金価格ディリーレポート(2020年8月10日)ドル高と実質金利上昇、金のETFが売却で、金価格は史上最高値2075ドルから下げる 月曜日, 8/10/2020 18:55 金価格は、月曜日ロンドン昼過ぎに先週終値から多少ながら下げています。 これは、米国ドルが先週の上昇分を維持し、中国は香港をめぐる米国措置への報復として米国の政治家や高官に制裁を課し、トランプ大統領は追加経済対策の協議が決裂したことから大統領令に署名する中でのことです。 金地金の現物価格は、木曜日に史上最高値を更新した2075ドルから金曜日に2%近く下落した後、トロいオンスあたり2032と本日0.1%下落しています。 この間ドルインデックスは、先週の金曜日に米中の緊張が高まったことで6月以来の高さへと上昇し、本日はその水準を維持しています。 一方、インフレを考慮した実質金利も、民間給与業者のADPの全国雇用者数同様に米労働統計局の7月の雇用統計が予想を上回ったこととで、金曜日に一月ぶりの上げ幅を見せた後に堅調に推移しています。 銀は金曜日の7.5年ぶりの高値29.85ドルから4.9%下落した後、本日は0.1%高の28.42ドルとなっています。 プラチナは983ドルまで3%近く上昇しましたが、金に対するディスカウントはトロイオンスあたり1050ドル付近で記録的な水準を維持しています。 「金は、米国の実質金利と米ドルの両方が 金に不利に働いているため、金曜日に直近の上昇を維持することができませんでした。」とワールドゴールドカウンシルのストラテジストのJohn Reade氏はコメントしています。 また、ウェルズ・ファーゴ・インベストメントのシニア・グローバル・マーケット・ストラテジストであるSameer Samana氏は、「最近の金の上昇とドルの下落が相まって、この傾向が長引いていたが、 一息つく必要があった。」と付け加えています。 ブルームバーグによると、世界の金を裏付けとするETFファンドは金曜日にその残高を減少させ、30日間続いていた残高増加の記録が途絶えることとなりました。そこで、金ETFの最大銘柄であるSPDRゴールドシェア(NYSEArca: GLD)は利益確定売却で、残高を0.5%減少させて1,262トンとしていました。 しかし、ワールド・ゴールド・カウンシルのデータによると、金ETFへの資金流入量は8ヶ月連続で継続という記録をつけた後、7月に166トン残高を増加させた後に、今月も28トン近く増加しており、この傾向は維持されています。 先週、ワシントンが同地域のキャリー・ラム最高経営責任者を含む中国と香港の高官に対して同様の措置をとったことを受けて、北京は本日、11人の米国人に制裁を科した。 一方、人民元建ての金価格は、黄金交易取引所で本日、金曜日の過去最高値から0.8%下落し、1グラムあたり445円となっていました。 これにより、金の産出国、消費国、輸入国として世界第1位の中国の金価格は、ロンドン価格に対して先週記録した過去最大のディスカウントが多少改善され、本日月曜日にトロイオンス57ドルまで下げていました。 ユーロ建て金価格は、金曜日に新らたな史上最高値のトロイオンスあたり1749ユーロから1.2%下落した後、1オンスあたり1728ユーロ前後で安定して推移しています。 この間アジアと欧州の株式は、欧州の市場関係者が夏休みに入るな中で、米中の緊張が再燃しているもののほぼ横ばいで推移していました。なお、日本とシンガポール市場は祝日のため休場となっています。 英国ポンド建て金価格もまた、今週失業率や第2四半期GDP等の主要な経済データを前に、木曜日の史上最高値1578ポンドから金曜日に1.4%安とした1557ドルの水準を維持しています。 米国においては、Covid-19の感染者数が500万人を超える中で、追加経済対策の協議が議会で行き詰まり、ドナルド-トランプ大統領は土曜日に失業給付支援等を継続すべく大統領令に署名しています。しかし、議会の承認を得ない予算の失効は法的な問題が生じる可能性があるとも伝えられています。