大統領は、ゼレンスキー大統領が先週、ウクライナはロシアによるクリミア併合を米国が承認することは受け入れられないと述べたにもかかわらず、モスクワとの交渉の一環として、キエフが領土を「放棄」する用意があると考えていると述べていました。

また、ロンドン銀は、アジア市場での取引で30セント下げた後、月曜日に33ドル台を回復しました。

 

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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