金価格ディリーレポート(2021年12月13日)主要中央銀行の金融政策の発表を前に、イールドカーブの平坦化が進む中で、金価格は上昇
金価格は、ロンドン時間昼過ぎに主要通貨建てで前週終値比を上回っていました。
これは、今週の主要中央銀行の金融政策発表を前に、金利トレーダーが米国連邦準備制度理事会(FRB)が2022年に3回の利上げを行う可能性を織り込む反面、アナリストが長期金利が低下して短期金利が上昇するイールドカーブの平坦化への懸念が示している中でのことでした。
この間、ドル建て金価格は0.1%高のトロイオンスあたり1784ドルで、ポンド建て金価格は0.3%高の1347ポンド、ユーロ建て金価格は0.5%高の1586ユーロとなっていました。
米連邦準備制度理事会(FRB)は明日から2日間の会合を開始し、12月15日(水)に金融政策を発表しますが、ここで量的緩和の資産購入プログラムの終了時期を早めることが含まれると予想されています。
多くのアナリストは、FRBが債券購入の先細りをより迅速に決定した場合、来年にはより早い利上げを開始する可能性もあると考えています。
また、今週は、木曜日にイングランド銀行と欧州中央銀行、金曜日に日本銀行など、22の中央銀行が政策会議を開催する予定です。
CME FedWatchのウェブサイトによると、将来のFRBによる利上げを予想する先物市場では、6月の米国初の利上げが織り込まれており、Financial Timesが世論調査したほとんどの学術エコノミストは、FRBが2022年 7月までに少なくとも0.25ベーシスポイントの主要金利を引き上げると考えています。
しかし、70%近くが、2023年末までにFRBの主要政策金利が1.5%を超えることはないと答えており、現在のゼロに近い水準からの緩やかなペースでの利上げを示唆しています。
Guggenheim Investmentのグローバル・チーフ・インベストメント・オフィサーのScott Minerd氏は、「利上げはFRBの大きな政策的失策となるだろう」と述べ、イールドカーブのフラット化を指摘しています。
そして、「2023年に米国がリセッションに陥るリスクがある」と警告しています。
11月の 予想を下回る米雇用統計が発表された後の12月初め、2年債と10年債の利回りの差は1年ぶりに縮小していました。
75ベーシスポイントとなったこのスプレッドは、わずか1ヶ月前の113ベーシスポイントから縮小し、本日は80ベーシスポイントを推移しています。
ニューヨークにあるMacroPolicy Perspectives LLCの社長であるJulia Coronado氏は、「イールドカーブは経済の 先行指標である」と述べています。
「イールドカーブは景気の先行指標であり、すべてが正しいわけではありませんが、完全に無視することもできません」と述べています。
実施利回りを示す物価連動国債(TIPS)10年物の利回りは、月曜日には年率マイナス1.02%と多少前週終値から下げていました。これは金価格が 2020年8月にトロイオンスあたり2000ドルを超えて現在の最高値を記録したときに初めて到達した水準へでした。
本日、このTIPS債利回りが低下したのは、金曜日に発表された11月の米国の消費者物価指数がアナリストの予想通り6.8%となり、 1982年以来の高水準となった後のことでした。
水曜日に予想されている米連邦準備制度理事会(FRB)による金融の量的緩和縮小政策の発表とは対照的に、英国では日曜日にコビットの脅威レベルが引き上げられ、ボリス・ジョンソン首相がオミクロンの「高波」を警告した後、イングランド銀行は木曜日の金融政策発表で、先月同様に利上げを見送ることが予想されています。
利上げ観測が後退したことで、ポンドは先週12ヶ月ぶりの低水準に急落したものの、10年物英国国債の利回りは0.74%とほぼ横ばいを推移していました。
一方、ユーロ圏の国債利回りは、木曜日に行われる欧州中央銀行の金融政策発表を前に低下しています。市場は、3月に終了予定の新型コロナパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の終了方法の詳細が明らかになる可能性があると予想しています。
INGのエコノミストであるCarsten Brzesk氏は、「現在のパンデミックの第4波と新たなオミクロン変異型は、ユーロ圏経済にさらなる 下降圧力を加えるだろう」と述べ、一方でインフレが加速し続けていることを指摘していました。
しかし、「ECBは難しいバランスを取る必要があり、ECBチーフのクリスティーヌ・ラガルド氏などのコメントを考えると、PEPPが延長される可能性は低いと考える。」と続け、「2月までの決定延期もあり得る 」と付け加えています。