金価格ディリーレポート(2020年8月6日)金は4日連続で過去最高を更新する中、アナリストはさらなる上昇を予想 木曜日, 8/06/2020 19:54 金価格は本日も4日連続で史上最高値を更新しました。 この間欧州株は下落し、市場は米国の景気刺激策の協議や米国雇用データに注目しています。 金のスポット価格は前日終値から1.4%上昇し、トロイオンスあたり2064.83ドルとなり、木曜日の昼過ぎに史上最高値を再び更新していました。 これは、7月に金価格が6.4%上昇し、2020年2月以来の最も早いペースでの上昇を見せた後に、今週はすでに4.5%上昇し、2000ドルの節目を突破する中での動きです。 今年は金価格は既に35%も上昇しており、2020年に最もパフォーマンスの高い資産の一つとなっています。 Pictet Asset Managementのチーフストラテジスト、Luca Paolini氏は「金は史上最高値を更新しているが、ファンダメンタルズの強さと資産分散への需要は、さらなる上昇を暗示している」と述べています。 そして、StoneXのアナリストであるRhona O'Connell氏は「米国の消費者物価指数(CPI)で金価格を調整し、実質価格で見た場合、金は史上最高値には未だ至っていない」と最新のレポートで述べています。 「1980年1月21日の高値(イラン大使館の人質事件、アフガニスタン危機、第二次石油危機、銀を買い占めたハンツ兄弟等が背景)は、今日の通貨価値では、トロイオンスあたり2,822ドルですので、2,040ドルの時点では、その高値を28%下回っていることとなります。"とO'Connell氏は続けています。 「米ドルの悪化が続き、米国のイールドカーブがさらに低下し、インフレ期待が高まっている。」とTD Securitiesのコモディティ戦略責任者であるBart Melek氏は述べ、「これは、当面の間、金を保有する機会費用が少なくなることを示唆している。」と続けています。 10年物国債利回りは木曜日に0.53%と2ベーシスポイント下落し、インフレを考慮した米国の10年物実質利回りは今月はマイナス1.02%と過去最低を記録しています。 ドルインデックスは、投資家がコロナ危機からの米国経済の回復が他の主要経済に遅れをとっているかを米雇用関連データを基に判断する中で、2年ぶりの低水準に落ち込んでいます。 本日発表されたデータによると、米国の新規失業保険申請件数は予想よりも良いもので120万件に減少していました。そして明日の米雇用統計を市場は注目しています。 英国ポンド建て金価格は、本日トロイオンスあたり1569.56ポンドと再び史上最高値を記録し、年初以来で35%の上昇を記録しています。この背景は、イングランド銀行(BOE)が本日の政策金融会合で金利を0.1%に据え置き、資産購入枠を7450億ポンドに据え置いた後、ポンドはFX市場で対米ドルで5ヶ月ぶりの高値に上昇する中でのことです。 イングランド銀行は、英国経済がパンデミック前の経済規模に戻るには、おそらく以前に考えられていたよりも長い時間がかかるだろうと述べたものの、成長を急加速させるために金利をゼロ以下に引き下げるのは、そのリスクから検討に留め、他のツールを利用するべきと考えていると述べていました。 ユーロ建ての金価格も木曜日の朝にトロイオンスあたり1743.31ユーロの新高値を記録し、今年年初から28%の上昇となっていました。 他の貴金属に目を向けると、銀は7月に月平均で15.2%上昇した後、木曜日に5.8%上昇してオンスあたり28.45ドルと7年ぶりの高値を記録しました。7月の上昇率は、2016年半ばの英国のBrexit国民投票以来の最速の月次ペースとなっています。なお、 今年は年初から57%の上昇を記録しています。 そのために、金銀比価を73以下に押し下げ、2017年4月以来の金に対する銀割安の解消となっていました。 金銀比価は2020年3月の123にピークを付け、それ以来40%下落しています。これは、この期間に銀が11.64ドルから140%上昇している中でとなります、ちなみに、この間金は41%の上昇で、銀は金を遥かに上回っています。 一方、銀ETFの最大銘柄のiShareシルバー(NYSEArca: SLV)は、昨日0.9%増加し、その残高は159トン増量し、17,808トンと史上最大となっています。この規模は、今年予想されている世界の採掘量の72%に相当します。 ブリオンボールトがまとめる最新の銀投資家インデックスのレポートによると、7月の銀地金取引は、銀地金の売買ともに急増し、その総取引量は過去前月比155%増と過去最高となり、評価額では8330万ドル相当となっていました。 プラチナはトロイオンスあたり987ドルと本日2.4%上昇していますが、未だ今年の最高値の1月の1041ドルから5%安となっており、金に対するディスカウントはトロいオンスあたり1077ドルに拡大しています。 欧州株式は不安定な取引の中下落しており、49カ国の株式を対象とするMSCI世界株式インデックスは、市場が米国の追加経済対策がどのような方向に進むかを待つ中、4日連続の上昇を止めて、下落していました。 米国議会の民主党の責任者とホワイトハウスの政府高官は水曜日、お互いの経済対策に対する姿勢を強めたようで、妥協案や週600ドルという高額な失業給付金の復活についてはほとんど示唆していませんでした。