金価格ディリーレポート(2019年10月21日)ブレグジットがポンドを動かす中で、投資家はブレグジットと米中貿易協議の動きを見据える
金地金は、英国の「スーパーサタデー」が緊急に招集された議会で結論を見出せずに終えた中で、本日月曜日に狭いレンジでの取引となっています。
ドルインデックスは今月に2018年1月以来の低さへと下げる中で、現物金地金は、トロイオンスあたり1491ドルと先週終値からほぼ動いていません。
それに対しポンド建て金相場は、アジア市場明けと共に、ポンドが下げたことから0.9%と大きく上げてトロイオンスあたり1158ポンドを付けていました。
しかし、その上げもポンドが対ドル1.3ドルと5月以来の高さへと上昇する中で、ほぼその上げ幅を失っていました。
ブレグジット関連の大きな動きが起こる先週火曜日に、コメックスの金先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは12%減少し、12週間ぶりの低さへと下げていました。
これは、6年半ぶりの高さのトロイオンスあたり1535ドルへと上昇していた際の史上最高のネットロングポジションから4分の1減少したこととなります。
「市場は貿易戦争の懸念からロングが積み増されています。投資家は、再び金への投資を開始するタイミングを待っています。」とロイター通信がAxiTrader のマーケットストラテジストのStephen Innes氏のコメントを取り上げています。
ボリス・ジョンソン首相が、新たな離脱協定案の議会での採決を本日行うことを望む中で、「為替市場はこの離脱協定案が可決されることを予想しているようだ。」とSaxo BankのFXストラテジスト責任者のJohn Hardy氏がコメントしています。(ロンドン時間午後3時半過ぎにバーコウ下院議長がこの採決を認めなかったことが伝えられています。)
英議会が新たな離脱協定案の採決をすべての法整備が整うまで先送りする法案を可決したことから、ジョンソン英首相は離脱期限の延期を下院の19日の決定を受けてEUに申請しました。
しかし、この書簡にボリス・ジョンソン首相は署名をせず、延期をすることは間違いだとする書簡に署名をして送っています。
そのためにスコットランド裁判所はジョンソン首相がEUに延期を求めた書簡が、法に従ったものかを判断すると伝えられています。
なお、英主要日刊紙のタイムズは、匿名の外交関係者のコメントとして「ジョンソン首相が議員によって第二の国民投票を強いられるなど、困難な立場に陥った場合は、ドイツがけん引して来年6月までの離脱延期を認めるだろう」と伝えています。
ユーロ建て金価格は、本日昼過ぎに0.1%下げて1335ユーロを付けていました。
それに対し中国の上海黄金交易所のロンドン価格との差のプレミアムはトロイオンスあたり6.6ドルと先週金曜日からは上昇していたものの、平均的プレミアムの9ドルからは下げていました。
なお、中国の米中貿易協議責任者の劉鶴副首相は「両国は多くの分野で著しい前進を遂げ、段階的な合意への署名に向けて重要な基礎を築いた」と土曜日にコメントしていました。
日本の輸出高は10か月連続で9月にも減少し、韓国の輸出もまた10月の20日間で前年比19.5%減少していたことが共に中国への輸出が減少したことが要因と本日明らかとなりました。
また、先週金曜日に発表された中国のGDPもまた、貿易戦争の影響で、前年比6%と30年ぶりの低さとなっていました。
ワシントンで行われていたIMF会議に出席していた人民銀行の易綱総裁は、中国政府の目標は、債務問題を解決することで、経済刺激策ではないと述べたことが伝えられていました。
それに対し、IMFの総務会に勧告を行う国際通貨金融委員会は、土曜日に公表した声明で、世界経済の見通しが「高度に不確実」でリスクが高まる中で、需要を支えるため財政政策を含めてあらゆる手段を行使すると表明しています。