金価格ディリーレポート(2019年9月23日)金ETFの残高増加、ドイツ経済低迷、英国がサウジ攻撃でイラン非難をする中、金は上昇
金価格は月曜日昼過ぎまでで緩やかに上昇していました。
これは、発表されたデータでドイツ経済が2013年以来初めて縮小しがことが明らかになり、金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高が3年ぶりの高さへ増加する中での動きでした。
金相場は金曜日に中国代表団の農場視察中止されてトランプ大統領が中国との「部分合意」を望まずと述べたことで米国株がひと月ぶりに週間の下げを記録する中で1.1%上昇した後、本日はロンドン時間昼過ぎまでで先週末から0.2%高のトロイオンスあたり1519ドルを付けていました。
それに対しユーロ建て金相場は、ユーロと欧州株が下げる中で、この倍のペースで上昇し、8月末に付けた史上最高値のトロイオンスあたり1380ユーロを超えていました。
これは、本日発表された世界第4位のドイツ経済が6年半ぶりに縮小していたことが、MarkitのPMIデータで明らかとなったことからでした。
このドイツの製造業とサービス業を合わせた総合PMIが49.1と8月の51.7から縮小していました。
また、製造業PMIは41.1と、10年ぶりの低さとなっていました。
金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェア(GLD)は、金曜日に1.2%増で、週間としては2.2%増加し、9月初旬の3年ぶりの高さへと残高を増やしていました。
また、ニューヨークの金ETF第2の規模のiSharesゴールド(IAU)もまた、0.3%金曜日に増加して史上最高値を付けていました。
「サウジアラビアの石油施設への攻撃で地政学リスクが高まり、トランプ大統領が中国との【部分合意】を否定したことで、金は多少輝きを増したといえる。」とシンガポールのOCBC BankのHowie Lee氏は述べています。
より工業用途の高い貴金属の銀価格は本日ロンドン時間昼過ぎに2.3%高のトロイオンスあたり18.40ドルを付け、プラチナは1.2%高のトロイオンスあたり957ドルを付けていました。
なお、需給がひっ迫しているパラジウムは本日ロンドン時間早朝にトロイオンスあたり1659ドルと史上最高値を付けていました。
トランプ大統領は、先週末に中国と部分的な合意を結びたいとは考えていないと述べ、貿易戦争が2020年大統領選挙での得票に響くことはないとの見方を示ししていました。
原油価格は本日市場明けと共に、サウジアラビアの石油採掘回復時期への懸念からも1%急騰後その上げを戻していました。
このサウジへの攻撃を非難し、トランプ政権は金曜日にトランプ大統領曰く「これまででも最も厳しい経済制裁」を発表し、サウジ防衛体制強化に向けた米軍増派や兵器供与を発表していました。
本日ボリス・ジョンソン英国首相は、サウジアラビアへの攻撃はイランが関与している可能性が非常に高いと米国とサウジアラビアの主張に同意していました。
ポンド建て金価格は、本日ロンドン時間昼過ぎに英国株価が欧州株価ほどではないものの下げる中で、トロイオンスあたり1219ポンドと0.5%上昇していました。
本日の英国株価の下げ渋りは、英国両行代理店最大手のトーマスクックが破産申請したことが発表され、密集する旅行業界が緩和されることで、格安航空会社のライアンエアーやイージージェット株が上昇したことが要因となりました