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金価格ディリーレポート(2025年1月20日)トランプ氏の「関税」懸念で、コメックスの金在庫が急増し、リースレートが急騰

ドナルド・トランプ次期米国大統領の月曜日の就任式を前に、ニューヨークのコメックス先物価格とロンドン金地金現物価格のスプレッドが拡大し、金地金のリースレートが高騰し、金相場が上昇していました。
 
最新のデータによると、先週コメックス金先物・オプションの投機筋は、2020年のコロナ危機の初期以来の低さへ、全体としてショートポジション減少させていたことが明らかとなる中、本日ロンドン決済のスポット金価格は、トロイオンスあたり2709ドルと0.2%上昇し、取引開始直後の下げから20ドル近く上昇していました。
 
最も活発なコメックス先物契約によって示される、このロンドンの現物価格を上回るニューヨークのプレミアムは、トロイオンスあたり40ドルまで拡大し、これは米国の貴金属派生商品を現物地金と交換するためのEFP契約の乱高下によって引き起こされていました。
 
日本貴金属マーケット協会の池水雄一代表理事長は、「先物がスポット価格を上回る異常なプレミアムをつけている理由は、トランプ次期政権がすべての輸入品に関税を課すと言っているからです」と、最新のレポートで説明していました。
 
「新政権が始まる前に、ロンドンからニューヨークへ地金の現物を移動させる動きは、ロンドンでの現物供給を引き締め、リースレートの上昇を引き起こしています。」と池水氏は続けていました。
 
一方、「コメックス先物のショートポジションを持つ投機筋」、つまり、契約満了時に現物の地金を引き渡さなければならないリスクを持つ投機筋は、「その契約を解消し、先物価格をさらに上昇させているのです。」と述べていました。
 
コメックスの金先物・オプションの資金運用業者のショートとロングポジションとドル建て金価格のチャート 出典元 ブリオンボールト
 
米国の規制機関であるCFTCが発表した最新のデータによると、ヘッジファンドやその他のレバレッジを効かせた投機家は、先週コメックス金先物・オプションの弱気ポジションを減らし、1月14日(火)までの5営業日間に25.3%減らし、2020年5月以降で最小としていました。
 
しかしながら、このグループの強気ポジションはわずか0.2%増加しただけでしたが、この1ヶ月間で最大となっていました。
 
先とは対照的に、生産者、製造会社、販売会社などの商業トレーダーは、強気ポジションを42.6%増加させ、弱気ポジh損を14.8%増加させていました。
 
金地金現物と先物価格が共に0.6%上昇し、火曜日の終値が過去5週間で最も高い水準となったことから、これらの商業トレーダーのネットポジションは3.8%膨らみ、11週間で最も重いヘッジ水準となっていました。
 
「金業界の資金運用業者のトレーダーは、ショートポジションを減らす代わりに、コメックス契約を決済するために、10%の貿易関税のかかる米国に地金を輸入しなければならないリスク避けるために、地金を大西洋を越えてコメックス公認の倉庫に運ぶことでカバーしています。」とドイツの精錬業者のヘラウス(Heraeus)は最新のレポートで述べていました。
 
「ロンドンの)超短期の金融資のインプライドリースレートは非常に高くなっている。」と続けていました。
 
JBMAの池水氏のデータによると、今朝のロンドンでの1ヶ月の金借り入れのコストは年率3.25%に相当し、1月2日の金借り入れレートのわずか0.08%から急上昇していました。
 
中国においては、上海黄金交易所(SGE)の金価格は、金曜日の史上最高値であったgあたり638円から0.1%下落したものの、ロンドン相場に対するプレミアムはトロイオンスあたり4ドルと金曜日の2ドルのディスカウントからは上昇していました。しかし、依然として金の世界最大の消費国である中国への新規輸入に対する歴史的なインセンティブの半分にとどまっていました。この間、トランプ次期大統領が中国の習近平国家主席と金曜日に友好的な電話会談を行ったことが伝えられ、中国人民元は米国ドルに対し年初来の高さへ本日強含んでいました。
 
「中国の習近平国家主席と話したところだ。」とトランプ氏は Truthソーシャルメディアへ投稿していました。
 
「中国とアメリカの双方にとって、とても良い電話だった」。
 
中国人民銀行は大方の予想通り基準金利を据え置く中でアジア株は日本と香港の上昇に牽引されて上昇していました
 
EU加盟国27カ国のうち20カ国の公式通貨であるユーロが為替市場で対米ドルで2週間ぶりの高値をつけたことから、ユーロ建て金相場は0.2%安のトロイオンスあたり2627ユーロとなり、ポンド建て英国金相場は0.1%高の2122ポンドと、先週の史上最高値に迫る勢いとなっていました。
 
銀価格は、主に工業用金属ですが、トランプ大統領の就任式を控えてニューヨークのプレミアムが急騰したこともあり、月曜日には0.5%下落し、トロイオンスあたり30.26ドルをつけていました。
 
一方ビットコインは、次期大統領とメラニア夫人が週末に独自のミームコインである$TRUMPと$MELANIAを発表した後、5.5%上昇し史上最高値を更新していました。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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