金市場ニュース

金価格ディリーレポート(2020年11月30日)ワクチンのニュースで株式市場が強い月間の上昇をする中で金はドル安にも関わらず急落


金が5ヶ月ぶりの下げを記録しました。


 


月曜昼過ぎにロンドン金価格は、世界の株式市場が11月に記録的な上昇を維持している中、中国の良好な経済指標がきっかけとなり、Covid-19のワクチンが間もなく実施されるとの期待感から、大きく急落しています。


 


現物金価格は、ロンドン早朝に一時1.4%安のトロイオンスあたり1765ドルまで下落したした後に、7ドルほど反発していました。


 


金価格は11月に月間では6.1%の下落となり、2016年11月にトランプ大統領が選出された際以来の最大の月間下げ幅を記録しています。


 


銀価格は今朝やはりトロイオンスあたり21.90ドルと2ヶ月ぶりの安値へと3.4%急落し、その後22ドルを回復したが、今月はすでに7.0%下落しています。


 


先の2つの貴金属とは対照的に プラチナ価格は堅調に推移し、トロイオンスあたり973ドルとわずか0.3%の下落にとどまり、11月は12.9%の上昇をしており、この工業用途が需要の半数以上を占める貴金属は「950ドルで入る現物需要に支えられている」と、スイスの精製業者MKS Pampのレポートでは説明されています。


 


「金は、リスクオン傾向が一見未だ満たされていないようであるため、下げのプレッシャーの下にある。」と、StoneX GroupのRhona O'Conell氏の最新の貴金属ディリーレポートでは述べ、「米国当局者が年末までにワクチンが配備される可能性があると発表していること、中国の最新の製造業PMIデータは、2017年9月以来の最高値であったことも要因となっている。」と続けています。


 


他のアナリストもまた「リスクオン傾向」と呼び、昔ながら安全資産とされている米ドルも下落し、11月には2.7%の下落の傾向となっており、2018年4月以来の安値を記録しています。


 


日本貴金属マーケット協会(JBMA)の池水雄一代表理事は、「 金はドル安にもかかわらず下落しているのは、ETFからの売りという内部要因があるからだ」と語っています。


 


そして、「その売りが一巡すると、ドル安の要因で金は再び上昇することだろう。」と続けています。


 


SPDRゴールドシェアとiShareゴールド残高の月間残高と金価格 出典元 ブリオンボールト


 


先週末、米国市場が感謝祭休暇のために閉鎖または閑散としていたため、金を裏付けとするETFの資金流出は鈍化してていました。


 


iShreゴールド(NYSEArca: IAU)は先週の月曜日からの一週間で資金流入がありましたが、最大銘柄のSPDRゴールドシェア(NYSEArca: GLD)は3週連続で投資家の資金流出を記録し、週間で5.1%縮小して5ヶ月ぶりの低い水準へと下げていました。


 


オーストラリアの銀行NABのアナリストのRodrigo Catril氏は「11月は株式投資家にとって 素晴らしい月になりそうだ。」と述べ、「特に欧州株式市場に牽引されている」と続けています。


 


欧州株式は月曜日にはまちまちでしたが、11月月間ではフランスとイタリアはそれぞれ21%と26%の上昇となり、過去最高の月間上昇率となっていました。そして、世界の株式指標でもあるMSCIワールドインデックスは11月に月間で13%上昇していました。


 


そして、米国のS&P500指数は11%を超えて上昇し、過去最高のピークを更新していました。


 



 


中国国家統計局は本日、11月の製造業購買担当者指数(PMI)が10月の51.4から52.1に上昇し、世界第2位の経済大国である中国の工場の生産活動が3年を超えて最も速いペースで拡大したと発表していました。


 


上海黄金交易所の金価格は、世界第1位の金消費者市場における金地金の需要が依然として弱いことから、月曜日にはロンドンとの価格差を25ドルにまで拡大していました。そして、上海黄金交易所のgあたりの金価格は、8ヶ月ぶりの低値のgあたり370人民元を付けていました。


 


先週金曜日には、中国の主要国有銀行のうち3行が貴金属価格のボラティリティが高まっていることを理由に、貴金属口座の新規開設を停止すると発表していました。


 


ユーロ建て金価格は本日1.3%安のトロイオンスあたり1478ユーロまで下落し、11月は月間で9.1%下落していました。そして、 英国ポンド建て金価格もまた、トロイオンスあたり1325ポンドまで同様に1.3%下落していました。


 


この間、世界第2位の経済圏のユーロ圏から12月31日に離脱する英国とEUの貿易協定を巡る協議は、先週末に英国のドミニク・ラーブ外相が「 非常に重要な」週に入ったと述べていました。


 


英国と他の欧州政府の保健規制当局は、米国の製薬大手ファイザー社のコロナワクチンの迅速な承認を求めていること、そして競合会社のモデルナ社は米国の規制当局への承認を申請したことがメディアによって共に伝えられています。


 

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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