金価格ディリーレポート(2023年7月17日)中国GDPの悪化を受けてドルインデックスが上昇する中、金価格はインフレ減速後の急上昇から後退 2023年7月17日 月曜日 17:13 金価格は月曜日に中国の国内総生産が市場予想を下回ったことが伝えられる中、先週の予想を下回る米インフレデータによる米地域銀危機以来のドル建ての上げ幅をロンドン時間昼過ぎに3分の1に縮小していました。 世界第2位の経済大国である中国は本日、4-6月期のGDPが、多くの都市がロックダウン下であった前年同期比6.3%増となり、市場予想の7.3%増を下回ったことを発表していました。 このニュースを受けて、アジア太平洋市場は下落して引けていましたが、欧州先進国の株価指数であるストックス欧州600指数は、前週に3月以来の大幅な上げ幅の2.9%を記録した後に、本日は中国の経済に繊細な鉱山関連株を筆頭に0.4%下落していました。 「予想より弱いインフレ率の数字で、投資家は世界的な(主要中銀による)引き締めサイクルの一時停止を想定し始め、(先週の)米ドル売りの引き金となった。」と、オーストラリアの銀行ANZのシニア商品ストラテジスト、ダニエル・ハイネス氏は述べていました。 「とはいえ、米連邦準備制度理事会(FRB)は依然としてインフレに対する懸念を堅持しており、短期的には金市場にとって逆風となるだろう。」と続けていました。 ドルインデックスは、米国通貨の主要通貨に対する貿易加重価値を示す指標であり、先週の米国消費者物価上昇ペースの急減速のニュースを受けて、15ヶ月ぶりの低水準に達した後、月曜日には上昇に転じていました。 これとは対照的に、ドル建て金相場は、前週シリコンバレー銀行と他の地銀の破綻、そしてスイスの大手投資銀行のクレディ・スイスがUBSに吸収合併されて以来の大幅な週間の上げ幅を記録した、金曜の4週間ぶりの高値のトロイオンスあたり1963ドルから15ドル下落していました。 デリバティブ取引所CMEの FEDWatchツールによると、来週の米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策会合で、同中央銀行が25ベーシスポイント引き上げ、2001年以来最も高い5.50%を上限とする可能性が96%に達していました。 しかし、年末のFed Funds予想は下方修正され、コンセンサス・ポジションは5.39%と、今月の最低値をつけていました。 サンフランシスコ連銀のメアリー・デイリー総裁は先週木曜日、7月25と26日の政策決定会合までFRBスタッフや連邦公開市場委員会(FOMC)参加者が公の場で発言することを禁ずる「ブラックアウト期間」を前に、「 インフレに関して勝利を宣言したと言うのは本当に早すぎる」と語っていました。 「しかし、水曜日に発表された消費者物価のデータは非常にポジティブなものだった。」と述べながらも、デイリー総裁は「様子見モードで、それはインフレ率を2%まで下げるという決意は変わらないからだ。」と続けていました。 米国債10年物利回りは、政府機関や多くの金融・商業機関の借入コストの指標となるものですが、中国の弱いGDPデータを受けて、欧州の主要国債利回りと同様に月曜日も低下していました。 月曜日に昼過ぎにドルインデックスがやや安定して推移していたものの、ユーロ建て金価格は1734ユーロと4ヶ月ぶりの安値をつけ、ポンド建て英国金価格は1490ポンドを下回り、1週間で2度目の安値水準をつけていました。 それに対し、中国の金価格は0.4%上昇し1gあたり454元となり、5月上旬の史上最高値を2円下回る高さに上昇していました。 そのような中でも上海黄金交易所の金地金は、 中国政府が金輸入に制限をしていることからも、ロンドン相場に対して強いプレミアムを示し続け、3ヶ月ぶりの高値の水準のトロイオンス17ドルを維持、過去の平均8ドルを大きく上回っていました。 「中国における)金への関心は、銀行セクターの脆弱性に対する懸念に起因している。」とStonXのRhona O'Connellは述べていました。 月曜日に発表された新しいデータによると、中国経済の約4分の1を占める巨大な不動産セクターへの投資は、6月には5月から悪化していました。 このセクターを支援するために金利を引き下げた中国の中央銀行は、既存の不動産ローンの期間も延長し、債務者の返済遅延を支援していました。