金価格ディリーレポート(2025年12月1日) 銀価格が過去最高値を更新、トランプ大統領がハセット氏を次期FRB議長に指名へとの観測強まる
金と銀の価格は月曜日の取引で、先週金曜日の急騰を引き継いでさらに上昇し、金は6週間ぶりの高値、銀は過去最高値を更新しました。背景には、米ドルが軟化したことに加え、ドナルド・トランプ大統領が連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長に指名する人物をすでに決めたと発言したことがあります。
大統領はフロリダでの感謝祭休暇からワシントンへ戻る大統領専用機エアフォースワンの機内で記者団に対し、「誰を選ぶかはわかっている」と述べましたが、具体的な名前は挙げませんでした。
しかし先週のブルームバーグの報道によれば、トランプ大統領の国家経済会議(NEC)委員長であるケビン・ハセット氏が、来春に任期満了を迎える、(トランプ大統領が利下げを遅延している常に揶揄している)パウエル現議長を引き継ぐとの観測が強まっています。
ハセット氏は日曜日のテレビインタビューで、「トランプ大統領は、自動車ローンをより安くし、低金利の住宅ローンへのアクセスを容易にするような人物を選ぶと国民は期待してよい」と述べ、「私の指名の噂に対する市場反応がそれを示しました。財務省証券の入札が好調で、金利も低下しました」と続けています。

外国為替市場ではドル指数(DXY)が5週間ぶり安値まで下落し、今月のFOMCで利下げが決定されるとの見方が急速に強まりました。CMEのFedWatchによれば、その確率は 87% に上昇しています。
スポット金は一時 1.2%高のトロイオンスあたり4,262ドル に上昇し、10月の史上最高値から約2.7%下回る水準に接近しました。これは金曜日の1.2%上昇を引き継いだもので、年初来の上昇率は 60.6% に達しています。
銀は最大 2.5%高の57.85ドル と、2営業日連続で史上最高値を更新しました。前週末の 5.5%上昇 に続き、年初来上昇率は 86.5% と、1979年以来46年ぶりの高い伸びとなっています。
金利先物市場では、2026年末のフェデラル・ファンド・レート予想が 2.99% に低下し、FRBが示す最新のドットプロットを約0.5ポイント下回っています。
プラチナも強含み、一時 3.7%高の1,727ドル と6週間ぶり高値を付けました。年初来上昇率は 79.6% と、1990年に現在の指標価格が導入されて以来、最大の年間上昇となる見通しです。パラジウムも一時 4.1%高の1,513ドル と上昇し、年初来上昇率は 59.3% に達しています。
Saxo Bankのコモディティ・ストラテジストチームは、「銀とプラチナの強い上昇は、供給ひっ迫とハードアセット需要の強さの中で更に強まっている」と述べ、利下げ観測、通貨価値の低下懸念、財政赤字不安、生活費インフレが上昇を要因として指摘していました。
ハセット氏が2026年にホワイトハウスの経済顧問であるスティーブン・ミラン氏とともにFRB入りし、主導する可能性が高まったことでドル安が進む中、金は他通貨建てでも上昇し、銀は各通貨建てでの最高値を更新しました。
銀価格の強さを受け、金銀比価(Gold/Silver Ratio)は74台前半まで低下し、過去18カ月で最も低い水準となっています。
一方、円建て金価格も上昇し、グラムあたり21,291円の過去最高値を更新しました。これは、植田和男・日銀総裁が次回会合で利上げの「功罪を検討する」と述べ、最近では最もタカ派的と受け取られた発言により円が上昇したにもかかわらず、金が買われた結果です。






