金価格ディリーレポート(2020年9月21日)金価格は、コロナ拡大懸念とマネロン不正スキャンダルが株価急落させて2011年の最高値まで下げる 2020年9月21日 月曜日 19:37 金地金価格は、月曜日のロンドン時間昼過ぎに2011年の最高値のトロイオンスあたり1920ドルまで大きく下げていました。 これは、銀行のスキャンダル疑惑が浮上し、またコロナ感染拡大によるロックダウン懸念が欧州株を大きく押し下げる中で、米ドルが急騰したことからでした。 金地金のスポット価格は、金曜日に2週連続で上昇した後、本日1.4%下落し、約2週間ぶりの安値を記録していました。この間、ドルインデックスは2週間連続の週間の下げから強含んでいました。 その間、銀行取引をめぐる疑惑やコロナウイルス感染症の増加が市場のセンチメントを悪化させたことから、欧州株は7月以来の大幅な下落となっていました。 HSBC ホールディングス(LON: HSBA)は 1995 年以来の最安値まで下落し、ドイツ銀行 AG(ETR: DBK)は 7.5%以上の下落となり、旅行関連株も 4.8%下落し、すべての業界と主要取引所で損失をもたらしていました。 週末の故ギンズバーグ米最高裁判事の後任人事をめぐる議会対立で、米国 追加経済対策の先行きが不透明となる中で米国株式先物は急落し、主要ベンチマーク指数が4週連続で下落を拡大する可能性があることを示唆していました。 「先週の米国株との高い異例の正の相関関係が崩れるまでは、金曜日の米株価の弱気基調を受けて、金は株のディフェンシブな動きに合わせて 弱くなる可能性がある。」と、派生商品プラットフォームであるSaxo BankのコモディティストラテジストのOle Hansen氏は述べていました。 月曜日の銀行株の低迷は、約2兆ドルの取引に関わるFinCEN(米国金融犯罪取締ネットワーク)の文書が流出し、世界最大の銀行の数行が犯罪者が資金洗浄をすることを許していたことが明らかになったことに起因していました。 国際調査ジャーナリストコンソーシアム(ICIJ)の新しい調査によると、J.P.モルガン、ドイツ銀行、その他いくつかの世界的な銀行は、米国がこれらの金融機関に罰則を課した後も、過去20年間に「 強力で危険な犯罪組織から利益を得続けていた」ということです。 2012年から2015年の間に、9つの大手銀行がマネーロンダリングで合計200億ドルの罰金を支払っています。 英国ポンド建て金価格は、政府の最高科学顧問Sir Patrick Vallanceが、英国は新たな形の国家的なロックダウンを含む何らかの行動なしでは、10月中旬までに1日に50,000件の新たなコロナウイルス感染者数を見ることになると、月曜日の昼過ぎの記者会見で警告する中で、トロイオンスあたり£1496へと0.9%下落していました。 その数値は、「一月後には一日あたり 約200人の死亡者数につながると予想される。」と、Vallance氏は述べていました。 ユーロ建て金価格は、スペイン、ギリシャ、デンマーク、フランスなどのいくつかのヨーロッパ諸国が、感染の最近の急増によって、それぞれの大都市のいくつかで新たな移動制限を発表する中で、オンスあたり1633ユーロへと0.8%下落していました。 この間、週末に欧州中央銀行は、パンデミック債券購入プログラム(PEPP)の見直しを開始した、とFinancial Timesが報じていましたが、これはどのくらいのこのプログラムを期間継続すべきか、その柔軟性を古いプログラムにも拡大すべきかどうかということであるとのことです。 ECBは現在に至るまで、PEPPの下で 5,270億ユーロの資産を購入しており、世界金融危機以降の金融緩和プログラム下で保有している2.8兆ユーロの資産に加えています。 月曜の銀価格は金価格よりもさらに下落し、2.3%下げのトロイオンスあたり26.17ドルで、金と銀の相対的な価格を表す金銀比価は73を超えて、一月ぶりの高さの銀割安水準へと上昇しました。 プラチナ価格も下落し、1オンスあたり910ドルと2.4%近く下落し、金に対して1017ドルのディスカウントを維持しています。 月曜の為替相場のドル上昇は、パウエル米FRB議長が火曜から木曜にかけて議会で証言し、パンデミックの救済対策について何らかの示唆があるという観測を前にしたものです。 米中央銀行がインフレ目標の変更を先週宣言したことに続き、今週は他の6人のFRB委員会メンバーも公開及び演説を行う予定となっています。