金価格ディリーレポート(2019年12月16日)中国が米国との同意を称賛しドイツに警告を送る中で、プラチナが大規模停電で上昇し金は堅固
金は月曜日に、プラチナが先週のひと月ぶりの上げ幅を広げ、市場が米中貿易合意1弾の詳細を待つ中で、多少ながら上昇しています。
中国政府は先週米国と合意したことを「ポジティブ」と呼びながら、ドイツが中国のテクノロジー企業の華為(ファーウェイ)をセキュリティー懸念から5G市場から排除する場合は報復することを「中国政府は、黙って見過ごすわけにはいかない」と、独紙ハンデルスブラットが14日に開いたイベントで、呉懇駐ドイツ大使は警告していました。
貴金属がドル建てで今年揃って二けたの上昇を見せている中で、金は月曜日昼までにトロイオンスあたり1477ドルへと上昇し、年初からは15%上げています。
この間ドルは他の主要通貨に対し下げており、今年は0.9%の上昇にとどまっています。それが、「大幅な売却を防いでいる」とインドの金融サービスプロバイダーのGeojitのHareesh V氏がコメントしてます。そして、さらに「この部分合意については既に過去2週間で価格に織り込まれている。」とも述べています。
銀価格は月曜日昼過ぎにトロイオンスあたり17.06ドル前後を推移し、年初からは10%上昇しています。また、プラチナはこの時間までに0.4%上昇してトロイオンスあたり932ドル、今年1月からは17%上昇しています。
プラチナ価格は先週、この貴金属の70%を産出する南アフリカが、独占で電力供給をしている国営企業のEskomの発電施設の不具合から大規模な計画停電をしたことから、トロイオンスあたり30ドル上昇していました。
先週末に発表されたコメックスの最新のデータによると、先週火曜日にプラチナ先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、13%増加し2018年1月末の高さへと上昇していました。この際、プラチナ価格はトロイオンスあたり1000ドルを超えて推移していました。
これに対し、コメックスのパラジウム先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは多少減少し、金と銀の先物・オプションの資金運用業者のネットロングは、数か月ぶりの低さへと下げていました。
しかし、プラチナが先週トロイオンスあたり949ドルとひと月ぶりの高さへ上昇していた際に、パラジウムはトロイオンスあたり1966ドルと史上最高値を付けていました。これは、年初からは56%上回る急騰で、本日昼過ぎにはこの20ドル下回る価格で推移してました。
Eskomは、先週石炭ベースの電力発電所の故障から、ステージ6の負荷制限(6000メガワットの電力供給制限)を世界最大のプラチナ産出国で、世界第二位のパラジウム産出国へ適用していました。
ユーロ建ての金価格は、欧州Stoxx600指数が1%上昇し史上最高値を月曜日に付ける中で、トロイオンスあたり1325ユーロへと下げていました。この間、ユーロ圏の製造業とサービス業を含むコンポジットPMIは11か月連続で下げていました。
英国ポンド建て金相場は、ポンドが先週の総選挙で、離脱派のボリス・ジョンソン首相率いる与党保守党の大勝を受けて強含む中で、0.3%下げてトロイオンスあたり1104ポンド前後を推移しています。
本日発表された英国の製造業及びサービス業PMIもまた、2016年のEU離脱の国民投票依頼の低い数値となっていました。
なお、金消費国世界5位のトルコの通貨リラは本日2か月ぶりの低さへと下げています。これは、米国上院がアルメニアの主張をめぐる決議を下したことに対し、トルコ国内の米空軍基地閉鎖の可能性を示唆したことからとのことです。