金価格ディリーレポート(2023年2月6日)金相場は米雇用統計の低値から上昇しているものの、米中の緊張の高まりでドル高へ 2023年2月6日 月曜日 17:34 金相場は、ドルや米国債利回りが先週金曜日の急騰から更に上昇したにもかかわらず、中国の「偵察」もしくは「気象研究用」気球をめぐり米中間の緊張が悪化する中で上昇していまし。 金地金価格は、金曜日に米雇用統計が予想を上回り米労働市場が引き続き強いもので、ISM非製造業景況指数においても1月の新規受注が回復していたことが明らかとなり、2.4%下落して、金曜日のLBMA価格としてはひと月ぶりの安値をつけた後、本日0.5%上昇してトロイオンスあたり1873ドル前後をロンドン時間昼過ぎに推移していました。 地政学的緊張が高まる中、ドルインデックス(米国通貨の主要通貨に対する価値を示す指標)は、金曜日の上昇基調を受け継ぎ月曜日の朝には4週間ぶりの高値に近い水準に達した。 金曜日の金の急落は、米国と英国が昨年3月にプーチン大統領のウクライナ侵攻に抗議してロシアの商品・製品の輸入禁止に動いたため、史上最高値に近い2075ドルに急騰していた価格が後退した時以来の最大の1日の下げ幅となっていました。 デリバティブのプラットフォームであるサクソバンクの戦略チームは、「金相場は、米国の雇用統計とISMが予想を上回ったため、1900ドルの支持線から抵抗線に変わったところを下回り、長い間起こるべきとされていた調整が金曜日に加速していました」とコメントしていました。 しかし、米中関係の緊張が高まる中、この金価格は反発していました。 土曜日、米軍の戦闘機がサウスカロライナ州沖で、中国の「偵察」気球と呼ばれるものを撃墜していました。 その後北京は、「完全に偶然に」米国領空に迷い込んだ気象的・科学的機器と呼ぶものに対するこの攻撃を 強く非難していました。 この気球を巡る2国間の緊張の高まりによって、米国のアントニー・ブリンケン国務長官は中国訪問を延期していました。 INGグループNVの中国担当チーフエコノミストのアイリス・パン氏は、「米中双方は、異なる産業分野の技術について、 さらに輸出禁止を課す可能性がある」とレポートで述べていました。 金曜日に発表された米雇用統計で、失業率が1969年以来最低の3.4%となったことを受け、米10年債利回りとインフレ連動10年TIPS債の実質金利はそれぞれ3.61%と1.35%と1カ月ぶりの高水準に上昇していました。 一方、上海黄金公益所の金相場は、人民元相場が1グラムあたり414円と約1カ月ぶりの安値となったものの、月曜日に新規輸入品への動機づけとなるプレミアムがトロイオンスあたり20ドルと3週間以上ぶりの高値をつけていました。 ユーロ建ての金価格は1737ユーロと0.8%上昇し、ポンド建ての金価格は1551ポンドと0.3%上昇し、それぞれ先週の2.9%と0.6%の下げ幅を縮小していました。 そのような中、円建て金相場は、本日 日経新聞が、日銀の雨宮正佳副総裁が次期総裁になるとの匿名の情報源(政府高官が否定)を報じた後、円が米ドルに対して弱含み、1グラムあたり7949円と前週終値から1.1%上昇していました。 雨宮氏は2013年に黒田東彦総裁の資産買い入れプログラムを起草する際に重要な役割を果たし、日本の金利をゼロ以下に維持するよう一貫して求めてきています。 アジアとヨーロッパの株式市場は、ドイツの鉱工業受注が12月の最新データで予想を上回り、1年以上ぶりの大きな伸びを記録したにもかかわらず、下落していました。 米国株式先物も、投資家が明日のワシントン経済クラブでのパウエル連邦準備制度理事会議長の講演を待つ中で下落していました。