金市場ニュース

金価格ディリーレポート(2021年3月1日)長期金利が上昇の勢いを弱め、アジアのバーゲンハンター的需要からも金は8ヶ月ぶりの低さから上昇

金価格は、月曜日午前中に債券市場が先週の暴落から安定したことから8ヶ月ぶりの低値から上昇していました。
 
これは、世界の主要中央銀行が低金利政策とQE政策を継続することを明確にすることで投資家を安心させたことが背景となっていました。
 
オーストラリア準備銀行は、 価格を支え、利回りの上昇を抑えるために、公開市場で国債購入を再開し、ジョー・バイデン米大統領は、2週間後に失業者支援策が終了する前に、1.9兆ドルのコロナウイルス救済策を上院で承認させるための次の段階に進みました。
 
金現物価格は、ロンドンで月曜日昼過ぎまでに当初の40ドルの上昇幅を半減させてトロイオンスあたり1735ドルを推移していました。これは、先週2.8%下落して6月以来の再低値を付け、2月には月間で6.2%下落して2016年12月以来の最大月間下落率を付けた後のことでした。
 
「今朝のアジア時間における金価格の上昇は、売られすぎた状況でのバーゲンハンティングによるものがあるでしょう」と、Stone x Groupのローナ・オコネル氏が日々まとめている最新の金価格と貴金属のノートには書かれていました。
 
中国の金価格は一夜にして下落し、人民元ベースでは昨年4月以来の安値を記録していましたが、ロンドン金価格と比較した上海黄金交易所のプレミアムはトロイオンスあたり10ドル以上に上昇し、17カ月ぶりの高値を記録していました。  
 
上海黄金交易所の金価格のプレミアムと金価格 出典元: SGE、LBMA、セントルイス連銀とWGCのデータを基にブリオンボールトが作成
 
中国の歴史的な2020年のロンドン価格に対する金のディスカウントは、世界的なコロナ危機の中で供給に対する需要の弱さを示唆しているが、今年に入り中国価格がロンドン価格を上回るプレミアに転換しており、先月の春節の重要な金購入の祭典以来上昇をしています。
 
昨年のディスカウントは昨年8月に トロイオンスあたり88ドルに達しましたが、これは人民元を含む多くの主要通貨建ての金価格がCovid-19の感染が広がる中で債券利回りが急落したこともあり、史上最高値を更新していた際でした。
 
「中国の銀行からも先週あたりから キロバー輸入の打診が増えているとのことです。」と、中国の銀行ICBCスタンダードバンクの元東京支店長で、現在は日本貴金属マーケット協会(JBMA)の代表理事を務める池水雄一氏は述べていました。
 
「おそらく(中国)人民銀行からのquotaが新たに認められたのではないか。」と続けています。
 
また、Stone X Groupのオコネル氏によれば、月曜日の金価格の上昇は、「主要な中央銀行からの協調的な発言が続いており、それが債券市場の売られていた熱気の一部を奪っている」ことも反映しているということでした。
 
米国10年物国債利回りは、先週1.614%という12ヶ月ぶりの高値を記録した後、週明けに1.429%まで下落していました。債券価格が下げると債権利回りは上昇します。
 
 
ドルインデックス(主要通貨に対する米国通貨の価値を測る指標)は、金曜日に0.8%と大幅に上昇した後、本日はその上昇が抑えられていました。
 
英国ポンド建て金価格は、ロンドン時間早朝の1%の上昇幅を昼過ぎにはほぼ失って、トロイオンスあたり1247ポンドで推移していました。これは先週後半対ドル弱含んでいた英国ポンドが為替市場で上昇していたことからでした。この間、英国では1人の未確認の渡航者を含めて、ブラジルのコロナウイルス変異種が6つのケース発見されていました。
 
2000万人以上の英国人が少なくとも一度のワクチン接種が先週末までに終わったことが伝えられていましたが、英国の公衆衛生当局はブラジルの変異種が既存の予防接種に耐性がある可能性があることを警告していました。
 
ユーロ建て金価格はトロイオンスあたり1441ユーロと前週末から0.4%上昇する中で、欧州株式市場は金曜日の急落で付けた一月ぶりの低値から反発していました。
 
この間、ユーロ圏の製造業PMIが2月のアナリスト予想を上回ったことが明らかとなっていましたが、中国製造業PMIは予想を下回っていました。
 
このように、欧州の製造業のデータが予想を上回り、米国の追加経済対策期待とコロナウィルスワクチン接種普及による経済回復観測からも、ブレント原油と米国ウェスト・テキサス・インターミディエイトの両価格が2月に18%上昇した後、月曜日に1%上昇していました。
 
また、主に工業用金属である銀の価格は、先週2.2%、先月は1.2%下落した後、本日ロンドン時間昼好きには0.8%上昇してトロイオンスあたり26.88ドルとなっていました。
 
そして他の貴金属である、自動車触媒を中心とした工業用途の需要が3分の2を占めるプラチナは、先週記録した6.6%の下落を回復し、トロイオンスあたり1216ドルと2.0%上昇していました。ちなみに、白金は先週の下げ幅を含んでも2月の上げ幅は11%としていました。
 

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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