金価格ディリーレポート(2024年10月14日)金価格はディワリを前にインドでの需要が戻る中、ドル建て以外の主要通貨建てで史上最高値をつける 2024年10月14日 月曜日 16:12 金価格は、米ドルとスイスフランを除く全ての主要通貨建てで過去最高値を更新した後、月曜日に落ち着きを見せ、世界第二位の貴金属消費国のインドの価格は、ディワリ祭典を前に、2ヶ月ぶりにプレミアムへと変換していました。 米ドル建てのスポット金は、月曜日の取引開始時に10月1日に記録した史上最高値を18ドル下回トロイオンスあたり2666ドルまで上昇した後に、上げ幅をほぼ失って2653ドル前後を推移していました。 日本円建て金価格は、グラムあたり12,792円の新高値をつけ、中国の金価格はグラムあたり601円の新高値に急騰していました。 一方、ユーロ建て金価格は月曜日に2439ユーロの新高値を記録し、英国ポンド建て金価格もトロイオンスあたり2040ポンドの史上最高値に達していました。 シンガポールのUBSの金アナリストであるジョニ・トレヴェス氏は、「実際は、市場の様々な部分で幅広い買いが入り、 売り手が不足しているという、複合的な要因によって上昇した」と今年年初からの金の上昇の背景について解説していました。 年初来で、金は米ドル建てで28.3%、ユーロ建てで30.0%、ポンド建てで25.1%、そして日本円建てでは、通貨が対ドル年初来6%下げていることからも、より顕著に35.6%上昇しています。 トレヴェス氏は、金価格の見通しを上方修正し、2024年末までにトロイオンスあたり2800ドル、2025年末までに3000ドルになると予想し、その理由として、米国の利下げ予想、ドル安、米国がロシアのドル資産を凍結できることに警戒した中央銀行やその他の公的機関からの強い需要などの要因を強調していました。 金地金消費国第2位のインドでは、金購入に縁起が良いとされるドゥッセヘラ祭の先週土曜日を前に、先週金需要が増加し、インドの金現物ディーラーは、2ヶ月ぶりに金価格にプレミアムをつけていました。 そこで、国内の基準価格に先週3ドルのプレミアムがつけられ、この基準価格には3%の売上税と6%の輸入税が含まれており、 この輸入税は今年7月末に15%からこの水準へ下げられていました。これは、インドの地金と宝飾品業界による10年にわたるロビー活動の結果であり、そこでプレミアムは減税後すぐに20ドルへと急騰していました。 インドのPNG Jewellersの会長であるSaurabh Gadgil氏は、「最近、金価格が上昇し、ここ2、3日、売れ行きが軟化している」と述べ、先週初めに価格が10gあたり76,331ルピーと過去最高を記録したことを指摘していました。 「 (しかし) 全体的なセンチメントは強気のままです。」と続けていました。 インドの金輸入量は8月に前月比216%増の136トンに達し、これは祝祭シーズンの旺盛な需要を見込んで宝飾業者が在庫を確保したためですが、その後9月の輸入量は60トンに減少し、その主な原因は金価格の大幅な上昇となっていました。 上海黄金交易所の金価格は、ロンドンとのディスカウントが続いており、先週は週平均で27ドルまで上昇し、2020年の中国の記録的なコロナ危機による金の大幅なディスカウント以来、最も急激な新規輸入の阻害要因となっている需要の低さを示していました。 金を裏付けとするETF投信の中では、世界最大銘柄のSPDRゴールドシェア(GLD)が先週0.2%増加し、1月初旬以来の高値となり、2位のIAUは週間で0.7%増加し、8月初旬以来の最大規模となっていました。 世界の金ETFは9月も残高を増加を維持し、5ヶ月連続で資金流入を記録していました。この連騰は年初来のトレンドを逆転させ、世界の金ETFの残高をプラス圏に押し上げ、年初来の純流入額は3億8900万ドルとなっていました。 最新のデータによると、コメックス金先物・オプションのヘッジファンドやその他のレバレッジ投機筋は、10月8日までの週に、グループとして金に対する強気ポジションを減らし、弱気ポジションはほぼ変化がありませんでした。 その結果、資金運用業者のネットロングポジションは、3週間前に記録した史上最高の670億ドルから11%減少したものの、2023年末からは113%増加していました。 スイスの精錬・金融グループMKSパンプの金属戦略責任者であるニッキー・シールズ氏は、「これまでの中央銀行と投資家(ETF+COT)のフローを考慮すると、説明のつかない金価格の動きが10%ある」と述べていました。 「しかし、金弱気派は金の価格が高すぎると言うかもしれないが、金強気派は中央銀行以外の多くのOTC投資家の買いが価格を押し上げており、その買いは粘着性があると述べるだろう。」と続けていました。 主に工業用金属で年間需要の60%近くを工業用用途で賄っているある銀の価格は、月曜の朝には2.2%も下落してトロイオンスあたり30.84ドルとなり、その後下げ幅を半分ほどに縮小していました。これは、本日中国政府が新たな景気刺激策について述べた内容が、大規模な財政出動を示唆したものの、詳細の内容が欠けていたことからでした。 中国の主要株価指数であるCSI300種指数は、投資家が最近の発表や景気刺激策を評価しする中で、1.9%高で取引を終え、前週の7月下旬以来の週間の大幅な下げを多少回復していました。 欧州株式は、木曜日の欧州中央銀行(ECB)政策決定会合をトレーダーが待つ中で、汎欧州市場であるストックス600種指数は0.02%下落とほぼ動きの無い状態でした。 本日月曜日は、日米市場は祝日のため休場となっています。