金市場ニュース

金価格ディリーレポート(2020年3月16日)米連銀の緊急利下げと量的緩和が株式市場の急落を防げない中で金は下げ、銀は大幅に下げる

金価格がロンドン時間昼過ぎにドル建てで3ヶ月ぶりの低さへ下げています。

これは、先週の1983年以来の週間の下げからのさらなる下げとなります。これは、米国FRBが世界のコロナウイルス危機に対応するために昨夜緊急のFOMCで1%の利下げとさらなる7000億ドルの量的緩和を再開したことを発表後に株価が急落した事によるものです。

プラチナ価格も3時間で25%下げ、工業用途として使われる貴金属の価格を2002年後半以来の低さのトロイオンスあたり571ドルまで下げていました。

また、世界需要の5分の3を工業用途としている銀は、リーマンショック後にFRBが最初の金融緩和を開始した2009年1月以来の低さで、先週終値からトロイオンスあたり3ドル低い11.81ドルまで下げていました。

そのために、金銀比価は史上最高値の119まで上昇していました。これは、過去の1991年に付けた最高値、つまりは金に対して銀が最も割安であった際をほぼ20%上回るものです。

「株式市場が下げ圧力を受けている際に、流動性が求められる。そのために、金が売られて下げるのはまれな現象ではない。」とスタンダードチャータード銀行野アナリストSuki Cooper氏は述べています。

「Sell everything that you can sell」が起こっていると元ICBCスタンダードバンクの東京支店長で現在は新たに設立された日本貴金属マーケット協会(JBMA)の代表理事の池水雄一氏は述べています。

「株価の下げ止まりのない史上最大の売りに、もはや安全資産を売って現金化するという究極的な動きになっているようです。」と続けています。

この間、米国株価は月曜日に市場が開けるとともに8.1%下げて、サーキットブレーカーが発動されて、15分間停止されていました。

欧州株価もまた、週末に人々の移動を含む、社会生活や経済活動が制限されたフランスとスペインの株価の大幅な下げからも、Stoxx 600指数が8.9%下げる等、2012年以来の低さへと下げていました。

ドイツもまた、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐために国境の多くを封鎖し、経済の制限を行うことを発表していました。

それに対し英国政府は、米国政府が欧州からの人々の入国を禁止する措置を英国とアイルランドにも広げる中で、欧州同様な制限をして新型コロナウイルス感染拡大を防ぐべきという意見に面しています。

英国ポンド建て金相場は、先週終値から4.7%下げてトロイオンスあたり1187ポンド、そして2月の史上最高値からは9.3%下げていました。

ユーロ建て金相場は、5.2%下げでトロイオンスあたり1304ユーロで、やはり2月に記録した最高値からは16%下げていました。

米国連邦準備理事会による、緊急大幅利下げで政策金利は0から0.25%となり、米国債などを大量に購入する量的緩和政策も復活させ、金融政策を全面的に危機対応モードへと切り替えて、新型コロナウイルスによる経済の混乱を抑えることを目指します。

日本銀行もまた今週18日と19日に予定していた会合を史上初で前倒しに開き、新型コロナウイルス感染拡大による金融市場や経済の同様を抑えるための措置として、上場投資信託の購入目標額を6兆円から12兆円へ倍増し、年9000億円としている不動産投資信託(Reit)の購入目標お1800億円に倍増しました。

また、ニュージーランドと韓国の中央銀行も緊急会合を行い、利下げを行いました。

中国で本日発表された1~2月の主要経済指標は、新型コロナウイルスへの対策で、人の移動や企業の操業制限を伴う強力な措置をとったことからも、2月半ばまで経済がほぼマヒした軒並み前年同期比でマイナスに落ち込み、小売売上高は20.5%減で、鉱工業生産は前年同期比13.5%減となっていました。

なお、主要国国債は、欧州国債の利回りが上昇したものの、米国債10年物利回りは価格が上昇したことから、その利回りを再び0.81%と引き下げていました。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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