金価格ディリーレポート(2019年9月2日)金強気ポジションが急増し貿易戦争が継続する中で、金価格上昇
金価格は、週末米中が共に追加関税を課する中で、月曜日午前中に上昇していました。
金の現物価格は、週明けアジア時間に0.9%急騰しトロイオンスあたり1533ドルを付けた後に、ドルインデックスが2017年後半以来の高値を再び付ける中で、10ドル下げていました。
米国は日曜日に中国製の靴やテレビなどの日常用品に課する15%の追加関税を発動しました。それに対し、中国は米国からの原油や他の製品へ関税を直ちに発動しました。
週末発表された、コメックスの金先物・オプションの資産運用業者のネットロングポジションは、先週火曜日に史上最高値を付けていました。
弱気ポジションを差し引いた強気ポジションである、ネットロングポジションは、前回のピークであった2011年8月半ばを6%上回り、その評価価値は441億ドルとなっていました。
また、この建玉も4週連続で100万枚を超え、先週火曜日には史上最高値を更新していました。
「今週は米国や中国の経済指標等の多くのリスクイベントがある。(これらは、)貿易戦争がどちらの国をより傷つけているのかを示すことになるだろう。しかし、この状態が近い将来に解決することは無いと思っている。」とロイターは本日シドニーのNational Australia BankのシニアFXストラテジストの Rodrigo Catril氏のコメントを取り上げています。
週末土曜日に発表された中国国家統計局が発表した8月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は、景況拡大と悪化の分かれ目となる50を4カ月連続で割り込んでいましたが、j本日発表の民間企業財新/マークイットが発表した8月の製造業購買担当者景気指数 (PMI)は50.4と予想に反して拡大・縮小の節目となる50を上回っていました。
そのような中で、アジア株はまちまちで、上海総合株価指数は人民銀行が中国の成長と市場の流動性をサポートすることを約束したことで上昇する中で、香港の株式市場は抗議デモが13週目を迎える中で下落していました。
ここ数日、デモ隊と警官の攻防は激しさを増す中で、一部の中高・大学生は本日から2週間の授業ボイコットを始めていました。
月曜日昼過ぎに欧州株価は全般上昇し、ユーロが対ドル2017年5月の低値を付ける中で、ユーロ建て金価格も0.5%高のトロイオンスあたり1390ユーロへと上昇していました。
週末行われたドイツの地方選挙では、極右「ドイツのための選択肢(AfD)」が躍進しましたが、現連立政権を崩壊させるものではありませんでした。
ポンド建て金価格もまた、最大野党・労働党は本日からの議会で、合意なき離脱の回避を首相に義務付ける法案の短期成立を目指しているものの、政府はこの法案に従うとは保証していない中でポンド安が進み、0.9%高のトロイオンスあたり1262ポンドへと上昇していました。
なお、ボリス・ジョンソン首相はこの法案の賛成をした保守党議員の「党からの追放」をちらつかせ、与党内の締め付けを図る構えを見せています。
本日米国市場は、レーバーデーの祝日で休場ですが、その間超大型ハリケーン・ドリアンが米南東に接近しています。
通貨ペソの相場下落の対応で外貨準備が先週二日間で30憶を失ったアルゼンチンが、昨日外貨購入を制限する資本規制を導入することを発表していました。
すでに、過去8度のデフォルト(債務不履行)を起こした同国は、すでに28日に機関投資家が保有する国内法に基づく債券の返済期限延長計画を示すとともに、対外債務と国際通貨基金(IMF)からの借り入れしている1010億ドルについても返済期限延長の意思を表明していました。