金価格ディリーレポート(2021年1月4日)金価格は金ETF残高が増加へ転じる中でファイザーワクチン以来の下げを取り戻し8週ぶりの高値へ 2021年1月4日 月曜日 18:18 年明け最初の取引日に金価格は8週ぶりの高さへ上昇しました。 この間、ドルは数年来の安値を更新し、インフレを考慮した米国債の利回りが昨年8月に金地金がトロイオンスあたり2000ドルを超えて以来のマイナス幅を広げたことから、2021年の始まりを象徴するように、全ての通貨で金価格が急上昇しました。 世界中でCovid-19のパンデミックが悪化しているにもかかわらず、世界株式市場は、主要諸国政府がこのウイルスに対するワクチンを承認しワクチン接種を始めたことで、史上最高値を記録していました。 ちなみに金相場は、米製薬大手ファイザー社とドイツのビオンテック社が新型コロナウイルスワクチンの臨床試験が良好であったと発表した11月9日以来の高値となりました。 ドルインデックス(主要通貨に対する米国通貨の価値を示す指標)は、昨年7.5%下落した後、本日0.5%更に下落して2.5年ぶりの安値を記録していました。 2020年のドル建て 金価格の年間上昇率は24.1%で、10年間で最大の年間上昇率となっていました。 月曜日には、米国のTIPS債の実質利回り(名目ベンチマーク債利回りとインフレ率の差を意味する)がマイナス1.09%まで下落し、 昨年8月の数十年来の低水準を超えていました。 「投資家はインフレ上昇の恩恵を受ける資産を探している 。」と、スイスの銀行でロンドンの地金市場マーケットメーカーであるUBSのアナリスト、Giovanni Staunovo氏は述べていました。 「リフレ要因も昨今の金を支えている。」と続けていました。 現在、世界中で集団予防接種が始まっているにもかかわらず、「金の主な推進力である米ドル安と実質金利の低下は、金をサポートしている。」と、シンガポールの銀行OCBCの投資戦略担当エグゼクティブ・ディレクターのVasu Menon氏は同意しています。 そのような中、金を裏付けとするETFは先週、SPDRゴールド・シェア(NYSEArca: GLD)とiShareゴールドETF(NYSEArca: IAU)の両方が、2020年末までの投資家の傾向から転じて残高を上昇させていました。 GLDの前週の週間の上昇は、8週間ぶりのものであり、これはファイザー社とビオンテック社のワクチンの良好な臨床試験結果が発表される前で、金価格はトロイオンスあたり1965ドルまで上昇していました。 GLDの残高は2020年末までに1,171トンへと上昇し、先週一週間では0.3%増、年間全体では31%を増加していました。しかし、それは9月の2020年のピークから8.5%を失った結果でもありました。一方で、金ETFの第2規模のIAUは11月のワクチンニュースを受けて、過去最高の規模から1.1%を縮小していましたが、前週は0.4%増、年間では46%増加し、その残高を525トンへと上昇させていました。 また、銀ETFの最大銘柄のiShareシルバー(NYSEArca: SLV)は、先週その残高をさらに0.7%増加させ、年間ベースで54%増の17,378トンとなっていました。しかし、SLVもまた8月のピーク時からは3.1%縮小していました。 銀価格は、2020年年間で47%上昇した後、月曜日の朝にトロイオンスあたり27.35ドルと前週末比3.6%上昇し、2週間ぶりの高値を記録していました。 この銀の上げ幅からも、金と銀の2つの旧通貨金属の相対価格を見る金銀比価をさらに押し下げ、4ヶ月間で最も低い値である71を下回る水準としていました。 プラチナ価格は本日、3.9%上昇してトロイオンス当たり1111ドルとなり、昨年10%上昇した上げ幅を更に広げて2016年9月以来の高値を記録していました。 原油価格は、世界の主要な石油生産者(OPEC+)が2月の生産量について本日協議する前に上昇していました。ブレント原油先物はバレルあたり53.03ドルと、2.4%の上昇していましたが、2020年通年では22%を失い、米国連邦準備制度理事会が最後にドル金利の引き上げを開始した2015年以来最大の年間の下落幅を記録していました。 仮想通貨のビットコインは、昨年300%以上上昇した後、年初から昨日までに10%上昇して34,000ドルと史上最高値を付けた後に、本日17%下落して28,000ドルほどで取引をしていました。