金価格ディリーレポート(2022年12月19日)金相場は2022年の異なる要因の綱引き状態を経て1800ドル割れで推移する中で、金ETFは年間の減少で終える傾向 2022年12月19日 月曜日 17:44 金相場は、前週の大きな価格変動後に狭いレンジでの取引となっています。これは、今年一年のインフレ、戦争、地政学的緊張の中で富を保全する金の魅力が増す中で、金利上昇とドル高という金のネガティブ要因との綱引き状態を経る中でのことでした。 先週、米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利の上限4.5%に引き上げた後、長期借入コストが上昇して、米国10年債の年利は3.50%を超えていました。そこで、景気後退の明確なシグナルとして広く受け入れられているイールドカーブは大きく反転していました。 証券会社StoneXグループの市場分析責任者であるローナ・オコネル氏は、2022年に金ETFの清算が続いていることを指摘しながらも、「ドルへの強気基調と長期金利上昇に対する強気基調の有効性が失われつつあるとすれば、これは金にとって追い風となる。」と述べていました。 先週、米国建て金相場は、米国の インフレデータが予想を下回ったものの、FRBが予想通り政策金利を0.5%引き上げ、予想に反してターミナルレート(最終到達点)もまた0.5%引き上げて5.1%とするなど、 「タカ派的」スタンスを示したことを受けて50ドル変動した後、金現物価格は月曜日にはトロイオンスあたり1790ドル前後を維持し、安定した動きとなっています。 RBCの商品ストラテジストであるクリストファー・ルーニー氏は、「金価格を引き下げるネガティブな金融要因と、インフレ時やリスクの高い時期に富の保全となる金地金の魅力の間で、長い間 綱引き状態が続いている。」と述べていました。 FRBが新年から先週水曜日の発表までにオーバーナイト金利を4ポイント以上引き上げたことで、ドルインデックス(米国の通貨の価値を主要通貨に対して示す指標)は2021年末から8.9%上昇した。 2022年にドル建て金地金は昨年末から1.2%下落し、ロシアのウクライナ侵攻後の3月に 史上最高値に近い2069ドルでピークに達した後、英国史上最短の首相であるリズ・トラス政権の混乱を招いた財源なき減税を含む予算で、米国通貨が20年ぶりの高値を付けた9月には 1614ドルと2年半ぶりの安値まで下落していました。 月曜日は、岸田文雄首相率いる政権が、日銀の2%のインフレ目標に関する日銀との共同声明を修正し、日銀の超低金利金融政策の微調整に道を開く可能性があるという報道を受けて、日本円が上昇し、ドル円のDXY指数は0.3%下落していました。 日銀は、2016年9月以降、政策金利を-0.1%に維持し、ハト派的な金融政策を堅持しており、今週火曜日に2日間の集会を終えた際も、マイナス金利とイールドカーブコントロールプログラムを変更しない見通しとなっています。 月曜日の 日本円での金価格はグラムあたり7,858円と0.1%小幅に下落し、2022年はこれまで16%上昇しています。 一方、英国ポンド建て金価格は月曜日ロンドン時間昼過ぎに0.3%安の1472ポンドとなりましたが、2022年は9月に前トラス政権が招いた混乱からポンドが市場最安値を付ける中で、1580ポンドの史上最高値を更新した後、2021年末から約10%の上昇を維持しています。 ユーロ建ての金は本日0.2%減のトロイオンスあたり1691ユーロで、前年末からの上昇率は5%にとどまっています。 SPDRゴールドシェア(NYSEArca: GLD)は前週は金曜日に週間の増加分を全て失い増減は無しで、iShareゴールドETF(NYSEArca: IAU)は16週連続で投資家の資金が流出するなど、先週は 金を裏付けとするETF信託が縮小していました。 SPDRゴールドシェアの残高は今年は年間で6.3%減少、iShareゴールドは8.2%減少しています。 昨年はSPDRゴールドシェアは16.8%、iShareゴールドが6.5%縮小していましたが、パンデミックで安全資産としての金の需要が急増した、2020年にはほぼ31%と46%増加していました。 ドイツの経済指標であるIfoが強い回復を示し、19カ国からなるユーロ圏最大の経済圏の2023年の景気後退が予想より穏やかになると研究所が述べたことを受けて、欧州株式市場は月曜日に上昇し、汎欧州のストックス600とロンドンのFTSE100が共に0.5%上昇し、2週連続の下落から立ち直りを見せている。