金価格ディリーリポート(2023年1月23日)金価格はタカ派的FRBのコメントと春節で中国が休場にも関わらず、ETFの流入がコメックスの強気に加わり9ヶ月ぶりの高さを維持 2023年1月23日 月曜日 16:24 月曜日金相場は、コメックス先物・オプションの投機筋が4月以来最大の金に対するネットの強気ポジションを構築し、金ETFの最大規模SPDRゴールドシェアが2023年に入り初めて週間のネット資金流入を記録した後に、米国ドル安が債券市場の金利上昇の影響を相殺しており、ドル建てにおいて9ヶ月ぶりの高値を維持しています。 ドルインデックス(主要通貨に対する米国の通貨価値の指標)は、月曜日の朝に4営業日連続の下げで0.3%下落し、年初来安値と約8ヶ月ぶりの安値を更新する勢いとなっていました。 それに対し、政府および多くの金融・商業機関の借入コストのベンチマークである米国10年債利回りは、年率3.5%近くまで上昇し、先週記録した4ヶ月ぶりの低水準から回復していました。 現物金価格は先週の終値であるトロイオンス1925ドル付近と、 旧正月を迎える前の時期としては過去最高の水準で安定して推移していました。 世界一の金の採掘、輸入、消費国である中国の金融市場は、旧正月の休暇で今週1週間閉鎖されています。そのため、一部のアナリストによれば、 金の価格が下落する可能性があるとのことです。 ドイツの銀行であるコメルツ銀行のメモによると、「しかし、ネットのロングポジションを拡大しているのは、何よりも投機的な金融投資家である」とし、中国の現物需要(旧正月前後にピークとなる)は、香港とスイスからの純輸入量が少ないことを指摘して、最近の金の上昇の要因にはなっていないとしています。 1月17日(火)までの最新のデータでは、ヘッジファンドやその他のレバレッジを効かせた投機家が、コメックス金先物・オプションの強気ポジションを7週連続で増やし、弱気ポジションを同期間減らし続けていたことが明らかとなっていました。 その結果、資金運用業者のネット・ロングポジションは、13%増加し、9ヶ月ぶりの高水準となっていました。 一方、金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェア(NYSEArca: GLD)と第2規模のiShareゴールド(NYSEArca: IAU)は先週、投資家のネットの資金流入があり、それぞれ2週ぶりと、3週間連続の週間の資金流入となっていました。 GLDは今年初の週間の資金流入でほぼ今年の資金流出分を取り戻し、IAUは2023年に1日たりも資金の流出がなく、その残高は昨年11月中旬以降で最大となった。 Gabelli Gold Fundのポートフォリオ・マネジャー、Caesar Bryan氏は、「ETFの買いが(勢いを)取り戻せば、 貴金属の買われすぎによる調整の下げを抑えることができるだろう」と述べていました。 そして、コメルツ銀行のアナリストは、「もし市場がFRBの金利政策について 今後の予想の修正を迫られれば、(コメックスの強気ポジションは)減少する可能性がある」と警告していました。 FOMCの投票権を持つ最もタカ派的なメンバーの一人として知られるFRB理事のChristopher Waller氏は、金曜日の講演で、「この先ほとんど混乱はないようだ」ということで、 0.25ポイントの引き上げを支持すると語っていました。 しかし彼はまた、FRB副議長Lael Brainard氏やニューヨーク連銀総裁John Williams氏、その他の タカ派FRBメンバーの、中央銀行はインフレを抑えるためにさらなる利上げを「継続」しなければならないというコメントも繰り返していました。 それに対し、19カ国からなるユーロ圏の金利は来週と3月に50ベーシスポイントずつ引き上げられ、 その後も上昇を続けるだろうと、欧州中央銀行理事会メンバーのKlaas Knot氏が日曜日に予測していました。 ECB政策委員のRobert Holzmann氏も、今年前半に少なくとも2回の50ベーシスポイントの利上げを予想していると金曜日に発言していました。 そこで、本日の為替市場でユーロがドルに対して強含みとなる中で、ユーロ建て金地金現物価格は0.3%下落してトロイオンスあたり1768ユーロとなっていました。 それに対し、英国ポンド建ての金価格は0.2%上昇し1557ポンドをつけていました。