金価格ディリーレポート(2020年7月20日)金価格が2011年のドル建て最高値を試す中、アナリストはインフレの再来を警告
金価格が月曜日に2011年の最高値から100ドル未満に迫りつつあります。
この間市場は、新型コロナウイルスの感染者数が週末にその記録を塗り替えて1億4400万人を超え、死者数も60万人を超える中で、4日目に入るEUの7500億ユーロの新型コロナウイルスで打撃を被る国々を支援する復興基金の協議の行方に注目しています。
金価格は先週金曜日に終値でトロイオンスあたり1810ドル、LBMA価格でも1807ドルと2011年9月以来の最高値を更新していました。そして、6週連続の上昇で、年初からは19.6%の上昇となっていました。
本日の金現物価格は、ドルインデックスが今年3月半ば以来の低さへ下げる中で、ロンドン昼過ぎにトロイオンスあたり1814ドルと先週終値から0.2%上昇していました。
銀価格は、2.1%上昇してトロイオンスあたり19.75ドルと4年来の高さへと上昇していました。
そのために、金銀比価は93を割って、2月末以来の低さまで銀の割安傾向が解消していました。銀価格は、3月のトロイオンスあたり12ドルを割った11年ぶりの低値から既に68%上昇し、年初からは9%の上げとなっています
「投資家の人々は、長いインフレの無い期間を経てインフレが起こることを予想していているようです。」とファイナンシャル・タイムズのシニア投資コメンテーターのMichael Mackenzie氏がコメントしています。
投資家は既に米国物価連動国債のファンドに7月8日までに50億ドルほど資金を流入させており、今年3月から4月までのCovid-19のデフレーション懸念によるパニックの資金の流出分を取り戻しています。
リターンが消費者物価指数の変動で調整される米国物価連動国債の30年物は、ブルームバーグによると需要の高さからも年率が0.3%以下へと下げています。
「40年ぶりに私達は制御不可能なインフレが起こる可能性があると考えます。」とMan GroupのDNAチームのポートフォリオマネージャーのTeun Draaisma氏とBen Funnell氏が述べています。
「ポートフォリオを守るために、流動性の低いインデックス連動債を選ばず、変動利付国債や株の価値とモメンタムを精査し、コモディティ、特に金を購入するといったストラテジーを組まなければなりません。」と続けています。
そのような中で、金を裏付けとするETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアとiShareゴールドは、先週も週間で残高を増加させ、16週連続の週間の増加を記録しています。
「インフレは何れ起こるのです。だからこそ、私達はその準備をしなければなりません。」とMoney Weekの編集長のMerryn Sommerset Web氏は述べています。
「これが起こるには長い時間がかかるかもしれません。しかし、一度インフレが起こり始めると、制御することは不可能です。だからこそ、金を買わなければならないのです。」
ドル建て金相場はとは対象的に、本日ポンドが先週の1.5%の下げから一転して対ドル強含んでいたことからも、ポンド建て金相場は、0.1%下げてトロイオンスあたり1483ポンドを付けていました。
ユーロ建て金相場は、本日0.2%下げのトロイオンスあたり€1581を付けていまいた。これは、ユーロが対ドルで4ヶ月ぶりの高さとなっていたことからですが、この間ユーロ圏の利回りの低い国債と高い利回りの差が3月以来の狭さへを記録していました。それは、本日EU主要国の首脳が復興基金合意に向けて前進したと伝えられていたことからでした。
総額7500億ユーロ(約92兆円)のうち返済が必要ない補助金額に異論を唱えていたオランダとオーストリア、デンマーク、スウェーデンは、補助金部分を3900億ユーロとする案に同意する用意があると。事情に詳しい複数の当局者が匿名を条件に明らかにしていました。
なお、米国議会は本日から新たなコロナ経済対策をめぐり審議を始めることとなります。
中央銀行は通常2%のインフレを目標としていますが、先月の米国と英国の消費者物価指数は0.6%、EU圏は0.3%、それに対し中国は2.5%となっていました。
本日プラチナ価格は、ロお丼昼過ぎにドル建てで1.3%高のトロイオンスあたり849ドルを付け、3月の低値の571ドルから48%上昇していましたが、年初からは未だ12%下げています。