金価格ディリーレポート(2022年10月24日)日本政府の円買い介入にもかかわらずドル高継続で金は下落
日本円が日本政府による更なる為替介入にもかかわらず、ドルに対して再び下落したため、金価格は月曜日には円を除く全ての主要通貨で下落していました。
リス・トラス首相が財源なき減税を含む小型補正予算の失敗から辞任し、ボリス。ジョンソン前首相が英国の与党保守党の党首選から撤退し、リシ・スナク元財務相が次期首相に決まったことで、英国の債券価格は上昇し、英国ポンドは堅調に推移しています。
英国ポンド建て金価格は、月曜日のアジア時間に反落したものの、ロンドン昼過ぎに金曜日の11週間ぶりの安値の1446ポンドを10ポンド上回る水準で取引されていました。
ドル建て金現物価格は、ロンドン時間早朝に1670ドルまで急騰し、金曜日の2年半ぶりの最安値からの上昇を拡大した後、前週終値比0.6%安の1647ドル前後で推移していました。
「米国債利回りのピークと反転のタイミングに関する憶測は別として、現在の米ドル/円の乱高下がアルゴリズム取引を両方向に暴走させている」と、デリバティブプラットフォームのサクソバンクの戦略チームは述べていいました。
日本円建て金価格は、日本政府の意向に沿って日本銀行が2日連続で介入した疑いがあるにもかかわらず通貨安が続いたため、10分間で1グラムあたり200円近くも変動した後、0.5%上昇し7,905円となっていた。
日本銀行が主要金利をゼロ以下に抑えている一方で、アメリカのFRBや他の中央銀行は過去40年間で最悪の消費者物価インフレに立ち向かうために積極的に金利を引き上げているため、円はドルに対して今年22%急落している。
欧州中央銀行は木曜日にユーロ金利政策を決定するために金融政策決定会合を開き、民間エコノミストの投票では75ベーシスポイントの2%への利上げが予想されています。
現在3.25%の米国金利について、シカゴ連銀のチャールズ・エバンス総裁は金曜日に、「フロントローディングは良いことだったが、オーバーシュートもコストがかかる」と述べていました。
また、サンフランシスコ連銀のメアリー・デイリー総裁も、来週の政策決定会合に注意を促し、5回連続の75ベーシスポイントの引き上げが予想されているが、12月には50ベーシスの引き上げにとどまるとの観測が高まっています。
本日の為替市場では、日本円は夜間に1米ドル=149.70円の安値を付けた後、1分以内に145.28円の高値まで上昇していました。
しかし、日本政府はすでに9月に200億ドル、先週にはさらに300億ドルを投じ、1998年以来初めて円の価値を守るために円買い介入を行ったと推測されており、ロンドンの月曜日の昼過ぎには149円を下回る水準と、金曜日の32年ぶりの安値となる152円よりわずかに円高の水準にとどまっていました。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の上野大作チーフFXストラテジストは、1992年秋の欧州通貨統合の失敗を引き合いに、「英国ポンドやイタリアのリラに関わる過去の危機では、当局は結局、自国通貨の防衛に失敗した」と述べていました。
「同様に、日本の覆面介入は限られた効果しかない」と続けていました。
一方、ユーロ建て金価格は0.9%下落し、トロイオンスあたり1676ユーロとなった一方、欧州株式市場は、英国の最新の政治的混乱が解決する中で上昇していました。
欧州の国債価格も上昇し、辞任に追いやられた英国のトラス首相とクワシー・クワルテン前財務相が、財源を明確にすることなく過去50年間で最も大規模な減税策を発表したことで、英国ポンドを史上最安値まで急落させ、急騰していた長期借入コストを引き下げていました。