金価格ディリーレポート(2020年6月29日)Covid-19の死者数が50万人を超え、株価上昇が一服する中、マネタリーベースが記録的な水準となり金は堅固に推移
本日金相場は、ロンドン時間昼過ぎにほぼ横ばいで推移していました。
この間、Covid-19の感染者数が10000万人、そしてその死者が50万人を超える中で欧州株価は上げ基調を一服させていました。
金を裏付けとする上場投資信託(ETF)は、来週までに14週連続で上昇をし、コメックスの金先物・オプションのネットロングポジションは8週間ぶりの高さとなるなど、ヘッジファンドなどの資金運用業者は金の価格が上昇することへ賭けていることも明らかとなっていました。
金現物価格はトロイオンスあたり1770ドルを挟んで狭いレンジで取引される中で、ドルインデックスは3営業日連続の上昇後、多少下げていました。
銀価格は0.1%下落しトロイオンスあたり17.80ドルで、プラチナは0.6%上昇しトロイオンスあたり816ドルとなっていました。
そして、金同様に安全資産と見られる米国債価格もまた、ボブ・ホスキンス大学のデータによると、米国が250万人のCovid-19の感染者数を記録し、12.5万人以上の死者を出し、金曜日一日あたりの新たな感染者数が45,255と過去最大を記録したにもかかわらず、ほぼ動きがなくその利回りも横ばいとなっていました。
「金はCovid-19の感染状況が過小評価されていることへの懸念の高まりにサポートされている。」と、オーストラリアのMineLifeのアナリストのGavin Wendt氏は述べています。
「金はまた、中央銀行によって経済に注入された数兆ドルの刺激策、そしてそれによリ米国の実質金利がマイナスとなることによってもサポートされている。これらを考えると金価格が記録的な水準に押し上げられるのは予想されることだ。」と続けています。
これにICBCスタンダードバンクの元東京支店長で日本貴金属マーケット協会の代表理事の池水雄一氏は同意し、「米国のマネタリーベースは現在の量的緩和で5.15兆ドルに膨らんでいます。」と述べ、「マネタリーベースとゴールドの相関関係はきわめて高く(0.909)、このマネーの膨張が続く限りまだまだゴールドは上がりそうです。3000ドルまで行くという見方も。」と続けています。
最新のデータによると、先週火曜日6月23日までに、コメックス金先物・オプションの資金運用業者は、ロングポジションを2週連続で増加させ、ショートポジションをやはり2週連続で減少させていました。
その結果、このネットロングポジションは、4月末以来の規模の546トンで、過去10年間の平均を50%上回る規模へと増加していました。
そして、ブリオンバンクや金鉱会社や他の市場参加者は、コメックスの金の先物・オプションの建玉を4週間ぶりに100万枚へと増加させていました。この建玉は昨年9月半ばに124万枚を超え、史上最高値を付けていました。
また、金を裏付けとする金の上場投資信託(ETF)の最大銘柄のSPDRゴールドシェアは、先週金曜日も0.3%残高を増加させ7年ぶりの高さとしていました。また、この第2の規模のiShareゴールドも0.3%増で、史上最高値を記録していました。
ユーロ建て金相場は月曜日昼過ぎに0.6%下げてトロイオンスあたり1567ユーロとしていました。この間フランスのマクロン大統領とドイツのメルケル首相が、EUで提案をしている7500億ユーロ規模の欧州復興援助基金に関してミーティングを本日行う前に、欧州株価は上昇をしていました。
英国ポンド建て金相場は、ポンドが弱含む中で多少ながら0.1%上げてトロイオンスあたり1437ポンドとなっていました。この背景は、本日英国がEUとの自由貿易協定(FTA)の交渉を始める中、協議膠着を打開できるか不安視する見方からとのことでした。