金価格ディリーレポート(2022年3月7日)ロシアの原油輸入禁止協議で原油が急騰し、世界株がスタグフレーション懸念で急落する中で、金価格が2000ドルを超える 2022年3月7日 月曜日 17:34 本日金価格は2000ドルに達し、パラジウムは過去最高値を更新していました。 それは、ロシアのウクライナへの侵攻が激化し、世界の株式市場が再び急落し、スタグフレーション懸念が悪化し、米国とEUがロシアからの原油輸入禁止の可能性について協議する中で、原油価格が13年ぶりの高値に急騰する中のことでした。 金相場はアジア取引開始時に急騰し、米ドル建てで1.5%上昇し、 2020年8月の過去最高値以来の高値となるトロイオンスあたり2001ドルに達していました。 一方株式市場は、ニューヨークのオープンを前に欧米の株式が反発して下げ幅を削る前に、ロンドンのFTSE100で2.7%、ドイツのDAXで4.0%と大きく下落していました。 この株価の反発は、月曜日ロンドン時間昼過ぎに金価格が先週の終値である1970ドルまで下げ幅を広げた際と重なりましたが、MSCIワールドインデックスは新年のピークから10%以上下落していました。 主要な国債価格も下落し、長期金利を押し上げる中、欧州原油価格の指標であるブレント価格は、月曜日のアジア取引開始時に18%以上跳ね上がり、1バレルあたり139.13ドルと2008年7月以来の高値に達していました。 アントニー・ブリンケン米国国務長官は日曜日に、「我々は現在、ヨーロッパのパートナーや同盟国と、世界市場に適切な石油の供給があることを確認しながら、ロシアの石油の輸入を禁止する見通しについて 協調的に検討するよう話し合っている。」と述べていました。 「現段階ではとても活発な議論です。」と続けていました。 英国ポンド建て金価格は、本日ロンドン時間午前中に2.0%上昇しオンスあたり1520ポンドと18ヶ月ぶりの高値、ユーロ建てでは2.3%上昇し1846ユーロと史上最高値をつけていました。 また、日本円建て金価格はグラムあたり7407円と、2月中旬に記録した最高値を1.8%上回り、過去最高値を更新していました。 原油価格は先週金曜日、イランの核開発問題をめぐる協議が難航し、イラン産原油を再び世界市場に流通させるという 合意が得られなかったため、すでに2008年以来の高値まで急騰していました。 そして、ロシアが主要供給国である欧州の天然ガス卸売価格も高騰し、昨年の今頃はわずか1メガワット時(MWh)あたり16ユーロだった価格が、335ユーロと前週終値比18%跳ね上がり、過去最高を記録していました。 「石油とガスが高騰し、世界の成長への影響が懸念される中、金融市場には スタグフレーションの恐怖が漂っている。」と、英国の証券会社ハーグリーブス・ランスダウンのシニア投資・市場アナリスト、Susannah Streeter氏は語っていました。 「エネルギーと食糧の価格が大幅に上昇する中で安全性を求める動きが、 しばらくは金を支え続けるはずだ。」と、ブルームバーグにテクニカル・ストラテジストが語っていました。 「今日の環境下でインフレ問題に取り組めない場合、価格はトロイオンス2142ドルまで上昇する可能性がある。」とも述べていました。 国連によると、ロシアのウクライナ侵攻で「穀倉地帯」の輸出や作付けが打撃を受ける前から、世界の食料価格は先月すでに 過去最高値に跳ね上がっていました。 排出ガス浄化装置として自動車触媒に使用され、毎年新規供給の40%がロシアで採掘されているパラジウムの価格は、先週27%上昇した後、月曜日の朝に14%上昇し、トロイオンスあたり3444ドルと、原油のように急騰した。 ロシアのウクライナ侵攻を受けて、ヨーロッパのほとんどの空域が ロシアからの輸送を遮断しているため、パラジウム鉱山会社で世界第一位のノリルスク・ニッケルは輸送のための「代替ルート」を検討しているとニュースワイヤーで報じられていました。 パラジウム価格はロンドン時間昼過ぎに上げ幅を失い、600ドル以上の下落で、先週終値の水準(先週までの史上最高値)を割り込んでいました。