金価格ディリーレポート(2023年1月30日)中国が旧正月後も金需要の高さを見せたのに対しインドの需要は鈍る中で、米政策金利発表を前に金価格は高い水準で安定 2023年1月30日 月曜日 18:21 金融市場が今週の連邦準備制度理事会(FRB)、欧州中央銀行、イングランド銀行の金利決定とインフレ関連へのコメントに注目する中で、米ドル建て金価格は堅調に推移していました。その一方、金の二大消費国である中国とインドの地金価格はそれぞれ数年ぶり、過去最高値に上昇していました。 アナリストやトレーダーは、米国FRBが2023年に利上げを減速、一時停止し、その後利下げをすることで、ユーロ圏と英国の金利差が縮まると予想しており、米国の通貨価値を主要通貨に対して示すドルインデックスは、本日月曜日に8ヶ月ぶりの安値付近まで下落していました。 その結果、金現物価格はトロイオンスあたり1926ドルを上回り、前週木曜日の9ヶ月ぶりの高値である1950ドル付近から下げているものの、週の終値ベースでは6週連続で上昇した水準をほぼ維持しています。 StoneX Group Inc.のローナ・オコンネル氏は、「この上昇の主な要因は、リスクを軽減したい投資家とFRBの金利サイクルの減速及び停止を期待してのものだと思われる」と分析しています。 一方、上海黄金交易所(SGE)の金価格は、2020年9月以来の高値となる1グラムあたり422円で、旧正月前と変わらずに新たな年をスタートさせました。 このSGEの金価格はロンドンに対して高いプレミアムを示し続け、本日はトロイオンスあたり13ドルに上昇し、金の世界最大の消費国場への金の新規輸入のインセンティブでもあり、中国の金の需要の強さを示すプレミアムの過去の平均を60%以上上回っていました。 一方金消費国世界第2位のインドの金価格は、月曜日に先週の新高値を更新し、10グラムあたり57,149ルピーに達していました。 この金価格の高騰により、ディーラーは、15%の輸入税と3%の販売税を含む価格で先週のロンドン相場からトロイオンスあたり42ドルもの値引きを余儀なくされました。 ロイターは、ムンバイの民間地金輸入銀行のディーラーが、「ディーラーや宝石商は、政府が次期予算で 輸入税を引き下げるとの期待から、購入を先延ばしにしている」と述べていました。 インドの政府予算は2月1日に発表され、ディーラーや宝石商は、インド政府に対し、密輸業者を弱体化させ、合法的な需要を高めるために、 金輸入税を削減するよう毎年嘆願している。 ロイター通信は、商務省筋の話として、密輸の増加により、先月、合法的な輸入が前年比79%減となり、少なくとも 20年来の最低水準となったと伝えていましたが、ニルマラ・シタラマン財務相は先月、 この見解を否定していました。 ユーロ建ての金価格は、為替市場で19カ国の単一通貨がドルに対して上昇したため、0.4%下落し1766ユーロとなり、ポンド建ての英国金価格は0.2%下落し1554ポンドとなっていました。 ユーロ圏の長期金利も、木曜日の欧州中央銀行の金利決定を前に、あるストラテジストによると、ユーロ圏第4位の経済大国スペインのインフレデータが予想を上回り、「 市場の意表をついた」ことから上昇に転じていました。 ユーロ圏の指標金利であるドイツの10年国債利回りは2.31%を超え、2週間ぶりの高水準となっていました。 スペインの1月のインフレ率は5.8%に上昇し、アナリスト予想の4.7%を大きく上回っていました。対照的に、米国のコア個人消費支出PCEコア・デフレーター(食品とエネルギーコストを除いたFRBがインフレデータとして注目する指標)は先月、11月の4.7%から前年同月比で4.4%に鈍化していました。 「もし債券市場の予測(FRBの金利決定)が、銀行家自身のレトリックを考えると、あまりにも穏やかであった場合、債券市場はそれに応じてプレッシャーを受けることになるかもしれません」とStoneX社のオコーネル氏は述べていました。 「そうなれば、金の輝きは失われるが、金の価格の方向性が反転することはないだろう。」と続けていました。 FRBは、火曜日と水曜日に行われる会合で、利上げペースを25ベーシスポイントに減速させ、4回連続で75ベーシスポイント、そして12月に50ベーシスポイントの利上げを行った後、フェデラルファンドレートを4.75%に引き上げるとほぼ全ての人が予想しています。 一方、イングランド銀行と欧州中央銀行は、木曜日に主要金利を50ベーシスポイント引き上げ、それぞれ4%と2.5%にすると予想されています。