金価格ディリーレポート(2019年9月9日)金融刺激策への期待が広がる中で、金価格が反発
金価格は、本日まちまちの経済データが発表される中で、世界全体の経済停滞を避けるための主要諸国中央銀行が金融政策で新たな刺激策を導入する期待が広がりつつある中で、緩やかに上昇しています。
金現物価格はロンドン昼過ぎに、ドルインデックスが先週金曜日に下げた水準から更に下落する中で、0.3%上げのトロイオンスあたり1511ドルを超える水準で動いていました。
日曜日に発表された中国の8月の輸出関連データは予想を下回るもので、世界第2位の経済大国の経済懸念を広げるものとなりました。
先週金曜日には中国の人民銀行は市場への流動性を高めるために、2007年以来の低い水準へ預金準備率を下げることを発表しています。
「これは、私にとっては中国中銀が慌てている兆候だと見えます」とOrient Capital Research
のマネージング・ディレクターのAndrew Collier氏が述べています。
「このような金融政策をせざるを得なかったということは、これまでの減税などの金融政策が効果を見せていないと感じているのでしょう。」と続けています。
先週金曜日にチューリッヒで行われた討論会で、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、「我々は経済成長を持続するため適切に行動するだろう。」と今年の夏から繰り返しているコメントを再び使い、同日米雇用統計が予想を下回ったことが発表される中で、利下げの可能性を残していました。
しかし、「米経済は良い状態にあり、物価上昇率も(目標の)2%に戻っていくだろう」と早期の追加緩和を明言するのは避けていました。
金のETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、先週一週間で1.4%増加し、ほぼ3年ぶりの高さへと増加していました。
そのために、週間では6週連続で上昇をしていました。
その間、中国の金準備は8月に9か月連続で増加していたことが、今週末発表されたデータで明らかとなりました。
ワールドゴールドカウンシルの最新データでは、トン単位においては、昨年12月から94トン既に増加していた金準備は、先月5.91トン増で、総量1936.5トンとなっていました。
ポンド建て金価格は、本日ポンドが対主要通貨で強含む中で、0.2%下げてトロイオンスあたり1224ポンドと、先週火曜日の史上最高値からは4.7%下げていました。
英国議会の5週間の休会に本日午後に入る中で、議会はジョンソン政権が10月31日の離脱期限までにEUからの離脱延期をEUに要請することを義務付ける法案が法律として本日成立すると予想されています。
しかし、ジョンソン政権の閣僚はこの法律に法的抜け道が無いのかを検討中とのこと。
ウェールズの地域政党プライドカムリはそのような場合はジョンソン首相を弾劾すべきと述べています。
ユーロ建て金価格は、トロイオンスあたり1369ユーロと先週終値から0.2%下げ、先週火曜日の史上最高値の1413ユーロからは3.1%下げています。
週末にはEU関係者からも英国のEU離脱延期に反するコメントが出ており、欧州議会のブレグジットコーディネーターのGuy Verhofstadt氏は、「英国がこのデッドロックを解消しない限り、更なる離脱延期は受け入れられない。」と述べていました。