金価格ディリーレポート(2020年2月17日)日本のGDPが悪化し、中国が対新型コロナウイルスの新たな経済刺激策を導入する中で、コメックス、金ETFへの資金流入
金価格は本日月曜日にほぼレンジ内の動きとなっています。
この間、世界第2位の経済規模を持つ中国政府が新型肺炎を受け景気テコ入れのための追加刺激策実施を表明後に、アジア株は3週間ぶりの高さへ上昇し、欧州株は史上最高値に近いレベルで推移しています。
中国の国家衛生健康委員会(National Health Commission)によると、本日までに約71,000人が感染し、この多くは湖北省であるものの、約1800人が死亡していると発表しています。
また、日本においては横浜に停泊しているクルーズ船のダイアモンド・プリンセス号では、新たに乗客99人の感染が確認され、検査された1723人のうちの454人が感染していることが明らかとなっています。
金地金現物価格は、ロンドン時間昼過ぎに前週終値からトロイオンスあたり5ドル下げた1578ドルで推移していました。この間、ドルインデックスは2020年の最高値から多少ながら下げていました。
アジア株とは異なり、本日新型コロナウイルスが発生前の日本の第4四半期GDPが、前四半期比-1.6%、前年同四半期-6.3%と2014年以来の下げ幅で予想を超えて悪化していたことが明らかとなると、日本株式市場は全般下げ、TOPIXは一時1.5%急落していました。
また、タイもまた5年ぶりの低い経済の伸び率で、シンガポールはその2020年の経済成長率を下方修正し、景気後退の可能性が高まっています。
「投資家心理は金にとって良い環境で、金をロングとする基調があります。」と、スイスのブリオンバンクのUBSがそのレポートで述べています。
「現段階で投資家は、新たな購入のきっかけか、再投資の機会を待っているところです。」と続けています。
金を裏付けとするETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は先週0.9%増の924トンと5週間続けて週間の増加となっていました。
しかし、この残高量は昨年9月の3年ぶりの高さへと増加しているものの、金価格はドル建てにおいては2013年3月以来の高さへと上昇し、ユーロ建てにおいては先週金曜日に史上最高値を更新していました。
金ETFの第2の規模のiShareゴールドトラストにおいても同様に先週資金の流入が見られ、1.1%増の373トンへと残高が増えていました。
またコメックスの金先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションもまた、4週連続で減少後に、先週火曜日までに8.5%増加していました。
しかし、コメックス銀、プラチナ、パラジウムの先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、揃って1.5%、2.4%、11.8%と下げていました。
銀価格は本日ロンドン午前中に、先週の3週間ぶりの低さから戻し、0.8%上げの2週間ぶりの高さのトロイオンスあたり17.89ドルを一時付けていました。
ディーゼル車の排ガス浄化触媒として多く利用されるプラチナの価格は、0.3%高のトロイオンスあたり968ドルを付け、その姉妹貴金属でもあり、ガソリン車の排ガス浄化触媒として使われるパラジウムの価格は、0.6%増のトロイオンスあたり2466ドルを付けていました。
世界最大の自動車市場の中国は、同国自動車協会によると、その乗用車の販売量が新型コロナウィルスの影響で今年前半期に10%減少するとのことです。
日曜日には、中国財政相が新型ウイルスの影響で国内生産が打撃を受けているとし、減税や不必要な政府支出の削減といった措置を今年、一層確実に実施していくと表明しています。
また、本日は人民銀行が1年物MLFを通じて2000億元を供給し、金利は3.15%に引き下げています。
そして、米国は祝日で、株式・債券市場が閉まる中で、トランプ政権は中間層の税率引き下げを検討中と、国家経済委員会のラリー・クドロー委員長が金曜日に述べていました。
ユーロ建て金相場は、ユーロが先週の経済指標の悪化でほぼ3年ぶりの低さから戻す中で、ロンドン昼過ぎに0.2%下げてトロイオンスあたり1459ユーロ前後を推移していました。
また、ポンド建て金相場は、ポンドが先週の内閣改造で財務相となったリシ・スーナック氏がより多くの財政支出を行うことを期待して強含んでいた水準を戻す中で、トロイオンスあたり1215ポンドと多少ながら上昇していました。