金価格ディリーレポート(2020年3月23日)米連銀の今月3度目の緊急量的緩和で金相場は急上昇
金価格は月曜日に3営業日ぶりの高さのトロイオンスあたり1525ドルへ上昇しました。
これは、米連邦準備制度理事会(FRB)がCovid-19によって停滞する「経済を支える」ために、今月3度目の緊急の金融政策発表を行い、主要国債価格が上昇したものの、株価とコモディティ価格は下げたことからでした。
本日FRBは、無制限の量的緩和策を導入すると発表し、国債や住宅ローン担保証券(MBS)の買い入れ量を当面無制限とする緊急措置を決めていました。これは、市場が期待する2兆ドル(約220兆円)規模の経済政策を巡り、週末に野党・民主党の反対などにより合意できなかった中での発表となりました。
「まずは結果を見ましょう。私は合意に至ると思います。私達は働く人々と企業を助けなければなりません。」とトランプ大統領は日曜日に述べていました。
金はFRBの景気刺激策で1.5%急騰していました。その間ドルインデックスは先週の3週間ぶりの高さから0.9%下げていました。
銀価格は金曜日の終値から上げてトロイオンスあたり13ドルへと上昇していました。しかし、この価格は先月のこの時期から3分の1近く下げているものでした。
また、プラチナ価格は、2003年以来の低年のトロイオンスあたり613ドルを付けた先週終値からトロイオンスあたり10ドル上昇していました。
「金の最近の動きの原因は、’Dash for Cash(現金へ急ぐ)ものです。」とSaxo BankのストラテジストのOle Hansen氏は述べています。
「その動きは、この数ヶ月積もり積もっていた派生商品のポジションによってより強いものとされていました。。」
最新のCFTCデータによると、資金運用業者のネットロングポジションは、先週火曜日までの一週間で3週間連続で減少していました。
この際、ドル建て金相場はFRBと日本銀行の緊急金融政策発表での利下げと量的緩和にも関わらず、新型コロナウイルス感染拡大への懸念で株価が急落する中で価格を昨年11月以来の低さまで下げていました。
そして、資金運用業者はそのロングポジションを先週30%減少させていました。このように30%を超える週間の減少を見せたのは、サブプライムローン危機で世界の金融市場で信用収縮が起こっていた2007年の3月と7月以来のことでした。
本日のFRBの動きは、すでに先週発表された5000億ドルの国債や2000億ドルの住宅ローン担保証券(MBS)購入の量的緩和を無制限とするものでした。
これは、米国債10年物の利回りを0.7%まで下げていました。
「このFRBの動きは米国政府の景気刺激策の予算案の合意ができない状況を穴埋めするものでした。」とエコノミストはファイナンシャルタイムズへ語っています。
ポンド建て金価格は、1.9%高のトロイオンスあたり1310ポンドと史上最高値を付けていました。これは、為替市場でポンドが対ドル大きく下げていたことからでした。これは、イングランド銀行と英国政府の景気刺激策による経常収支悪化の懸念からでした。
また、ユーロ建て金価格は0.6%高のトロイオンスあたり1408ユーロと上昇していました。本日イタリアとフランスとポルトガルの中央銀行は、ユーロ圏の財務大臣に新型コロナウイルス感染拡大による経済への悪影響に対応するために共同の経済刺激策が必要と訴えていたことが伝えられる中でのことでした。
イタリアの新型コロナウイルスによる死者数は日曜日に5400人を超え、スペインも同日1日あたりの死者数は30%増で2000人を超えていました。
ドイツでは23,000人以上が感染し、公共の場での二人以上の集まりは禁止されています。