金価格ディリーレポート(2023年8月7日)中国の旺盛な需要にもかかわらず、金ETFと金先物市場が金の上昇に「懐疑的」であることを示唆する中、金価格は下落 2023年8月7日 月曜日 17:13 金相場は、中国の消費者と中央銀行が堅固な需要を見せているにも関わらず、金ETFの残高が減少を続け、先物とオプションのネットの強気ポジションが減少し、市場が金価格上昇の可能性に「懐疑的」なことを示唆する中で、前週金曜日の上げ幅を失って月曜日推移していました。 金相場は、金曜日に発表された米国雇用統計の結果がまちまちであったため、週間の下げ幅を0.8%縮小した後、月曜日昼過ぎに0.4%下落し、トロイオンスあたり1935ドルとなっていました。 「金のトレーダーと投資家は、現在の上昇の可能性について 懐疑的なままだ」と、デリバティブ・プラットフォームであるサクソバンクの商品ストラテジスト、オーレ・ハンセンは述べ、ETF投資家が過去10週間ネットで売却をしていること、レバレッジをかけた先物ファンドが過去2週間で4週間ぶりの安値まで強気ポジションをを縮小したことを指摘していました。 投資家は先週、世界最大規模の 金ETFであるSPDRゴールド・トラスト(NYSEArca: GLD)のポジションを縮小し、同ファンドは6.9トンの地金を減少させ、2週連続で縮小した後、3月初旬(シリコンバレーバンクが破綻する直前)以来の最小規模である906トンに達していました。 第2規模のiShareゴールド(NYSEArca: IAU)も前週3.7トン縮小して2週連続で残高減少で440.6トンと、2023年3月中旬以来の規模としていました。 7月のGLDとIAUはそれぞれ約9トンと約4.5トン減少し、2ヵ月連続で資金が流出していました。 最新のデータによると、コメックス金先物・オプションのヘッジファンドやその他のレバレッジ投機家は、8月1日までの週に、グループとして金に対する強気ポジションを2週連続で減らし、弱気ポジションを2週連続で増やしていました。 そこで、全体としては資金有用業者のネットロングポジションは、2023年7月7日以来最小の規模となっていました。 これとは対照的に、上海金取引所の金価格は、世界指標のロンドン価格よりプレミアムのある強い需要を示し続けており、先週、世界最大の金の消費市場である上海黄金交易所(SGE)の卸売地金のプレミアムが週平均で28ドルに上昇した後、月曜日にはトロイオンスあたり30ドルと5ヶ月ぶりの高値水準を維持していました。 MKS PAMPのグレーター中国地域ディレクターのバーナード・シン氏は、「中国の金需要は、消費促進を目的とした景気刺激政策により、 今年後半に改善すると予想されている。」と述べていました。 国営の業界団体である 中国金協会は、先月2023年上半期の民間の金需要は、上海や他の都市が封鎖されていた2022年の同時期と比較して 16%以上増加したと述べていました。 一方、中国人民銀行は、2023年7月 に9ヶ月連続で金準備を増加させ、23トンの金購入を報告し、累計購入量を126トンに増加させた。 中国の金準備は現在2,136トンとなったことが本日伝えられていました。 米国債10年物利回りは、政府機関や多くの金融機関、商業機関の借り入れの基準金利ですが、前週金曜日に発表された7月の米雇用成長率が緩やかなままであったことから、9ヵ月ぶりの高水準から下げた後、月曜日には7ベーシスポイント上昇して4.11%となっていました。 米労働統計局が発表したデータによると、米国経済は予想の20万人を下回る18万7000人の新規非農業部門雇用を増加させていました。 しかし、賃金の伸びは予想を上回っていました。 「FRBにとって、この雇用統計は安心材料に違いないが、 どちらかに傾くことはないだろう」と、金曜日の雇用統計を受けて、PIMCOのマネージング・ディレクター、ティファニー・ワイルディング氏は語っていました。 今週のデータは「より説得力のあるものとなり、FRBに忍耐強く、もう1回会合が開かれるまで経済の推移を見守るよう促すかもしれない」と続けていました。 木曜日には最新の米消費者物価指数が発表されます。 このデータは、2023年7月の年間ヘッドラインインフレ率が前月の3%から3.3%に加速したことを示すと予想されています。 ミシェル・ボーマン米連邦準備制度理事会(FRB)総裁は日曜日、木曜日に注目される米国のインフレ指標を前に、「インフレ率をFOMCの目標である2%まで低下させるためには、 追加利上げが必要になるだろう」と述べていました。 ドル・インデックス(米国通貨の主要通貨に対する価値を示す指標)は月曜日0.3%上昇し、金曜日の1週間ぶりの安値から反発していました。 ユーロ建て金相場は、6月のドイツ鉱工業生産が予想を上回ったことから、為替市場でユーロが対米ドルで軟調となって0.2%安の1762ユーロとなった一方、英国ポンド建て金相場は、0.5%安の1519ポンドとなっていました。