金価格ディリーレポート(2021年10月11日)原油価格が急騰する中でテーパリングとインフレ懸念で金は動意薄 2021年10月11日 月曜日 17:40 金価格は月曜日に動意薄で小幅な動きとなっていました。 この間、米国原油価格は7年ぶりの高さへ上昇し、債券市場のトレーダーがFRBのテーパリングが来月開始されると予想したこと、イングランド銀行の政策担当者が英国の利上げが「大幅に早まる」と警告していました。 金現物価格は、金曜日の0.9%の急騰分を同日ほぼ失った後に、月曜日昼過ぎには0.1%安のトロイオンスあたり1754ドルとなっていました。金曜日の動きは、9月の 米国経済が予想よりも遅いペースで雇用を創出したものの、失業率が18ヶ月ぶりの低水準に低下し、賃金上昇が加速したことを受けたものでした。 BMOの米国金利担当責任者であるIan Lyngen氏は、最新の顧客向けレポートの中で「これは、 11月にテーパリング(量的緩和縮小)の発表を予定通り行うには十分すぎるはずだ」と述べ、賃金の上昇を指摘していました。 一方、英国の投資家向けの金価格は、イングランド銀行の政策担当者が借入コストの引き上げを早期に開始したいと発言したことで、FX市場で英国ポンドが対ドルで強含み、0.4%下落してトロイオンスあたり1286ポンドとなっていました。 先月、イングランド銀行の債券購入プログラムを直ちに終了させることに投票した2人の政策委員のうちの1人であるMichael Saunders氏は、土曜日に「市場が以前よりも かなり早い時期に引き締めの道筋をつけるように準備することは適切だと思う」と述べていました。 インフレ率が英国中央銀行の目標である2.0%を大きく上回っていることから、Andrew Baileyイングランド銀行総裁はヨークシャー・ポスト紙に「我々は非常にデリケートで困難な仕事をしなければならない」と語った。 「我々は、ある意味で、この (インフレ)問題が永久化しないようにしなければなりません。それは明確に(経済に)ダメージを与えるものだ」と続けていました。 英国の消費者物価指数(CPI)は8月までの12ヶ月間で3.2%急上昇し、インフレのペースは1997年1月から始まった現行のCPIデータで過去最大の前月比上昇を示していました。9月の英国CPIデータは来週水曜日に発表されます。 一方、欧州の金価格は、ラガルド欧州中央銀行総裁がDer Spiegelとのインタビューで、「 ほぼ一時的な」インフレの上昇に「過剰反応」しないよう繰り返し呼びかけたことにより、単一通貨が対ドルで15ヶ月ぶりの安値を維持したため、0.1%安のトロイオンスあたり1518ユーロとなっていました。 ユーロ加盟19カ国の9月の消費者物価上昇率は前年同月比3.4%に加速し、13年ぶりの高水準となっていました。 原油価格は月曜日にさらに上昇し、複数週にわたる上昇幅を拡大していました。ブレント原油は2%増の1バレル84ドルで2018年10月以来の高水準、米国産原油(WTI)は2.5%増の81.30ドルで2014年後半以来の高水準となっていました。 銀現物価格は0.5%安の22.56ドルで推移し、先週の上昇分をほぼ失っていました。 それに対し、需要の3分の2が自動車触媒に代表される工業用で、排ガス触媒や水素燃料電池用需要も含まれている プラチナの価格は、月曜日昼過ぎにトロイオンスあたり1029ドルと、先週金曜日に達した8月上旬以来の高値を維持していました。先週のプラチナ上昇率は5.1%と6月下旬以来の高い上昇率となっていました。 米国の債券市場とほとんどの銀行は本日コロンバス・デーで休場となっていますが、ニューヨーク証券取引所とナスダックはともに通常通り開いています。