金価格ディリーレポート(2022年7月4日)景気停滞懸念で株、銀、債券、銅が上半期下げる中で金は1800ドルを維持 2022年7月4日 月曜日 17:02 金相場は、ドル高の中で2022年初頭からほぼ横ばいの1800ドルを超える水準で安定しています。 この間、世界株式市場は、景気後退への懸念が高まる中で、この上半期において30年を超える期間で最も大きな下げ幅を記録しています。 現物金価格は、 5ヶ月ぶりの安値1784ドルから金曜日に25ドル上昇した後、ロンドン時間昼過ぎに1807ドルへと小幅に下落していました。 この貴金属はロシアがウクライナに侵攻した際に記録的な高値となった3月上旬の2069ドルからは12.7%下落していますが、米ドル建て金価格は2022年初頭からわずか0.04%の下落に留まっています。 日本貴金属マーケット協会(JBMA)の代表理事の池水雄一氏は、最新のノートで、「金が1800ドルを下回ると直ちに買われたことは、金の安全資産としての魅力がいかにサポート要因であるかを反映している」と述べています。 そして「インフレが不況へとつながる可能性をマーケットは真剣にみており、株、銅、そして産業用の貴金属であるプラチナそしてシルバーに売り圧力が強くなり、ゴールドも同じくその売り圧力にさらされました。」と続けていました。 銅価格は、2022年上半期に16%も暴落した後、月曜日には17ヶ月ぶりの安値付近で推移しています。 アトランタ連邦準備制度理事会が注目する GDP Nowの予測によると、第2四半期の米GDPは年率マイナス2.1%に落ち込み、2022年上半期にすでにテクニカル的にはリセッションに陥っていたことを暗示していました。 「日本の金融グループである野村證券のリサーチレポートでは、「(世界経済が) 同期的な成長減速に入る兆候が強まっている」と述べています。 ユーロ圏、英国、日本、韓国、カナダ、オーストラリア、米国を含む「各国はもはや輸出の回復に頼れないことを意味し、複数の景気後退を予測するよう促している」とも述べています。 世界の株式市場で構成されるMSCIワールド・インデックスは、2022年上半期に21%以上下落し、少なくとも1988年以来最悪の年初来損失となった後、月曜日に0.4%上昇する傾向が見られていました。 米国株S&P500指数は上半期20.6%下落し、1970年以来最悪の記録をつけ、ハイテク株比率の高いナスダックは同半期29.5%下落し、過去最大の急落をしていました。 米国市場は、7月4日独立記念日の祝日のため、月曜日は休場となっています。 また、年間需要の6割が工業用途である銀の価格は、2年ぶりに20ドルを割り込み、先週6%近く下落した後、ロンドン時間昼過ぎにトロイオンス19.83ドルで横ばいに推移していました。 ドル建ての銀は、2022年上半期に13%下落しています。 その結果、金と銀の相対的な関係を示す金銀比価は91を超え、過去2年間で最も高い値となっていました。 自動車触媒を中心とした工業用途が需要の3分の2を占めるプラチナは、2022年上半期に8.6%下落し、月曜日には0.4%下落してトロイオンスあたり887ドルと、2020年11月以来の安値水準となっていました。 また、ロシアが第1位の採掘量を誇る姉妹金属のパラジウムは、1~6月に3.7%の上昇を記録した後、本日0.3%安のトロイオンスあたり1958ドルと小幅な値動きとなっていました。 長期金利は上半期に急上昇したものの、6月末にかけて債券価格が激しく上昇したことで反落し、指標となる米10年債利回りは3%を割り込み、週間では過去4ヶ月で最大の下げ幅を記録していました。