金価格ディリーレポート(2019年11月25日)米中貿易協議への楽観論で株式市場が上昇する中で金価格は下落
金価格は、月曜日にアジアおよびロンドン時間に、米中貿易協議の部分合意と香港の選挙結果で世界株価が史上最高値へ上昇する中で、下げていました。
オブライエン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が土曜日に、年末までに中国と「第1段階」の通商合意に達する可能性は依然としてあるとの認識を示し、そして中国の人民日報の英字紙Global Timesでも同様な内容が伝えていました。
また、米中貿易協議の焦点となっている知的財産権の保護で中国が譲歩する姿勢をみせたと伝わり、協議が進展するとの期待が広がることとなりました。
そこで、主要国の国債価格が下げ、利回りが多少ながら上昇し、人民元が強含む中で、安全資産と見られている日本円も対ドル1週間ぶりの低さへと下げていました。
金価格はロンドン時間昼過ぎに、先週終値からトロイオンスあたり5ドル下げ、1457ドルと先週の3か月ぶりの低さから10ドルほど上回る水準を推移していました。
「金地金価格は、サポートラインのトロイオンスあたり1455ドルを試すことになるだろう。そしてこれを割った場合は、1440ドルへと下げる可能性がある。」とロイター通信社のテクニカルアナリストのWant Tao氏が述べていました。
なお、最新のコメックス金先物・オプションの資金運用業者は、先週強気ポジションを増加させ、弱気ポジションを減少させていました。
このために、ネットロングポジションは11月19日までの週で12.8%増となっていましたが、今年9月末の史上最高値からは23%減となっていました。
また、銀の先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションもまた、前週から24.8%増となっていましたが、2017年4月中旬の史上最高値からは58.8%下回っていました。
銀価格は金価格同様に0.9%下げて、先週トロイオンスあたり17ドルを維持していたものの、16.92ドルへ下げていました。
プラチナ価格は先週終値からトロイオンスあたり5ドル上回る896ドル前後を推移し、パラジウムは過去10営業日中に8日上昇し、10月下旬の史上最高値のトロイオンスあたり1799ドルに25ドルほどまで上昇していました。
香港株価は、香港の区議会(地方議会)選挙で18区のうち17区で民主派が議席を獲得するなどと圧勝したことで、社会的な混乱がいったん落ち着くとの見方が広がハンセン指数が1.5%上げで終えていました。この間、中国の公共放送においてはこの選挙戦については選挙が行われたとのみ伝えられていました。
ポンド建て金相場は、ボリス・ジョンソン首相率いる保守党が過半数を取ると世論調査が示していることからも、為替市場でポンドが強含む中で0.7%下げてトロイオンスあたり1130ポンドとなっていました。保守党は週末日曜日に、来月の総選挙のためのマニフェストで、早期のEU離脱、税率引き下げ、財政支出増加を行うと発表していました。
ユーロ建て金相場は、本日発表されたドイツのIFO経済調査機関が企業景況感指数が前月比小幅上昇していたものの引き続きドイツの製造業はリセッションの中にあると伝えたことで、単一通貨ユーロがひと月ぶりの低さへと下げる中で、トロイオンスあたり1323ユーロと多少下げていました。