金価格ディリーレポート(2020年4月6日)主要金精錬所が再開され、株価が上昇する中で、金価格が4週間ぶりへ上昇
金価格はロンドン月曜日昼過ぎに強い上昇基調となっています。
この間、新型コロナウイルス感染拡大の震源地となっている欧州の新たな感染数が減少したことで世界株価は全般上昇していました。
そのような中、日本の安倍晋三首相は本日7日にも緊急事態宣言を発令すると表明し、英国のボリス・ジョンソン首相は、3月末に新型コロナウイする陽性を発表し自主隔離を首相官邸で行っていましたが、その症状が10日経過後も改善しないことから昨夜検査入院をしていました。
金地金現物価格は月曜日昼過ぎに先週終値から1.3%高のトロイオンスあたり1640ドルまで上昇していました。この際、コメックスの金先物価格はトロイオンスあたり1653ドルを付けていました。
この現物価格と先物価格の差であるプレミアムは、ジョンソン首相が英国全土に外出禁止要請(ロックダウン)を出した2週間前に、米国のトレーダーは先物のデリバリーのための現物金地金が足りなくなることを懸念して、トロイオンスあたり100ドルまで乖離していました。
「EFP取引の平常時には見られない動きを経て、先物市場への信頼が戻りつつあります。」とMKS Pampの先週金曜日の顧客向けレポートでは解説されています。
先週末に発表されたコメックスの金先物・オプションの資金運用業者のロングポジションは、先週火曜日に第1四半期末を迎える中で、大きく減少していました。
このポジションは、最高値を記録した今年2月18日から43%減少していましたが、ショートポジションは同期間に91%減少とさらなる大きな動きをしていました。
そのために、ネットロングポジションは2週間ぶりの低さに留まっていました。
「市場や債券市場など市場横断的な混乱の中で、金市場ではファンドによる取引を閉じる動きが重なり、下げにつながったとみられる」と同日金融・貴金属アナリストの亀井幸一郎氏は解説していました。
世界の主要金精錬所の3社である、ValcambiとArgor-HeraeusとPamp社は、世界の貴金属の供給に支障をきたしていた2週間の操業中止を経て部分的に操業を始めることを伝えていました。
ロイターによると、この3社によって年間で1500トンの金が処理され、これはグッドデリバリーバーの製造量の25%でもあります。そして、ここでは小規模な地金や金貨へも精錬加工され、高い純度のエレクトロニクスや医療用の金の工業用途のためにも利用されています。
この精錬所の操業が停止されていることで、コメックスのデリバリーバーである100オンスへロンドンの金現物専門市場の標準の400オンスから加工することが困難となるという懸念が高まり先のプレミアムが高くなったことからも、ロンドンの標準デリバリーバー規模の新たなコメックスのコントラクトACE systemがローンチされたのでした。
スイスの精錬所の再開は「市場の供給逼迫を解消することになるだろう。しかし、ロジスティクスの問題は残っている。」とINTL FCStoneのRhiona O'Connell氏は述べています。
「欧州大陸内であれば移動制限がある中でもトラックによる輸送が可能かもしれないが、航空機を利用する輸送は問題が残る。そのために、6月限のコントラクトのスプレッドが広がっている。これは、リスクマネージメントが第一となっているからだ。」とO'Connell氏は述べています。
安倍首相は1兆ドル(約108兆円)規模の経済対策を7日に閣議決定することを発表したものの、安倍首相が先週発表した日本全土5000万世帯へ1世帯に2枚の布マスク配布という施策には、「あべのマスク」と「アベノミクス」をもじって非難する声が多く聞こえていました。
それに対し、トランプ大統領は米国民にマスク着用を勧告したものの、自分自身は着用しないと述べていました。
最新のデータによると米国の感染震源地であるニューヨークの新型コロナウイルス感染者数と死者は減少しているものの、公衆衛生局のジェローム・アダムス長官は「来週は米国にとって真珠湾攻撃や2001年の同時多発テロのように最も辛く悲しい週になる」と警告しています。
原油価格はこの間、本日予定されていたサウジアラビアとロシアのミーティングが今週木曜日まで延期されたことで、一時10%を超えて下げていたものの、その後ロシア関係者が減産合意に近づいていると述べたことが伝えられて、その下げ幅を削っていました。
先週原油価格は、OPEC+による減産合意が近いとの観測で一週間の上げ幅としては過去最高の20%を記録していました。
本日銀価格はロンドン昼過ぎに1.3%高のトロイオンスあたり14.50ドル、プラチナ価格も1.3%高でトロイオンスあたり734ドルと共に一週間ぶりの高さとなっていました。