金価格ディリーレポート(2021年11月8日)天然ガスと原油価格が上昇しインフレの「一過性」が疑問視される中で、ユーロ建て金価格が10ヶ月ぶりの高さへ 2021年11月8日 月曜日 16:02 月曜日ロンドン時間昼過ぎに、ドル建て金価格は2ヶ月ぶりの高さを安定して推移していました。 その間、英国や欧州の投資家向けの金価格は、原油やガス価格の高騰によりインフレへの注目が高まる中で、早期の利上げ観測が後退していることから、それぞれ5ヶ月ぶり、10ヶ月ぶりの高値を記録していました。 米国ドル建て金現物価格は、月曜日の朝につけた2ヶ月ぶりの高値1821ドルから5ドル後退していたものの、 先週1.9%上昇からさらなる上げを見せていました。 Saxo Bankのコモディティ・ストラテジー・チームは、「(今日の価格は)週明けの強い上昇を受けて伸びている」と述べていました。 「ドル高にもかかわらず、 ハト派的なFOMCとイングランド銀行の金融政策発表、そして賃上げ圧力の増加を示唆する良好な米国雇用統計に牽引されたている。」と続けていました。 日本地金マーケット協会の代表理事の池水雄一氏は、「市場の注目は、米国の雇用情勢からインフレ率の上昇に移っている」と最新のレポートで語っていました。 水曜日に発表される先月の米国消費者物価指数は、昨年10月から5.8%の上昇が予想されています。これは、9月に記録された5.4%からのさらなる上昇で、1990年以来の高水準となります。 天然ガス価格は、プーチン大統領が欧州への天然ガス供給量増加を指示したにもかかわらず、ロシアの主要パイプラインからの供給量が通常を大幅に下回ったために、欧州で急騰しました。 欧州の天然ガスの指標であるオランダのTTF12月限は本日10%以上上昇し、月曜日の朝には1メガワットあたり81.00ユーロに達した後に、上げ幅を削っていました。 欧州の天然ガス価格は今年に入って3倍以上に上昇していますが、これはロシアが供給量の上限を維持しているためで、液化天然ガスの貨物がアジアの高額な買い手に流れているためでもあります。 プーチン大統領は先月、クレムリン傘下のエネルギー大手ガスプロムのアレクセイ・ミラー社長に、ロシアが自国のガス貯蔵庫への天然ガスの充填を終えたら、欧州のガス貯蔵庫への天然ガスの供給を開始するよう指示しましたが、これは本日11月8日までに行われる見込みでした。 英国の金価格は、先週3.2%上昇した後、本日トロイオンスあたり1350ポンドと5ヶ月ぶりの高値を記録した後に1341ポンドまで下げていました。 また、欧州の金価格は、先週の1.8%の上昇に加えて、ロンドン時間午前中にトロイオンスあたり1575ユーロと10ヶ月ぶりの高値を記録していました。 本日原油価格も上昇し、欧州のブレント原油は1.1%増の83.65ドル、米国の原油は1.4%増の82.40ドルとなり、先週の下げ幅を大きく戻していました。 サウジアラビアは金曜日遅くに、アジアの顧客向けに12月の指標原油の価格をアナリストの予想よりも高く設定していました。 これは、石油輸出国機構(OECD)と、ロシアを中心とするOpec+の同盟国が、先週、計画していた増産のスピードを上げないことを決定したことを受けての動きでした。 カンザスシティ連銀のエスター・ジョージ総裁は、先週金曜日に開催されたエネルギー関連の会議に出席するために準備した発言の中で、「サプライチェーンが回復し、需要が緩和されれば、 インフレはいずれ緩やかになると期待する理由がある。」と述べていました。 「しかし、インフレ率の上昇が長期化するリスクが高まっていることも明らかである。」とし、「このようなインフレ圧力に直面して忍耐する議論は弱まっている。」と述べていました。 主要6通貨に対するドルの為替レートを指数化したドルインデックスは、月曜日に10月の非農業部門雇用者数が好調だった金曜日のピークをわずかに下回って推移していました。 一方、上海黄金交易所(SGE)の金価格は、月曜日に1gあたり375円と2ヶ月ぶりの高値を記録する中、ロンドン相場に対するプレミアムを維持していたものの、金の最大の消費国である中国への新規輸入のインセンティブはトロイオンスあたりわずか1ドルに下げていました。 先週のヒンドゥー教の新年を祝うディワリでは、第2位の金消費国であるインドの金現物需要が急増し、ディーラーは国内の公式価格(10.75%の輸入税と3%の販売税を含む)に最大でトロイオンスあたり1.50ドルのプレミアムを付け、前週の0.50ドルから上昇していました。 宝石商PN Gadgil and Sons社の最高経営責任者Amit Modak氏は、「ダンテラス(ディワリの初日)とディワリ祭りの間の小売需要は、2019年のパンデミック前の水準よりも 25%多かった」と述べていました。