金価格ディリーレポート(2019年12月2日)良好な中国製造業データが安全資産を押し下げる
本日午前中金相場はテクニカルアナリストが「サポートライン」と呼ぶトロイオンスあたり1455ドルを試していました。
これは、本日発表された中国製造業のデータが3年ぶりの良好な数値であったことから、リスクオン傾向が進み、長期金利を引き上げていたことからでした。
既に月間平均価格では金相場は11月に1.7%下げて、2018年8月以来の速さの下げを見せている中で、本日午前中には0.6%一旦下げて、その後下げ幅を取り戻してトロイオンスあたり1459ドルをロンドン昼につけていました。
安全資産と見られる日本円もまた、本日は6か月ぶりの低さを為替市場で付け、米国とドイツ国債価格も3週間ぶりの低さへと下げていました。
そこで、米国10年物国債の利回りは8ベーシスポイント下げて1.85%、ドイツ国債10年物は7ベーシスポイント下げて-0.29%を付けていました。
過去12か月に金価格と米国債利回りは週間ベースで66%の場合は逆方向の動きを見せていました。
「中国からの良好なデータが、中国市場が改善しているという楽観的観測を広げ、人々へリスク資産へ投資する自信を与えたようです。そのために、金の安全資産的役割が減少したのです。」とGeojit Financial Serviceのコモディティーリサーチ主任のHareesh V氏が述べています。
ユーロ建て金相場もロンドン昼過ぎに0.4%下げてトロイオンスあたり1324ユーロを付けていました。この間、ドイツの連立政権にとっては打撃となる、メルケル首相が率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)の連立与党の一角であるドイツ社会民主党(SPD)の党首として連立会議派のワルターボーヤンス氏とエスケン氏が勝利したことから、為替市場ではユーロが対ドル下げていました。
ポンド建て金相場は、週末発表された世論調査で5つのうち4つが、コービン党首によって社会主義を強く打ち出す労働党が、与党保守党との差を狭めたことが伝えられてポンドが弱含む中で、0.3%下げてとろいオンスあたり1127ポンドを付けていました。
欧州株は、中国の民間指標の財新中国製造業購買担当景気指数が2016年12月以来の良好な数値であったことから上昇したアジア株を引き継いで上昇して始まっていました。
ストックス欧州600指数は上昇で始まっていましたが、トランプ大統領がブラジルとアルゼンチンから輸入する鉄鋼とアルミニウムに追加関税を課す方針をツィッターで表明し、両国が自国通貨の価値を意図的に下げて米国の農家を困難な位置に立たせていると非難したことで、投資家心理を冷やしていました。そして、米連邦準備制度理事会へ「利下げもしくは金融緩和を!」と訴えていました。
Brazil and Argentina have been presiding over a massive devaluation of their currencies. which is not good for our farmers. Therefore, effective immediately, I will restore the Tariffs on all Steel & Aluminum that is shipped into the U.S. from those countries. The Federal....
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) December 2, 2019
米国中央銀行は12月10日と11日に金融政策決定会合を開く予定となっています。
ここにおける金利を予想するCMEのFedWatchツールでは、来週の会合で金利が引き下げられることは0%、94.8%が1.75%の金利で据え置かれ、6.6%は引上げを本日予想していました。
なお、トランプ大統領は70周年を迎えるNATO首脳会議に出席するためにロンドンを本日訪れる予定となっています。
本日の中国の良好なPMIデータと共に、先週金曜日のブラックフライデーの74億ドルという記録的なオンライン売り上げもレポートされていました。
ところで、米中貿易協議の部分合意については、トランプ大統領が香港の人権と民主主義を支援する法案に署名したことから、国外務省の華春瑩報道官は報復措置を発表しています。
それは、米軍艦の香港寄港拒否や、米国の非政府組織(NGO)に制裁を科すというものです。