金価格ディリーレポート(2020年5月4日)米中関係悪化懸念の高まりで、金ETFは残高を数年ぶりの高さへ増加し金銀比価は一月ぶりの高さへ上昇する中で、金相場は堅固に推移
金価格はロンドン昼過ぎに午前中の上げ幅を失いトロイオンスあたり1700ドル前後を推移していました。
この間、新型コロナウイルスの感染源を巡る米中関係の悪化が嫌気されて、欧州株価が大きく下げる中で、金ETFは残高を増加させ、金銀比価は一月ぶりの高さを付けていました。
金地金現物価格は先週1.2%下げ、3月初旬以来の下げ幅を記録していました。
この間ドルインデックスは先週の一月ぶりの低さから0.3%強含んでいました。そして、欧州株価はアジア株価の下げ基調を引きついで、米中関係悪化の懸念からも先週の3日連続の上昇から下げた週後半のように下げていました。
昨日日曜日にトランプ大統領は、中国で発生した新型コロナウイルスに関する詳細のレポートを近い将来に発表すると述べていました。これは、ポンペイオ米国務長官が新型コロナウイルスの武漢の研究所が起源である「多数の証拠」があると述べた後のことでした。しかし、ポンペイオ国務長官はこの時点でその確証を発表してはいませんでした。そして、中国はウイルスがこの研究所からのものであることを全て否定をしていました。
金を裏付けとするETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアと第2の規模のiShareゴールドは、先週金曜日にともに増加し、6週連続で週間の増加を記録していました。
そして、SPDRゴールドシェアは週間で1.7%増で7年ぶりの残高で、iShareゴールドは1.28%増で過去最高となっていました。
「世界的大流行(パンデミック)の規模からも、そしてその経済への影響からも、投資家が安全資産を必要としているという傾向が明らかになっています。」とワールドゴールドカウンシルの最新の第1四半期の金需給レポートは解説しています。そして、第1四半期に世界の金ETFは298トンと大きく増加し、過去最高の3185トンとなっているともレポートしています。
「私は買った金をこれまでに売却したことはありません。2010年に金の購入を一時停止しましたが、2019年に購入を始めました。」と著名コモディティ投資家のジム・ロジャー氏は土曜日にファイナンシャル・タイムズに述べています。
そして、ロジャーズ氏は、有権者は過去にない金融緩和と金融政策を試みている政府を懸念し、金と銀に資金が流入することを信じています。そして、ロジャーズ氏は4月にこの2つの貴金属をポートフォリオに加えたことも追記しています。
「金銀比価はほぼ記録的な高さとなっています。そのため、私は金よりも銀を好みます。それは、比較すると銀が割安であるためです。」
金銀比価は月曜日昼過ぎに114へと急上昇していました。これは、3月にCovid-19拡大への懸念で世界株式市場が急落していた際に、123と最高値を付けていました。
トロイオンスあたりの金価格を銀価格で割る金銀比価は、2つの貴金属のパフォーマンスの比較をすることができます。
歴史的には過去50年の平均は58で、最近は1980年代と1990年代の景気後退時に高騰し、2008年から2009年の世界金融危機とその後の景気後退時には84まで上昇していました。
本日年間の需要の60%が工業需要の銀の価格は1.1%減で15%を割っていました。これは、先週の1.5%の下落後のさらなる下げとなります。
それに対し、需要の3分の2が排ガス浄化触媒であるプラチナは先週の1.5%の下げから一転して、0.8%上昇してトロイオンスあたり770ドルを付けていました。
ユーロ建て金相場は、本日昼過ぎにトロイオンスあたり1555ユーロと0.7%上昇していました。この間イタリアとスペインはロックダウンの段階解除が始まっているものの、本日発表されたユーロ圏の製造業PMIは、過去最低で2009年以来の下げ幅となっていました。
また、今週末日曜日にはロックダウンの解除の方法についてボリス・ジョンソン首相が発表することが伝えられる中で、ポンド建て金相場も0.7%上回るトロイオンスあたり1368ポンドを付けていました。
週末のニュースとしては、昨日北朝鮮が非武装地帯で韓国に銃撃をしたことが伝えられていました。また、健康状態を巡る憶測が飛び交っていた同国の最高指導者の金正恩は土曜日に公の場に3週間ぶりに姿を表していました。
週末に緊急事態宣言を月末まで延長した日本は今週GWで水曜日まで市場は休場しており、中国は火曜日まで労働節で休場となっています。