金価格ディリーレポート(2022年1月17日)2022年のFRB利上げを「織り込み済み」の金は、 原油インフレで債券利回りが再上昇する中堅調に推移
本日ロンドン時間月曜日昼過ぎに、金はトロイオンスあたり1820ドルと堅調に推移していました。
これは、長期金利が債券市場でさらに上昇し、原油が3年ぶりの高値を付けていたにもかかわらずでした。
金現物価格は、本日前週終値比0.2%上昇し、トロイオンスあたり1820ドルをロンドン時間昼過ぎに付けていました。これは、前前週の タカ派的FOMC議事録発表後の1.8%安を前週3分の2回復した動きに続くものでした。
日本貴金属マーケット協会(JBMA)の代表理事池水雄一氏は、「3月のFRBによる利上げは、ほぼマーケットに織り込まれている」と語り、「そのうえでこの堅調の1800ドル以上のレベルを保っているということ自体がゴールドが金融引き締めによって簡単に下げてしまうというわけではないということを示しているのではないでしょうか。」と最新のレポートで述べていました。
先週は、今月25と26日に行われる次回FOMCまで発言が制限される「ブラックアウト」期間を前に、 FRB高官からタカ派的な発言が相次いでいました。
本日月曜日は、米国株式・債券市場はキング牧師記念日の祝日で休場ですが、米国債先物取引の10年物利回りは1.85%と、金曜日の最高値水準を5ベーシスポイント上回り、金融市場における世界的なコロナ危機による暴落直前の2020年1月以来の高さとなっていました。
デリバティブプラットフォームのSaxo Bankのコモディティ・ストラテジストのOle Hansen氏は、「金は、金曜日の債券利回りの再上昇にもかかわらず、底強さを保っている。市場は米国金利の上昇を 引き続き織り込んでおり、そのペースはこれまでの予想よりも速い可能性があります。」と述べていました。
イエメンのフーシ派反乱軍がアブダビの石油施設を攻撃したと見られる 無人機による攻撃からも、原油価格は月曜日にバレルあたり86.71ドルと3年間の最高値を更新していました。この原油高は、米国や他の中央銀行が金融引き締めを開始または議論する原因となるインフレの急増を牽引しており、先週5%、昨年は50%の上昇を見せていました。
12月の米国消費者物価は前月比0.5%上昇し、生活費インフレ率は2021年全体で7%高と40年ぶりの高水準に達していました。
しかし、その中で エネルギー価格構成比は前月比0.4%低下し、4月以来のマイナスとなっていました。エネルギー価格の高騰は、昨年年初以来のインフレ高の要因の一つでもありました。
中国の中央銀行は、他の主要経済国とは大きく異なる政策として、本日主要金利を約2年ぶりに引き下げ、商業銀行への1年物融資を10ベーシスポイント利下げしていました。
この政策発表に先立ち、月曜日に発表された公式データによると、世界第2位の経済大国の成長率は2021年末時点で年率4%に達し、2020年初めのコロナ危機によるロックダウン以来最も弱いペースとなっていました。
毎年恒例の旧正月休暇と買い物三昧が始まると同時に、新たなコロナ規制が再施行されており、「国内経済は需要収縮、供給ショック、期待の弱まりという 3重の困難下にある」と、国家統計局(NBS)のトップのNing Jizhe氏はデータを発表した際にコメントしていました。
12月の小売売上高は前年比1.7%増にとどまり、2020年8月以降で最も遅いペースで予想を下回っていました。
ロイターの計算によると、12月の不動産投資は前年比13.9%減となり、 2020年初頭以来最も速いペースで減少しているとのこと。
上海黄金交易所(SGE)の金価格はその間、ロンドンに対するプレミアムを示し続け、先週貴金属の世界最大消費国の地金がトロイオンスあたり1ドルの新規輸入のインセンティブを増加させた後、トロイオオンスあたり5ドルのプレミアムで安定的に推移していました。
本日ユーロ金相場は、ユーロ圏の債券利回りが上昇し、ドイツの10年債金利が2ベーシスポイント上昇し-0.028%となる中で、トロイオンスあたり1595ユーロと0.2%上昇していました。、先週この金利は、2019年5月以来最もマイナス値が減少して-0.014%をつけていました。
また、ブレグジット推進派のボリス・ジョンソン首相の政局が悪化する中、これまで強気だったポンドがFX市場で弱含み、英国の投資家向け金相場は0.3%上昇しトロイオンスあたり1334ポンドとなっていました。
最新の世論調査によると、ジョンソン首相の「パーティーゲート」スキャンダルにより、半年前には 42%支持率が20%へと下げており、野党労働党がジョンソン保守党に対して 10ポイントリードへと広げていることが明らかとなっていました。