金価格ディリーレポート(2021年1月18日)バイデン大統領就任前にコメックスのネットロングが大幅に減少し、金ETFが増加する中で金価格が6週ぶりの低さから上昇 2021年1月18日 月曜日 18:45 月曜の朝、金価格は6週間ぶりの安値を付けた後に上昇していました。 これは、週末に発表された金先物・オプションのデータによると投機筋が19ヶ月ぶりに強気のポジションを大幅に縮小したものの、金を裏付けするETFは2週間ぶりに残高を増加させる中でのことでした。 一方、 中国の金価格のロンドンの金価格に対する差は、先週プレミアムへ転換して週間平均を12ヶ月ぶりの高値とした後に、本日も上昇していました。これは、2020年の需要に対する供給量の不足が2021年の旧正月を前に解消された可能性があることを示唆しています。 ロンドン決済の金現物価格は、アジア取引では12月2日以来の低値の1810ドルまで下落した後、0.4%上昇してトロイオンスあたり1836ドルを付けていました。 月曜日の朝の金の安値は、金価格が先週1%以上下落した後のことで、2021年初以来3.7%の下落となっています。 CommerzbankのアナリストのEugen Weinberg氏は、「この(米国)の新政権は より多くの景気刺激策を提供し、米連邦準備制度理事会(FRB)の政策も今後はタカ派的なものになる可能性は低いだろう。」と述べ、「そのため、金価格は引き続きサポートされる可能性が高い」とコメントしています。 「バイデン政権は、以前よりも はるかに拡大した支出計画を支持するでしょう。」と、BMOのベースメタル及び貴金属派生商品取引の責任者であるTai Wong氏は同意していました。 「しかし、ドルの頑固でかつ短期的な回復力と債券利回りのさらなる上昇への懸念が、金からの安定した資金の流出を誘発しているように思われます。」と続けていました。 米国の規制当局であるCFTCが金曜日に発表した1月12日(火)に終了する週の最新データによると、コメックスの金先物とオプションを取引するヘッジファンドやその他のマネーマネージャーは、金への強気のポジションを20%以上減らし、弱気ポジションを6%近く増やしたことが明らかになりました。 それは資金運用業者のトレーダーのネットロングポジションを1週間前から31%引き下げとこととなり、2019年5月以来の最も激しい週間の下げ幅となり、金価格が5ヶ月ぶりにトロイオンスあたり1800ドルを下回った11月下旬以来の最小サイズに達していました。 金の派生商品のレバレッジ効果を見込んだ投機取引とは対照的に、金を裏付けとしたETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェア(NYSEArca: GLD)は金曜日に価格が1.2%下落する際に1.4%残高を増加させ、1月4日以来の資金の流入を記録していました。それに対し、第2の規模のiShareゴールド(NYSEArca: IAU)は、週間で増加したものの金曜日に残高に変化はありませんでした。 ドルインデックス(主要通貨に対する米国通貨の価値を示す指標)は、金曜日に4週間ぶりの高値を記録した後、月曜日の昼過ぎに0.1%強含んでいました。 ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、バイデン新政権は通貨安による輸出販売の獲得を目指しているわけではないとのことを、火曜日の米国上院での財務長官指名公聴会でジャネット・イエレン氏は述べると伝えられています。 10年物の米国債利回りは先週、コロナ危機が10ヶ月前に始まって以来の高さの1%を超える上げを見せていました。 米国首都ワシントンが水曜日のバイデン氏の大統領就任式の前にセキュリーティー上の目的で軍を投入してロックダウン下に入る中で、本日米国の債券と株式市場はキング牧師記念日の祝日で休場しています。 なお、本日発表されたデータによると、世界第2位の経済規模を持つ中国の国民総生産は昨年の第4四半期に6.5%拡大し、コロナウイルスの流行前よりも速いペースであったことが明らかとなり、2020年の成長率は2.3%に達したとのことです。 中国のGDP成長率は1976年以来最低ではあるものの、主要国の中では昨年の唯一拡大を記録したこととなるでしょう。 そして、世界最大の金消費国である中国の上海黄金交易所の金価格は、ロンドン引き渡し金価格より高いプレミアムへと先週ディスカウントから転換後、週間で昨年1月以来の高さの5ドルを記録した後に、本日はトロイオンスあたり7ドルへと上昇していました。 香港のLee Cheong Gold DealersのRonald Leung氏は、「 春節前の需要増と景気回復による上昇が主な要因です」とこの背景について解説していました。