金価格ディリーレポート(2020年1月20日)親イラン反政府組織のイエメン攻撃などからも金価格は7年ぶりの高さを維持
金価格は、月曜日昼過ぎに10日ぶりの高さのトロイオンスあたり1562ドルへと上昇していました。
そして、週末には親イラン反政府組織フーシ派による攻撃とみられるイエメンのモスクへの空爆で100人を超える親サウジアラビアの政府兵士が死亡したことが伝えられていました。
先週金曜日のLBMA金価格が2013年4月の暴落以来の高値で終え、現物金地金価格は先週末の終値から0.2%ほど上昇していました。
この間、アジア株は中国の人民銀行が最優遇貸出金利を据え置く中で、20か月ぶりの高さへと上昇していました。
「昨年同様に金は一月に高値を付けた後にサポートラインを見つけたようです。」とSaxo BankのコモディティストラテジストのOle Hansen氏は述べています。
「これは、株価や債券の現在の方向性が変化した際のポートフォリオの保険として金が見出されていることからだろう。」と続けています。
MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスは、今年年初からの3週間で2.5%上昇しており、月曜日にウォールストリートや欧州株価指数と共にほぼ史上最高値を維持しています。
本日は米国はキング牧師記念日の祝日で、中国は金曜日から春節の休暇に入るために取引量は全般低くなっています。
金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアは先週金曜日に、昨年6月21日以来の一日あたりの増加量となっていました。6月当時は、イランの米ドローン追撃等による中東情勢への懸念と香港抗議デモの激化などの地政学リスクが高まり金の需要が伸びていた頃でした。
この金残高増加量は19トンで総量899トンと11月半ばの高さまで上昇していました。
内戦が続くイエメンの中部マーリブでは先週土曜日に、軍事訓練施設にあるモスク(イスラム礼拝所)が空爆され、礼拝中の兵士ら100人が死亡したと、国連のイエメン特別使節が日曜日伝えていました。この犠牲者は月曜日さらに増加しています。
金価格が月曜日上昇したように、原油価格も一週間以上ぶりの高さへと上昇していました。これは、内戦が続く北アフリカの産油国リビアで暫定政権と敵対する勢力がパイプラインを封鎖したことから、同国の主要油田で生産が止まっていると伝わり、供給不安が意識されたことからでした。
EUの外交官Josep Borrellは月曜日に欧州連合がリビアにおける公式な停戦が維持されるあらゆる議論がされるだろうと述べた上で、この停戦が継続されるためには現実的なサポートが必要と続けていました。
主要国は週末日曜日にベルリンでサミットを行い、2011年にガダフィ大佐が亡くなる前は世界第5位の原油産出国であったリビアに兵器を送ることを停止することを同意していました。
ユーロ建て金相場は、今週市場がECBの政策金利発表と明日からのダボスにおける世界経済フォーラムを注視する中、月曜日昼過ぎにトロイオンスあたり1407ユーロと先週末から0.2%上昇していました。
またポンド建て金相場は、ポンドが先週金曜日の小売売上高が予想を大きく下げたことで下げた水準から、ジャビッド財務相の週末のコメントがハードブレグジット(合意のない離脱)の懸念を多少高めたものの、多少回復する中で、ほぼ2週間ぶりの高さの週末から0.3%高のトロイオンスあたり1200ポンドを付けていました。
パラジウムは先週金曜日にトロイオンスあたり2500ドルを超える史上最高値を付けていましたが、本日は横ばいとなっていました。その間、コメックスの先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションが史上最高値を付けていたプラチナの価格はトロイオンスあたり1000ドルを上回る水準を維持していました。
銀価格もまた、本日昼過ぎにはほぼ横ばいでトロイオンスあたり18.04ドルを推移していました。