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金価格ディリーレポート(2023年7月3日)「ペーパーゴールド」センチメントは低下してコメックス金先物と金ETFのロングは縮小する中、金価格は1920ドルを超える

金価格は、第2四半期に第1四半期の四半期終値の史上最高値から、あるアナリストが「ペーパーゴールド」と呼ぶ金の先物や金ETFの動きによって3.4%下げた後に、2023年下半期の初日にロンドン時間午前中に下落したものの、その後反発してトロイオンスあたり1920ドルを超えて上昇していました。
 
世界の株式市場も本日上昇し、MSCIワールドインデックスで6月中旬の15ヶ月ぶりの高値を上回っていました。
 
しかし、国債価格は下落し、長期借入コストは上昇し、ベンチマークである10年物米国債利回りは3ヶ月ぶりの高水準となっていました。
 
フェデラルファンドの先物取引のトレーダーは現在、米中央銀行が7月に再び 利上げを実施する確率をほぼ90%と見ており、11月にさらに利上げを実施する確率も40%としています。この割合は、先週木曜日の予想を上回る米GDPと失業保険申請件数の減少を受け、金が3月中旬以来初めて1900ドルを割り込む前の約30%から上昇していました。
 
米ドル建て金価格は、2023年前半期には5.5%上昇していました。
 
サクソバンクの商品ストラテジストであるオーレ・ハンセン氏は、「過去20年間に3度、米FRB金利のピークが、その後の数ヶ月から数四半期における金の力強い上昇を支えた。」と述べ、「しかし、そのようなピークの時期が延期されたことで、ETFや先物を通じた "ペーパー "ゴールドへの短期的な需要は苦境に立たされている。」と続けていました。
 
コメックスの資金運用業者の金先物・オプションのネットロングポジションと金価格の推移 出典元 ブリオンボールト
 
米国の規制当局であるCFTCが発表した最新のデータによると、ヘッジファンドやその他のレバレッジを効かせた投機家は、先週火曜日までの週で、コメックス金先物・オプション(しばしば「ペーパーゴールド」として知られる)の強気ポジションを再び減らし、金価格が下落するという弱気ポジションを増やしていました。
 
その結果、資金運用業者のネットロングポジションは8.6%減少し、シリコンバレー銀行(SVB)の破綻で米国のリージョナルバンキングの危機が始まった3月14日以来最小となっていました。
 
この投機的なネットロングは、金現物価格が史上最高値を更新する直前の5月2日週の高値から42%縮小しています。
 
東京の金融・貴金属アナリストの亀井幸一郎氏は、「金に対する投機的なセンチメントは冷え込んでいるが、先行きの見通しを悲観的に見ているならが、経験則からは半分以下に落ち込むので、先行きには一定の強気の見通しが維持されていると思われている 」と述べていました。
 
金ETFの残高も先週縮小を続け、金のETFとして最大のSPDRゴールド・トラスト(NYSEArca: GLD)と2位のiShare金ETF(NYSEArca: IAU)の両方が週間の減少を記録していました。
 
6月全体を通して、GLDの残高は1.9%減少し、3月中旬以来最小を記録し、IAUは1.5%縮小し、4月13日以来最小の規模となっていました。
 
これらの「ペーパーゴールド」と呼ばれる金先物・オプションと金ETFとは対照的に、現物金地金の需要は、先週価格が3ヶ月半ぶりの安値まで下落した後、世界最大の金消費国である中国で急増していました。
 
上海黄金交易所(SGE)の価格は、ロンドン相場に対するプレミアムが上昇し、先週金曜日にはオンスあたり19ドル近くに達し、3月中旬のSVBの銀行救済以来の高値となっていました。
 
「投資家は 下げで買っており、個人投資家も宝飾品を手に入れることに興味を持っている。」とWing Fung Precious Metalsの取引責任者のPeter Fung氏は述べていました。
 
SGEでの人民元金価格は、今朝1gあたり449円まで上昇し、今年の年初から9.4%上昇していました。
 
しかし、ロイター通信によると、世界金第2消費国のインドにおいては、高値からも金需要は低迷を続けており、ディーラーは先週、陸揚げされた輸入価格に対して4ドルのディスカウントを提供していたとのことです。
 
ムンバイの卸売業者Chenaji NarsingjiのAshok Jain氏は、「継続的な価格調整が、バイヤーの購入延期を促している。」と述べ、「彼らは 価格がさらに修正されることを望んでいる。」と続けていました。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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