金価格ディリーレポート(2020年11月2日)米大統領選前にボラティリティがたかまることが予想される中、金は上昇し原油は5ヶ月ぶりの低さへ
金価格は月曜日先週の下げ幅を削りながら上昇しています。
ロンドンの金価格は昼過ぎに、投資家、トレーダー、アナリスト、ブローカーが、明日の米国選挙を前に、全ての金融市場で強い変動があると予測する中で上昇していました。
金地金現物価格は、0.6%高のトロイオンスあたり1890ドルと、世界指標のLBMA価格ベースで先週1.2%下げ、月間ベースで0.3%下げた後に、新たな週の始まりに上昇していました。
そこで、7月の記録的な高さの月末価格の1964ドル以降、3ヶ月連続の月間の下げで、8月6日の史上最高値の2075ドルからは9%下げたこととなります。
カナダの証券会社RBCキャピタル・マーケッツは、「選挙後の混乱と選挙結果が争われる可能性は、弊社の観点では重大なリスクであり、最も極端なシナリオ等は、金にとってとてもポジティブなものになる可能性があります」と述べています。
そして、金の投資資産としての独特の特色は、「このような不確実性が市場に広がることになれば、 とても魅力的なものとなる」と続けています。
民主党のジョー・バイデン氏が 全国世論調査でリードする中、ホワイトハウスの現職大統領であるドナルド・トランプ氏は週末に「選挙が終わったらすぐに弁護士を連れて行く」と述べ、彼がすでに「 見たこともないような詐欺」と呼んでいる(郵便投票の)結果に異議を唱えると述べていました。
中国銀行は本日の声明で、「貴金属と外国為替市場の ボラティリティが11月3日から4日の間に大幅に上昇すると予想している」と述べ、国有企業である交通銀行も選挙のボラティリティに関する 警告を出していることから、一部の商品の取引を停止する可能性があると顧客に助言していました。
一方、原油価格はリビアの原油生産量が急増したとのニュースを受けて、また欧州では新型コロナウイルス感染拡大を防ぐための都市封鎖が拡大していることから燃料需要が減退する観測で、5ヶ月ぶりの安値に急落していました。
先週、4月以降で最も多くの死者が報告されたCovid-19による死亡者数は世界で120万人を超え、米国では金曜日に1日の感染者数が過去最大の97,000人を記録した後、日曜日に78,000人の新たな患者が確認されていました。
欧州のブレント原油は本日一時4.6%下落して1バレル35.74ドルで取引がされていました。
そして、米国のウェスト・テキサス・インターミディエイトはさらに下落し、6%安の33.64ドルを一時付けていました。
主に工業用金属である銀は金と並んで上昇し、トロイオンスあたり1.8%高の24.06ドルへとロンドン昼過ぎに上昇し、最終用途の40%近くを自動車メーカーへの需要であるプラチナも1.3%高の859ドルへと上げていました。
貴金属専門コンサルタント会社のMetals Focusの南アジア担当シニア・リサーチ・コンサルタントであるHarshal Barot氏は、先週の金価格の上昇に加え、為替市場でのドルの上昇を指摘して、「 安全資産の買いが復活している」と述べています。
ドルインデックス(主要通貨に対する米国通貨の価値の指標)は、本日も先週の1ヶ月来の高値を更新し、10年物国債の利回りは金曜日の4ヶ月ぶりの高さから低下していました。
今週の大統領選、連邦議会選挙に加え、米国では中央銀行である米連邦準備制度理事会(FRB)が木曜日に最新の金融政策を発表し、金曜日には10月の雇用統計のデータが発表される予定です。
英国ポンド建て金価格は、週末に政府がUターンしてイングランドが木曜日からフランス、ドイツ、ウェールズと同様により制限的なロックダウンを行うことが発表されたことで、EUとの英国の貿易協定交渉が進展する可能性があるという噂も押し込めて為替市場でポンドが下げたために、月曜日の朝に1.1%急騰してトロイオンスあたり1466ポンドとなりましたが、その後その上げ幅を削って推移していました。
欧州の金価格も0.6%上昇してトロイオンスあたり1622ユーロとなり、この間欧州株は6月中旬以来の最悪の週間の下げを記録した後、月曜日午前中は反発して11月の取引を開始しました。
世界第2の経済大国であり、世界最大の金消費国である中国の最新データによると、先月の製造業のPMIは10年で最も速いペースで拡大していました。
このニュースを受けてアジア株は上昇していましたが、中国の金価格は本日、1グラムあたり400円を4日ぶりに回復し、中国における需要の高さを表す、ロンドンの金価格との差のディスカウントは3ヶ月半で最小であるトロイオンスあたり24ドルにまで低下していました。