金価格ディリーレポート(2020年3月2日)主要中央銀行の協調金融緩和期待で株価と共に上昇後に株価の下げで上げ幅を失う
金相場は先週金曜日のトロイオンスあたり60ドルの下げから25ドル上昇したものの17ドル失い推移しています。
これは、新型コロナウィルス感染拡大による景気停滞の危機に対して主要中央銀行が協調緩和を行う意思表示をしたことで上昇していた欧州株価がその上げ幅を失っていたことが背景となりました。
金価格は今朝ほどトロイオンスあたり1610ドルまで上昇した後に、1593ドルへと下げていました。これは、先週月曜日の新たな7年ぶりの高さからの金曜日の急落から1.8%の上昇となっていました。
世界的規模の感染(パンデミック)への懸念は、世界株式市場の急落で、5兆ドル(540兆円)を失っていました。
「投資家はこのような他の市場の損失のため、またそのマージンコールで金を売却していたのです」とカナダの証券会社のRBC Capital Marketは顧客向けレポートで金曜日の金価格の下げについて説明しています。
「私達は、これは金の安全資産としての役割へが失われた、また金への基本の態度が変化したとは見ていません。」
世界第2の経済規模を誇る中国において、感染拡大を防ぐために工場や会社が休業したことで、週末と本日公的機関と民間企業によって発表された製造業とサービス業の購買担当者景気指数(PMI)は大きくその数値を落としていました。
それに対し、ドイツとユーロ圏のPMIデータは、過去12ヶ月の低迷ペースからは多少ながら改善していました。しかし、データを発表しているIHS Markit社は、新型コロナウィルスの悪影響が考慮されていない「必ずしも正しいデータではない」可能性があるとしています。
OECDが世界のGDP成長率が新型コロナウィルス感染拡大が収束しない場合半減すると述べたことから、欧州株価は午前中の2.1%の上げ幅を失い、EuroStoxx 600指数は新たな6ヶ月ぶりの低値を付けていました。
欧州株価の当初の上昇は、日銀が先週金曜日のFRB二続き、新型コロナウィルスの感染拡大を受けて「潤滑な資金供給と金融市場の安定確保に努めていく方針だ」と総裁緊急談話を発表し、日銀が新たな国債購入と株式市場のETFを購入したことでアジア株が上昇していた基調を受け継いだものでした。
パウエルFRB議長は金曜日に金急募生命を発表し、「景気を下支えするために適切に行動する」と述べて追加の利下げの可能性を示唆していました。
そこで、CMEのFEDWatchツールでは、3月17日と18日に行われるFOMCにおいて、50ベーシスポイントの利下げを100%と予想されていました。さらに、今年年末までにさらなる利下げが行われ、金利が0.75%から1%まで下げていると95%が予想していることも明らかとなっていました。
そこで、米国10年物国債利回りは先週の4営業日連続の市場最低値を更に更新して1.04%まで下げていました。
中国湖北省武漢市で発生し、すでに2900人以上が死亡し、それに加えて80,000人以上が感染した新型コロナウィルスは、更に世界60カ国へ広がったことが明らかとなっています。
欧州疾病予防管理センターは、EU圏内の27カ国中18カ国で2,100件のCovid-19への感染が報告され、そのリスク水準を「中等度から高度」へと引き上げていました。
ユーロ建て金相場は、ユーロ圏諸国の国債利回りが更にマイナス水準を深め、ユーロが為替市場で対ドル上昇する中で、本日昼過ぎにトロイオンスあたり1433ユーロへと下げ、金曜日の3週間ぶりの低さの水準へ近づいていました。
ポンド建て金相場は、英国政府代表とEU代表がブリュッセルで英国のEU離脱後の貿易協定交渉を始める中で、0.9%上昇しトロイオンスあたり1247ポンド前後を推移していました。
銀価格は、先週金曜日に週間で11%下げて7ヶ月ぶりの低値を付けた先週の終値からほぼ横ばいのトロイオンスあたり16.70ドルで推移していました。
プラチナ価格は先週終値から多少下げてトロイオンスあたり860ドルでロンドン昼過ぎに推移していました。これも先週の週間の13%の下げで6ヶ月ぶりの低さへと下げた先週の価格からの動きでした。