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金価格ディリーレポート(2022年2月28日)ロシアへの制裁強化でルーブルが急落しロシア中銀が金準備を開始する中で金は上昇

金価格は先週の高値のトロイオンスあたり1970ドルから60ドル安であるものの月曜日に上昇しています。
 
これは、ロシアのウクライナ侵攻に対する欧米の制裁強化でルーブルが暴落し、 プーチン大統領がロシアが核戦力を運用する部隊に対し「任務遂行のための高度な警戒態勢に入る」ことを命じる中のことでした。
 
ウクライナとロシアの当局者による会談がベラルーシ国境近くで月曜日で始まったものの、キエフのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、それが平和をもたらすことに 懐疑的でした。
 
欧州の大半とカナダがロシアの空母に対して領空を閉鎖する中、欧州連合(EU)は「攻撃を受けている国に対して史上初めて」 武器などの資材の購入と配送に資金を提供することを申し出たと欧州委員会のフォンデアライエン委員長は述べていました。
 
ヨーロッパの株式市場とウォール街の先物は月曜日に下落し、ストックス欧州600指数は1月のピークからほぼ10%下落していました。 
 
ロシアの中央銀行は、政策金利をこれまでの2倍以上の20%に引き上げ、ルーブルは為替市場でその価値が約1/3に急落し、為替市場で1ドル100円を超える史上最安値を更新していました。また、中央銀行を明確に対象とした制裁により国際金融市場から締め出されている外貨準備として、国内で採掘した金の購入も再開していました。
対米ドルルーブルの推移 出典元 Trading Economics
 
第二次世界大戦後最大の欧州国家への攻撃であるウクライナへの侵攻から5日目を迎え、金現物価格は、月曜日のアジア取引開始時に1928ドルと約2%急騰していました。
 
ロシア銀行が、世界第3位の国内生産量を誇る鉱山から 再び金の購入を開始する動きについて、ファイナンシャル・タイムズは、スイスの精錬・金融グループのMKSパンプのストラテジストのNicky Shiels氏の「このような時のためにこの規模の軍備を整えるものだ」を引用していました。
 
この動きは、ロシア中銀が 米国主導の制裁措置により、ロシアの主要商業銀行数行と共に世界の金融市場から締め出された後に行われたものです。
 
「これは、金価格への影響について、 当初は強気とみなされる可能性があります。」とShiels氏は述べていました。
 
CBRは、2014年から2019年まで 年間約200トンの金を備蓄し、ロシアのクリミア併合による西側制裁の中で、金準備を倍増し、今世紀最大の金購入国となったのでした。
 
ロシアは現在、約2,300トンの金を保有しており、国の金保有量としては中国を抜いて第5位となっています。
ロシアと中国の金準備の推移 出典元 ワールドゴールドカウンシル
 
 英国の大手石油会社BPは、ロシアの国営石油会社ロスネフチの20%近い株式をすべて売却すると発表し、 他の欧米企業もこの動きに追随したため、同社の株価は本日6.1%下落していました。
 
一方、ベースメタルは急騰し、アルミニウムは過去最高値を更新し、ニッケルは上昇、小麦(ロシアとウクライナで世界の輸出量の30%を占める)の価格は13年ぶりの高値に跳ね上がっていました。
 
主に工業用金属である銀の価格は0.9%上昇しトロイオンスあたり24.48ドルとなり、ディーゼル車の排ガス浄化触媒を中心とする工業用途が需要の3分の2を占めるプラチナはトロイオンスあたり1060ドルと横ばいで取引されていました。
 
ロシアが第1位の採掘権を持つ パラジウム価格は、ロシアに対する新たな制裁措置によって工業的に有用な貴金属の供給に問題が発生することが懸念されて、月曜の取引開始時にトロイオンスあたり2552ドルまで8%近く上昇したものの、その後80ドルほど上げ幅を削っていました。
 
一方近価格は、ドルインデックス(主要通貨に対する米国の通貨価値の指標)が1カ月ぶりの高さに上昇したため、すべての主要通貨建てで月曜日の初期の上げ幅の一部を失っていました。
 
その結果、金はトロイオンス1910ドルまで値を戻し、英国ポンド建てでは1425ポンド、ユーロ建てでは1706ユーロと上げ幅を前週終値比1.1%へと削っていました。
 
石油価格も月曜日に急騰し、ヨーロッパの指標であるブレント原油は7%上昇し、1バレルあたり105ドルに達っしていました。
 
メディアによると、米国、英国、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、そして欧州委員会が土曜日、ロシアの中央銀行による約6300億ドルの外貨準備の使用を阻止すると述べた後、週末にはロシア中のATM現金引き出し機に 数千人のロシア人が列をなし、ルーブルを手に入れようと急いでいることが伝えられていました。
 
バイデン米大統領は、プーチン大統領がロシアを「世界経済と金融から置き去りにされた者」に変貌させる中、新たな制裁として、国際決済システム「国際銀行間通信協会(Swift)」からロシアの銀行を締め出す方針を打ち出していました。
 
米国はこれまで、イラン、ベネズエラ、北朝鮮の中央銀行のみを同様な制裁対象としてきています。
 
米国高官は、「これらの措置の効果は、ロシアの金融市場に直ちに反映されると確信している」と述べていました。
 
「市場参加者は、ロシアが自国通貨を守る能力を持たなければ、(ロシア通貨が)暴落することを理解している。」と続けていました。
 
ロシア株の空売りをすでに禁止しているロシア中銀は、ロシアの証券会社による外国人投資家の保有株の売却も禁止し、モスクワ取引所は月曜日閉鎖されていました。
 

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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