金価格ディリーレポート(2024年4月3日)地政学的リスクが高まる中、堅調な米経済データにもかかわらず、金価格は史上最高値の更新を続ける 2024年4月3日 水曜日 19:26 金価格は、地政学リスクが高まる中で、本日発表の米民間雇用データが堅調であったにもかかわらず、ロンドン午後の世界指標ですべての主要通貨で史上最高値を更新し、銀価格は2年ぶりの高値に急騰していました。 オートマティック・データ・プロセシング社(ADP)が本日発表した最新のデータによると、米民間雇用者数は、2月に15.5万人上方修正された後、先月は18.4万人増加していました。 ドル建てスポット金価格は、昨夜史上最高値となるトロイオンスあたり2,288ドルを記録した後、ロンドン午後3時の時点では、2,280ドルへやや値を下げたものの、ロンドン3時につけられる世界指標においては、4営業日連続の新記録となっていました。 主に工業用金属であり、年間需要の60%近くを工業用金属が占める 銀価格は、水曜日にはトロイオンスあたり26.72ドルまで上昇し、今週すでに7%高との2022年2月以来の高値をつけていました。 オーストラリアのブリオンバンクであるANZのシニア・コモディティ・ストラテジストであるダニエル・ハインズ氏は、最新のレポートの中で、「強い経済データは金の上昇を止めることができなかった」と述べて、今週の予想を上回る米I SM製造業景況指数と 雇用動態調査(JOLTS)求人件数等の米国のデータを指摘ししていました。 ポンド建てとユーロ建ての金は、取引開始時にそれぞれオンスあたり1819ポンドと2124ユーロの取引時間内の史上最高値をつけた後、ロンドン時間に午後3時には1809ポンドと2109ユーロと若干下げたものの、貴金属の世界的な取引と保管の中心地であるロンドンで取引される世界指標においては、ポンド建てでは5営業日連続、ユーロ建てでは9営業日連続の史上最高値の更新をしていました。 一方、上海黄金交易所の金相場は、本日gあたり540円と、6営業日連続で史上最高値を記録し、3月の上昇率10.2%からさらに上昇していました。 この月間として強い上昇幅にもかかわらず、金地金の世界最大の消費市場で中国への新規地金輸入のインセンティブとなる、 ロンドン価格を上回る上海価格はプレミアムを示し続け、水曜日のトロイオンスあたり39ドルまで上昇していました。この歴史的平均値は8ドルとなっています。 対照的に、世界の株価は3営業日連続の下落の傾向となっていました。ストックス欧州600指数はロンドン昼過ぎまでに0.1%下落し、ウォール街も下落して始まる傾向を見せていました。 CMEデリバティブ取引所の FedWatchツールによると、2024年6月の利下げ観測は1週間前の約70%から約58%に低下していました。 「米経済が好調であることに驚いており、 6月に最初の利下げが行われる可能性は低くなり、金価格の重荷になるだろう」と、ドイツの精錬グループ、ヘレウスのシニア貴金属トレーダー、アレクサンダー・ズンプフェ氏は語っていました。 しかし彼は、「金は、市場の展開が変わるたびに値上がりに転じるようだ」と付け加えていました。 ドル指数(米国の通貨と主要通貨との価値を示す指標)は、水曜日に、火曜日に記録した4ヶ月以上ぶりの高水準から小幅に下落していました。 米国債10年物利回りは、政府機関や多くの金融・商業機関の借入の基準金利であり、水曜日には4.40%と4ヶ月ぶりの高水準に上昇していました。 「地政学的リスクが高まる中、安全資産への買いが強まり、金利上昇が長期化するとの見方を押さえていた」と、金価格の上昇の背景をハインズ氏は付け加えていました。 今週月曜日にイスラエル軍機がシリアのイラン大使館を空爆し、イランは将軍2人と軍事顧問5人が死亡したと発表していました。 そこで、イランの最高指導者ハメネイ師が復讐を誓う一方で、同師の政治顧問であるアリ・シャムカーニー氏は、米国は「この攻撃の意図に気づいていたか否かにかかわらず、 直接的な責任を負っている」と述べていました。 それに応えて、ロバート・ウッド駐国連副大使は、「われわれは自国の要員を守ることをためらわず、イランとその代理人たちに、 米国への攻撃を再開する機会を利用すべきではないとの事前警告をためらわない」とイランに向けてコメントを発していました。 一方、ロシアとウクライナは無人機による攻撃を続けており、ロシアは月曜日の夜、ウクライナのエネルギー施設を標的とし、それに対してウクライナは火曜日にロシアの主要精油所を反撃していました。 水曜日の原油価格は、ブレント原油と米国産WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油が共に前場で1.7%上昇し、さらに10月以来の高値水準まで上昇を続けていました。 EUの統計機関であるユーロスタットが水曜日に発表したデータによると、ユーロ圏20カ国の3月の消費者物価上昇率は前月の2.6%から、食品とエネルギー価格の下げを背景に2.4%に鈍化していました。