金市場ニュース

金価格ディリーレポート(2025年1月24日)トランプ大統領が関税と金利引き下げについてコメントし、ドル建て金価格は史上最高値へ迫る

 

金曜日にトランプ米大統領が中国の関税への立場を軟化し、金利引き下げを求めたことで、ドルが弱含み金価格は急騰し、ドル建てにおいて史上最高値をわずか12ドル下回水準へと上昇していました。

この間、ユーロ、ポンド、日本円、中国人民元建てを含む主要通貨では史上最高値を記録していました。
 
金現物価格は、前日トロイオンスあたり10ドルの下落から回復した後、金曜日に前日比で最大1.2%上昇し、ロンドン時間昼過ぎに2790ドルの10月末の米大統領選前の史上最高値以来の高さへと上昇していました。そこで、金の今週の上げ幅は、ロシアによるウクライナの1000日の戦争が他の地域へ拡大する懸念から上昇していた2024年11月の上げ幅以来の大きさの2.3%となっていました。
 
ユーロ建て金価格は史上最高値のトロイオンスあたり2658ユーロを記録し、英国金価格はトロイオンスあたり2241ポンドに達していました。日本円では、金はグラムあたり13,940円と最高値を更新し、同様に上海黄金交易所の金の午後のベンチマークオークションでグラムあたり646円と史上最高値に達していました。
 
「原油価格が下がる中、私は金利を即座に下げるよう要求する同様に、金利は世界中で下がるべきだ。」とトランプ大統領は木曜日にスイスのダボスで開催された世界経済フォーラムで述べていました。
 
トランプはビデオリンクを通じて、世界のビジネス界や政治界のリーダーたちに、アメリカ国外で製品を製造すれば関税がかかると警告し続けました。しかし、その日のうちに行われたFOXニュースのインタビューでは、中国に関税を課さないことを望むと語っていましたた。
 
ドル・インデックスは、主要通貨との相対的な価値を示す指標ですが、金曜日に0.5%下落し、12月17日以来の低い水準となっていました。しかし、ドルは過去2年間で最高値に近い水準を維持していました。これは、米中央銀行が12月の政策決定会合で「ドット・プロット」と呼ばれる将来の利下げ幅の見通しを半減させた際につけた水準です。

ドル建て金価格とドルインデックスのチャート 出典元 ブリオンボールト

 スイスの銀行で地金市場のクリアリングを行うブリオンバンクのUBSのストラテジストであるジョニ・テヴェス氏は、「投資家はドル高に目を向けることを厭わないと予想し、金は安全資産の需要とボラティリティとマクロエコノミクスの不透明性が増している際の分散資産としての魅力が増していると続けています。
 
CMEのFEDWatchツールによると、市場のコンセンサスは、金曜日にFRB金利は2025年末までに3.94%まで低下すると予想されていました。これは12月の連邦準備制度理事会(FRB)の政策決定会合以来の最低水準でもありました。
 
今週初め、トランプ大統領はカナダとメキシコからの輸入品に25%の関税をかけると宣言し、これらの国が移民とフェンタニルの流入を減らす措置を取らない限り、2025年2月1日に発効するとしていました。大統領はその後、火曜日に2月1日の期限を中国にも延長し、10%の関税を課すと述べていました。
 
トランプ大統領が月曜日にホワイトハウスに戻って以来、金はドル建てで2.6%上昇し、英国ポンドとユーロ建てにおいては、同じ期間にそれぞれ1.9%と2.3%上昇しています。
 
日本円建ての金相場は、日本銀行が金曜日に短期金利を0.25%引き上げることを決定し、2008年の世界金融危機以来の高水準とした中で、過去4日間で2.9%急騰していました。
 
上海黄金交易所の金価格は月曜日から1.4%上昇し、先週のトロイオンスあたり11.8ドルのプレミアムから、今週は0.8ドルのディスカウントへと転換し、世界最大の金消費国での需要の減少が示唆されていました。
 
原油価格は金曜日に上昇したものの、トランプ大統領がOPECに原油価格の引き下げを要求する中で、週間では引き続き下落していました。週間では、ブレント原油は3%近く下落し、ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は4%下落していました。
 
これとは対照的に、主にガソリンエンジンからの二酸化炭素排出量を削減するための自動車触媒に使用されるパラジウムは、金曜日に2024年11月25日以来初めてトロイオンスあたり1000ドルを超えて急騰し、トランプ大統領の大統領復帰以来7.9%も上昇していました。

この上昇は、トランプ大統領がウクライナ問題で合意に至らなければロシアに新たな制裁と関税を課すと脅したことと重なっていました。パラジウムを世界最大、世界の供給の4割を占めるロシアへのさらなる制裁は、世界市場に大きな影響を与えます。アナリストはまた、トランプ大統領が月曜日に国家エネルギー非常事態宣言を発表し、環境規制の撤廃や国際気候変動協定からの離脱を盛り込んだことから、内燃機関が復活する可能性も指摘していました。
 
年間需要の60%近くを工業用需要に依存している銀価格は、金曜日に1.4%上昇し、過去4セッションで2.3%上昇していました。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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