金市場ニュース

金価格ディリーレポート(2020年10月26日)米大統領選を目前にコメックスで機関投資家が静観する中、金は1900ドルで横ばい

金価格は心理的な節目のトロイオンスあたり1900ドルを超えた水準で推移しています。

この間、世界的にCovid-19の感染者数が急増し、米追加経済対策合意観測が後退し、来週の大統領選挙の不確実性が高まる中、ドルが強含み、欧州株が弱含んでいました。

金地金現物価格は、アジア市場の取引開始時に7営業日ぶりの低さのトロイオンスあたり1891ドルまで下落した後、1900ドルを横ばいで推移していました。
 
スイスの精製・金融グループであるMKS Pampのトレーディングノートによると、「金地金は、上下どちらかへ意味のある動きをするためのきっかけが不足しているため、依然としてレンジ内での取引を維持しています。
 
「我々は、選挙の結果がどうであれ、金にとっては強気になると考えています。」と、証券会社Stone XグループのRhona O'Connell氏は、本日発表された同社の最新の2020年10月から12月の市場見通し中で述べています。
 
しかし、「金は最近の、大統領のCovid-19陽性診断に対する動きの無さ、そして大統領の(追加経済対策の)協議の中断に対する少ない反応からも、既にこれらの要因を含めて十分な価格評価がされているという疑問が生じており、市場参加者が選挙まで静観する意図であることを良しとしている」と述べています。
 
最新のデータによると、コメックスの金先物とオプションのヘッジファンドやその他のレバレッジ投機家は、先週、資金運用業者グループとしてロングポジションを今年6月以来の低さから7.2%上げ、ショートポジションを2019年6月以来の高さから5.7%減少させていたことが明らかとなっています。
 
コメックスの資金運用業者の金先物・オプションのショート及びロングポジションのチャート 出典元:CFTC経由ブリオンボールト
 
この結果、ネットロングポジションは5週間で最高となりましたが、10年平均を15%下回る水準ではありました。
 
米国の規制当局である商品先物取引委員会(CFTC)が発表したデータによると、投機筋は銀に対するロングポジションはを増加させ、資金運用業者のネットロングポジションは過去3ヶ月で最大となっていました。
 
それに対し、世界の自動車セクターの状況に大きく依存するプラチナに対するショートポジションは、先週、Nymex先物とオプションのヘッジファンドやその他のレバレッジ投機家の間でさらに拡大し、資金運用業者のネットロングポジションは全体で4週目のネットショートとなっていました。
 
プラチナ価格は先週5.1%下落した後に、ロンドン時間月曜日の昼過ぎにトロイオンスあたり886ドルと2.4%下落し、主に工業用金属である銀もまた、先週1.7%下落後、トロイオンスあたり24.20ドルと1.6%下落していました。
 
ドルインデックス(主要通貨に対する米国通貨の価値を示す指標)は、下げ基調後に、本日0.3%上昇していましたが、国債価格は上昇し、10年物国債の利回りは0.80%まで低下していました。
 
この間、欧州各国がCovid-19の感染を防ぐための規制を強化し、米国が2日連続で史上最高の感染者数を記録する中で、欧州株式市場の指標であるストックス欧州600指数は1.0%下落していました。
 
そして、英国の投資家向け金価格もトロイオンスあたり1457ポンドで横ばいとなっていましたが、ユーロ建て金価格は木曜日の欧州中央銀行(ECB)の政策決定会合を前に単一通貨が弱まっていたために、トロイオンスあたり1609ユーロと0.4%上昇していました。
 

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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